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2018年9月20日

What a Waste: 固形廃棄物管理の未来に関する最新の分析

カンパラ近郊のキティジ(Kiteezi)埋立地は、カンパラの制度的インフラ開発プロジェクト(Kampala Institutional Infrastructure Development Project)で拡大し、都市部で収集された廃棄物の貯蔵と処理ができるようになりました。(写真:Sarah Farhat/世界銀行)

 

「無駄がなければ、不足することもない」。このことわざは今日の世界にとてもよく当てはまります。世界のリーダーや地域社会の、いわゆる「脱使い捨て文化」を訴える声はますます大きくなっています。しかし、廃棄物は、個人や家庭以外にも、人々の健康や生活、環境、そして繁栄に影響を及ぼすより広範な問題でもあります。

固形廃棄物の管理は世界の一人一人に関係する普遍的な課題です。また、低所得国では90%以上の廃棄物が公然と投棄されたり、焼却処理されており、大きな影響を受けるのは貧しい人々であり最も脆弱な人々です。

近年、廃棄物処理場で地滑りが起こり、家屋や人々がその下敷きとなる事件が起きています。往々にして、廃棄物処理場の側で暮らし、ウェストピッキング(廃棄物の回収)に従事しその町のリサイクルシステムの動力となっているのが、こうした最も貧しい人々であり、彼らは深刻な健康のリスクにさらされています。

「廃棄物が適切に処理されないことで、世界の海が汚染され、水のはけ口がなくなり洪水を引き起こします。さらに病気が蔓延し、焼却の影響で呼吸器系疾患が増え、餌として廃棄物を食べる動物に害を及ぼし、さらには観光業などを通し経済発展に影響を及ぼします。」と世界銀行の サメ・ワーバ局長(都市・国土開発、災害リスク管理、強靭性担当)は述べています。

廃棄物からの温室効果ガスも気候変動の主な要因のひとつとなっています。2016年、世界の温室効果ガスの排出量の5%が、輸送を除く固形廃棄物の処理から発生しました。

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「固形廃棄物の管理は全ての人の問題です。効果的かつ適切な固形廃棄物の管理システムの確立が、持続可能な開発目標の達成に不可欠です。」と世界銀行のエデ・イジャズ・バスケス社会・都市・農村開発・強靭性グローバルプラクティス・シニアディレクターは述べています。「このまま対応策が講じられなければ、投棄・焼却された廃棄物が、人々の健康や環境、気候に害をもたらし、貧しい国・豊かな国ともに経済成長が阻害されるでしょう。」

What a Waste 2.0

人々はこの問題を既に認識してはいますが、廃棄物の発生量は驚くべき速さで増加しています。各国では、ごみの組成の変化に対応した適切なシステムが整備されることなく、急速に開発が進んでいます。人類の半分以上が暮らし世界のGDPの80%以上を占める都市部が、世界的な廃棄物への取組みの最前線にあります。

世界銀行の報告書「What a Waste 2.0」によると、世界では年間20.1億トンの都市ごみが排出されていますが、そのうち少なくとも33%は環境的に安全な方法で処理されていません。

前回の報告書の改訂版である2018年の報告書は、急速な都市化、人口の増加、経済発展により世界の廃棄物の量が今後30年間で70%増加し、2050年までに人口増加率の2倍以上上回る、年間34億トンと驚くべき量になると予測しています。

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これは、どれ程のごみの量なのでしょうか。

プラスチックごみを例に考えましょう。海を窒息させているプラスチックごみは海のごみの90%を占めています。2016年だけで、世界は2億4,200万トンのプラスチックごみを排出しました。これは、500ミリリットル、10グラムのプラスチックボトル約24兆本に相当します。これらボトルに水を入れると、2,400のオリンピック・スタジアム、480万のオリンピック級のプール、400億の風呂桶がいっぱいになると言われています。また、これは大人のシロナガスクジラの体重340万頭分、エンパイアステートビルを1,376塔組み合わせた重さに匹敵します。

そして、これは、毎年排出される廃棄物全体のわずか12%に過ぎないのです。

What a Waste 2.0では、世界的なトレンドに加え、地域別の固形廃棄物管理の状況も詳しく示しています。たとえば、東アジア及び大洋州地域の廃棄物の発生量は、現在世界で最も多く23%を占めています。高所得国の人口が世界に占める割合はわずか16%ですが、高所得国全体で世界の廃棄物の約3分の1(34%)が発生しています。

廃棄物の発生は、経済発展と人口の伸びに伴い増加すると考えられることから、低中所得国の廃棄物の排出量が最大の伸び幅を見せるでしょう。廃棄物の増加速度が最も速い地域がサブサハラ・アフリカと南アジアで、2050年までにごみの排出量はそれぞれ3倍以上、2倍以上増加し、世界の廃棄物の35%を占めるようになると考えられます。また、北アフリカ地域においても、2050年までにごみの排出量が倍増すると予測されています。

高中所得国及び高所得国では、廃棄物の回収がほぼ全国規模で行われており、高所得国では廃棄物の3分の1以上がリサイクルや堆肥化により回収されています。低所得国では、都市部では廃棄物の約48%が回収されていますが農村部では26%にとどまっており、リサイクルされる割合はわずか4%です。全体としてみると、世界の廃棄物の13.5%がリサイクルされ5.5%が堆肥化されています。

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持続可能な廃棄物管理を目指して

「環境面からみて健全な廃棄物管理は、非常に多くの開発の重要な側面に関係しています」と、What a Waste 2.0の主執筆者を務めた世界銀行のシルパー・カザ都市開発専門家は述べます。「それにもかかわらず、廃棄物管理は、持続可能で健全かつ包摂的な都市・コミュニティ計画で見落とされるケースが多くあります。政府はその国民と地球のため、廃棄物管理問題に早急に対応しなければなりません。」

持続可能な廃棄物管理への転換には、継続的な取組みと多大な費用が必要です。What a Waste 2.0によると、廃棄物管理が、多くの地方政府の予算で1つの項目として最大の負担となる可能性があります。低所得国では平均で地方政府の予算の20%を占めます。

このようなコストを払う価値があるのでしょうか?

コストを払う価値はあります。リサーチは、持続可能な廃棄物管理への投資は経済的に意味があることを示しています。回収されなかったり適切に処理されなかった廃棄物は、人々の健康や環境に大きな影響を及ぼします。その対処にかかる費用は、シンプルかつ適切な廃棄物管理システムの開発・運営の何倍もかかります。

資金への需要に応えるべく世界銀行は、環境資本、社会資本、そして人的資本の増加に資する効果的な解決策を開発し、またこれに資金支援を行うため、世界の国々や、都市、パートナーと連携しています。

2000年以降世界銀行は、世界の340を超える固形廃棄物管理プログラムに対し47億ドル以上をコミットしています。以下はその例です。

"「固形廃棄物の管理は全ての人の問題です。効果的かつ適切な固形廃棄物の管理システムを確立することが、持続可能な開発目標の達成に不可欠です。」"
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エデ イジャズ・バスケス
世界銀行 社会・都市・農村開発・強靭性 グローバルプラクティス・シニアディレクター

廃棄物処理への資金支援

固形廃棄物処理システムには膨大な費用がかかります。このことから、同システムへの資金支援が幾度となく大きな試練となってきました。世界銀行の投資がこうした需要に応える国々を支援しています。

アゼルバイジャンでは、世界銀行の融資が主要埋立地の復旧と国営の廃棄物処理、会社の設立を支えました。これにより、フォーマルな固形廃棄物処理システムの恩恵を受ける人の割合は2008年の53%から2012年には74%まで増加しました。また支援の結果、より持続可能な廃棄物処理の慣行が進み、リサイクル及び再利用率は25%に達しました。

中国では、成果主義を基軸としたインセンティブ・プログラムが、家庭の台所ごみの分別を促進しました。8,000万ドルの融資は、近代的な嫌気性消化処理場の建設も支えました。この施設は有機性廃棄物を発酵させエネルギーを回収するためのもので、これにより300万人が恩恵を受ける見込みです。

ネパールでは、430万ドルの成果主義を基盤とした融資プロジェクトにより、5つの地方自治体で利用者手数料の徴収が増え、廃棄物の回収サービスが改善、住人80万人がその恩恵を受けました。

炭素を減らし強靭性を強化する

セクターの改善がなければ、固形廃棄物関連の排出量は、2050年までに26億トン(二酸化炭素換算値)まで増える可能性があります。極端な気候事象は、洪水を引き起こしインフラを毀損するとともに、コミュニティとそこで暮らす人々に移住を選択せざるを得ない状況をもたらします。廃棄物管理の改善はこうした気象事象への強靭性の強化に有効です。

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フィリピン・マニラのトンドのごみ捨て場でごみを燃やす人々 (写真: Adam Cohn / Flickr

パキスタンでは、550万ドルのプロジェクトが、市場開発と「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書(UNFCCC)」の下での排出量削減枠の売却に取り組むラホールの堆肥製造施設を支援しました。こうした活動の結果、排出量を二酸化炭素換算値で15万トン削減、堆肥生産量は1日あたり300トンから1,000トンまで増加しました。

ベトナムでは、固形廃棄物処理へ投資を行い、洪水の原因となる水のはけ口のつまりの防止策に取り組むカントー市を支援しています。同様に、フィリピンでも投資を行い、河川に流れ込む固形廃棄物を最低限に抑え洪水のリスクを軽減するためマニラ首都圏を支援しています。回収システムの改善を重点課題に据え、コミュニティを基盤としたアプローチを採用しインセンティブを設定したことが、マニラ湾をはじめ海のごみの削減に貢献しています。

誰一人取り残されることがないように

インフォーマルなリサイクル事業は、適切に支援し組織化することで雇用を生み、現地の産業の競争力を向上させるとともに、貧困を削減し地方自治体の支出を減らします。しかし現実には、世界で1,500万人を超えるインフォーマルなウェスト・ピッカー(廃棄物回収者)が存在します。女性、子供、老人、失業者、移住者を中心としたウェスト・ピッカーは、不衛生な状況にあり社会保障制度や健康保険に加入しておらず、社会の偏見にさらされています。

What a Waste 2.0によると、ウェスト・ピッカーの生活の向上のためには、ウェスト・ピッカーを正規雇用につなげ経済に組み込むことに加え、リサイクル・バリューチェーンを強化し、他の雇用機会を検討することなどが必要です。

たとえば、西岸地区では、世界銀行は融資により、住人200万人が利用する埋立地3カ所の建設を支援するとともに、ごみの投棄場を閉鎖し、ウェスト・ピッカーを対象とした持続可能な生計のためのプログラムの開発を支えました。融資の支払いとサービスの改善をリンクさせるなど、成果主義に立脚した融資を実行しました。

データ、計画、統合的廃棄物管理システムを重視

廃棄物に関するデータを重視する一方で、廃棄物管理に不可欠な融資、政策そして計画決定で各国を支援することが重要です。ソリューションには以下が含まれます:

·       最新鋭の廃棄物管理システムの構築のため、融資を最も必要としている国、なかでも最も速く成長している国に行う。

·       主要な廃棄物排出国を、包括的な廃棄物削減及びリサイクルプログラムを通し、プラスチックの消費と海のごみを減らすことができるよう支援する。

·       消費者教育、有機物管理、及び食料廃棄管理プログラムでの連携を通し、食料廃棄を減らす。

今すぐ行動を

急速な都市化と人口増加が進む今日、適切な廃棄物管理は持続可能で健全かつ包摂的な都市やコミュニティに不可欠です。何も対策を講じなかった場合、廃棄物が増え続け、世界は深刻な公害や汚染問題が増加する危険な道を歩むことになります。生命、生活、環境がより多くの犠牲を払うことになるのです。

この潮流を反転させる多くの解決策は既に存在しています。必要なのは、社会のあらゆるレベルでの早急な行動です。

今こそ行動に移す時です。

全データセットは www.worldbank.org/what-a-waste 、報告書のダウンロードはWhat a Waste 2.0: A Global Snapshot of Solid Waste Management to 2050.から入手できます。

What a Waste 2.0は、東京開発ラーニングセンター(TDLC)を通じ、日本政府が資金を拠出しました。