プレスリリース

新たに立ち上がった「アフリカの角」への開発イニシアチブに国際社会が数十億ドルの支援を誓約

2014年10月27日


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国連事務総長、世界銀行グループ総裁、イスラム開発銀行総裁など諸機関トップが
現地を訪れ、和平実現と経済発展を結び付けた支援を表明

エチオピア、アディスアベバ 2014年10月27日- 国際機関および地域開発機関のトップ達は本日より「アフリカの角」を訪問し、同地域の各国への政策支援、ならびに総額80億ドルを上回る新規の資金援助を行なうことを表明した。国連の潘基文事務総長、世界銀行グループ(WBG)のジム・ヨン・キム総裁、イスラム開発銀行グループ総裁と共に、アフリカ連合委員会、欧州連合、アフリカ開発銀行、政府間開発機構(IGAD)といった機関の幹部達が「アフリカの角」に一同に会することは画期的である。これにより各機関は、同地域の安定と開発の推進に向けて協力していく。

訪問の初日、世界銀行グループは、国境を越えて実施される「アフリカの角」イニシアティブに対し18億ドルという新規の資金援助を発表した。同イニシアティブは、経済成長と経済的機会の促進、貧困削減、ビジネス活動の促進を目指すものである。

同イニシアティブの対象は、ジブチ、エリトリア、エチオピア、ケニア、ソマリア、南スーダン、スーダン、ウガンダの「アフリカの角」8カ国である。

「今回の新規支援は、『アフリカの角』の人々のために、清潔な水、栄養価の高い食糧、保健医療、教育、雇用へのアクセス確保に向け新たに大きな機会を開くものである。『アフリカの角』では今、域内の安全保障確保、若者を中心とする平和の配当、国際協力のさらなる促進により、繰り返される干ばつ、食糧不足、水不足、紛争の悪循環から脱却する機会が高まっている」と、世界銀行グループのジム・ヨン・キム総裁は述べた。

今回の「アフリカの角」訪問を主導した国連の潘基文事務総長は、「『アフリカの角』の各国は、経済成長と政情の安定において予想以上の進歩を遂げつつある。今まさに、各国の取組みを支援し、紛争と貧困の悪循環を断ち、脆弱な社会から持続可能な社会へと移行する正念場を迎えている。国連は、他の国際機関や地域開発機関と緊密に協力し、調和のとれたアプローチをもって『アフリカの角』の和平、安全保障、開発を推進していきたい」と述べた。  

欧州連合もまた、同地域の国々に2020年までに総額約37億ドルの支援を行い、うち約10%をクロスボーダー活動に充てることを打ち出した。さらにアフリカ開発銀行は、「アフリカの角」諸国に今後3年間で18億ドルを支援する用意があると発表した。イスラム開発銀行は、「アフリカの角」の4カ国(ジブチ、ソマリア、スーダン、ウガンダ)に対して、最大10億ドルの新規融資を誓約している。

「アフリカの角」地域は多様性に富んでいる。中には急成長を遂げつつある国もあり、豊富な天然資源もある。だがその一方で、極度の貧困状態にある人々を多く抱え、その数は数年間毎に倍増している。若年層の数が増加しているが、彼らの間には失業が広がっている。特に女性の場合は、女性であるがために計り知れないほどの障害が立ちはだかっている。土地の権利や教育の制限がある他、経済的機会の追及や家族やコミュニティのための生活水準改善を図ろうにも社会的慣習がそれを阻んでいる。

同地域では、腐敗、海賊行為、武器や麻薬といった違法取引が蔓延している。また、テロやテロ関連の資金の流れが相互に絡み合い、同地域における大きな脅威となっている。人身売買の問題も域内で深刻化しつつある。だが、こうした問題に根本的に対処すべく域内協力を通じた取り組みが各地で続けられているのは賞賛に値する。

こうした努力を後押しすべく打ち出された今回の支援は、国連の潘基文事務総長一行のアフリカ訪問初日に発表された。一行は滞在中、和平、安全保障、強靭性について話し合う。潘基文国連事務総長の他、世界銀行グループのジム・ヨン・キム総裁、イスラム開発銀行グループのアフマド・ムハンマド・アリー・アル・マダニ総裁、アフリカ連合委員会のエラスムス・ムベンシャ副委員長、政府間開発機構(IGAD)のマブーブ・マーリム事務局長 、アフリカ開発銀行グループのユースフ・ウエドラオゴ総裁特別顧問、欧州委員会の開発・協力総局のマーカス・コルナロ副総局長、欧州連合のアレクサンダー・ロンドス「アフリカの角」特別代表らが参加した。

世界銀行グループによる18億ドルの新規支援パッケージは、上記8カ国への既存の開発プログラムに加えて実施されるもので、域内各地において、難民や国内避難民など特に弱い立場の人々や受け入れ先コミュニティのための更なる経済的機会の創出に充てられる。戦争や政情不安の結果として発生した難民と国内避難民の数はそれぞれ、270万人以上と600万人以上に上る。世界銀行グループは、同地域の伝染病の調査、診断、治療の能力を整えられるよう支援していく。

こうした疾病の多くは、貧困、難民、栄養不良、非識字率、劣悪な衛生・住宅事情に関連して発生し、また悪化する。「アフリカの角」地域で国境を越えた貿易・経済活動が増えるのに伴い、疾病管理の取組みや大流行への準備態勢の強化にも並行して投資する必要が生じるだろう。

世界銀行グループはまた、地域輸送路やICT/ブロードバンド接続の拡充を通じた域内各国の相互結び付きの強化、民間セクター市場の競争力向上、国際貿易の振興、パイプライン設置による石油・ガスの域内開発、大学などの高等教育の充実を支援していく。

世界銀行グループの新規支援パッケージのうち6億ドルは、民間セクターを支援するグループ機関の国際金融公社(IFC)を通じて提供され、「アフリカの角」諸国の経済発展に充てられる。今回の「アフリカの角」イニシアティブの下で行なわれるIFC投融資の対象は、ウガンダとケニアを結ぶ域内パイプライン、貯蔵、加工、種子に関するアグリビジネス拡大への追加投融資、製薬、再生可能エネルギー、運輸の各セクターで模索される官民パートナーシップなどがある。また、景況感と投資、市場アクセス、民間融資へのアクセスの改善に向けた政府や企業に対する財務面の助言と支援も行われる。さらに、多数国間投資保証機関(MIGA)から2億ドルが、政治リスク保証に提供される。

世界銀行グループの新たな報告は、ケニアとウガンダで石油生産が開始されれば「アフリカの角」地域に劇的で長期的な変化がもたらされるだろうと指摘している。この他、ソマリアとエチオピアでも石油生産が始まる可能性がある。

欧州連合(EU)による「アフリカの角」へのアプローチは、2011年に採択された戦略的枠組みに基づいている。2014年~2020年の支援プログラムは、世界銀行の「アフリカの角」イニシアティブの基盤となった分析に基づいており、同地域の大きな潜在性を解き放つため取り組まなければならない開発アジェンダに焦点が当てられている。EUの支援は主に、「アフリカの角」イニシアティブの3つの柱である成長促進、強靭性構築による貧困削減、経済機会の創出が対象となる。

「EUは、『アフリカの角』地域との長年にわたるパートナーシップをさらに深め、強靭で説明責任を果たせる政治構造の構築、貿易と経済協力の拡大、和平努力への経済的支援、人道援助と開発協力の実施を行なう準備がある」と、欧州委員会のアンドリス・ピエバルグス開発担当委員は今回の訪問に先立ち述べた。

一行に加わったその他の各機関トップも、「アフリカの角」地域が繁栄し、将来の紛争を回避するには、新たな開発援助が必要である旨を表明している。

イスラム開発銀行グループは、ジブチ、ソマリア、スーダン、ウガンダに対する2015年~2017年の新規支援の対象を、インフラ整備、食糧の安全保障、人材開発、貿易といった重要テーマに絞るとした。アラブ調整グループからも、同じく2015年~2017年の期間に20億ドルが提供される見通しがある。

今回の発表について、イスラム開発銀行グループのアフマド・ムハンマド・アリー・アル・マダニ総裁は、「アフリカの角は、アフリカ大陸の玄関であり、西アフリカへの橋わたしの機能も担っている地域である。『アフリカの角』で安定と持続可能な開発が実現されれば、大陸全体の安定に大きく貢献することは間違いない。イスラム開発銀行グループは、今回『アフリカの角』が改めて注目されたことを重視し、アラブ調整グループを含めた全てのパートナーと協力して、域内協力、さらには4カ国を中心に『アフリカの角』地域の経済再生を支援していく所存だ」と述べた。

「同地域の置かれている複雑な環境を鑑みれば、『アフリカの角』で成果を挙げるのは、単なる資金的な支援ではなく、各国とのリーダーシップの下で一丸となって協調して取り組むという強い意思と覚悟である。我々はこのことを肝に銘じる必要がある」と、アフリカ開発銀行グループのユースフ・ウエドラオゴ総裁特別顧問は述べた。

アフリカ連合委員会のエラスムス・ムベンシャ副委員長は、「平和と安定の実現に向けた我々の努力を、『アフリカの角』の人々や国に対する投資をもって、より一層強化しなければならない」と付け加えた。

世界銀行グループが本日発表した「アフリカの角」地域に関する新たな報告は、同地域の持つ潜在性を次のように説明している。「『アフリカの角』は様々な課題を抱えているが、域内経済相互依存の拡大に向けた確かな政策的機運の兆しが見える。『アフリカの角』の各国は、東アフリカ共同体、東アフリカの政府間開発機構(IGAD)、東南部アフリカ市場共同体(COMESA)に徐々に加盟し始めており、協力強化により安全保障と開発の両方の問題を解決しようという強い政治的意思を示す国もある。その証拠に多くの国が、和平活動に軍を派遣し、外交イニシアティブに参加している。」

「今回の取り組みはパートナーシップを基盤としたアプローチの際たるものであり、IGAD加盟国の強靭性強化にも大きく貢献するだろう」と、IGADのマブーブ・マーリム事務局長は述べた。

国連の潘事務総長と世界銀行グループのキム総裁が連れ立ってアフリカを訪問するのは、過去18カ月間で3回目である。2人は、2013年に大湖地域とサヘル地域を訪問し、和平と開発の両方を推進することの必要性を訴えた。これまでの2回の訪問でキム総裁は、保健、教育、栄養、エネルギーへのアクセス、職業訓練といった分野のプログラムの改善に総額27億ドルの支援を誓約している。

和平・開発のためのこれまでの地域イニシアティブの成果については、以下のウェブサイトをご覧ください。
https://www.worldbank.org/en/region/afr/brief/world-bank-group-sahel-and-great-lakes-initiatives   

「アフリカの角」に関する世界銀行グループの最新の地域報告は以下のウェブサイトをご覧ください。
https://documents.worldbank.org/curated/en/2014/10/20316926/
   

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欧州連合: Sven Ruesch, phone: +32 2 295 87 59, Sven.Ruesch@ec.europa.eu

イスラム開発銀行: Muhammad Jameel Yusha'u, phone: +966-12-646 6492; myushau@isdb.org

アフリカ連合委員会(AUC): Habiba Mejri-Cheikh, habibam@africa-union.org

アフリカ開発銀行(AfDB): Joel Serunkuma Kibazo, work: +225-20262024, j.kibazo@afdb.org



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プレスリリース番号:
2015/171/AFR

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