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BRIEF

日本と国際開発協会(IDA)

2020年1月27日

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2019年世界銀行グループ・IMF年次総会 “IDA IMPACT: A CALL TO ACTION”(写真:世界銀行  / Ike Hayman)


国際開発協会(IDA)は世界銀行のグループ機関で、世界の76の最貧国(うち39カ国はアフリカ諸国)に対する資金援助を行っています。1960年に設立されたIDAは、貧困削減に向けた経済成長促進、生活水準向上のため、インフラ、保健・教育、気候変動・防災等の分野で、超長期・低利の融資及び贈与を行っており、融資期間も最長 40 年(内、据置 10 年)に渡ります。

日本は累積出資額ではアメリカに次ぐ第2位のドナー国であり、同時に政策面においても、例えば、インフラ、保健、防災分野の支援強化をリードするなど、IDAの進展に大きく貢献しています。

IDA第19次増資交渉

IDA の活動は、 主に加盟国からの出資金で支えられており、3年に一度、必要資金の補充のため増資を実施しています。2019年4月から2019年12月にかけてIDAの第19次増資交渉(IDA19)が行われ、2019年12月13日、各国政府は新たに820億ドルを拠出することを発表しました。資金計画は3年単位で立てられ、2021年度から2023年度の期間における支援方針では、全体テーマに「成長、人々、強靭性」、特別テーマに (1) 気候変動、(2) ジェンダー、(3) 脆弱性・紛争・暴力、(4) 雇用ならびに経済的変革、(5) ガバナンスと組織・制度の構築、を選定し、自然災害やパンデミック(感染症の世界的な大流行)等の危機に対する予防、備え、対応の強化など、日本の優先課題とも方向性を共にした支援が行われる予定です。また、IDAを通じて日本の知見を途上国の貧困削減と持続的な開発に役立てるため、日本人職員の採用に力を入れています。

世銀が掲げる「貧困の撲滅」と「繁栄の共有」という2大目標と持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた低所得の開発途上国の活動を支援するため、IDAは新たな資金源として、1960年の設立以来初となる債券市場からの資金調達をドナー国に提案し、2016年9月、格付け会社であるムーディーズ社とスタンダード&プアーズ社により、同機関初の格付けとしてAaa/AAAを付与されました。2018年4月には、IDAは約60年の歴史上初めてIDA債を発行して国際資本市場への参入を果たし、これにより支援の原資を資本市場からも調達できるようになりました。IDA債はこれまでに初回債とあわせて合計三銘柄が発行されています。


IDAの取組例

テーマ

インフラ

世界では、5人に2人が電力へのアクセスを持たないほか、3人に1人は安全な飲料水を利用できません。エネルギー、水、交通、都市化等への対応は喫緊の課題です。

インフラ分野での取り組み

ギニア
2014~18年、国営電力会社の技術改善の恩恵を享受した人が140万人から190万人(内52%が女性)に、1日当たり平均サービス時間は12時間から18時間に、それぞれ増加し、電力損失の割合は年間42%から32%に低下。

ミャンマー
2015~18年、各世帯への送電線接続により110万人に、再生可能なオフグリッド又は小型水力発電により2万2,924人に、ハイブリッド・ソーラーのミニグリッドにより109万人に、それぞれ電力を供給(受益者の内、女性は54万8,052人)。同期間に、1万4,280のコミュニティが電気に接続(内122がグリッド接続で、7,931がオフグリッド又はミニグリッド)。

ラオス人民民主共和国
2010~17年、2本の国道(全長171キロ)が整備され、移動時間がそれぞれ50%と72%短縮。同期間に、813キロの農村道路と366キロの農村以外の道路を修復し、1,600キロの州道を整備。
 

グローバル・ヘルス

IDAは、 最貧国においてもすべての人々が保健、教育、社会的保護といった基礎的サービスにアクセス可能とすること、そして政府機関のガバナンス構築に向けた努力を支援しています。特に、若年層の雇用、緊急援助への支援等を優先としています。

グローバル・ヘルス分野での取り組み

カメルーン
2016~18年、29万348人の子供が予防接種を受け、合計210万人の母子に基礎的な栄養サービスを実施し、貧困層・脆弱層に対し31万9,912件の健康相談を無料で提供。

カンボジア
2018年、1,320万人(内780万人が女性)に保健・栄養・人口の基礎的サービスを提供。3万7,267人の女性が子宮頸がんの検査を受け、250万人が外来診療を受診。

タンザニア
2014~18年、熟練した保健専門家の立会いの下での出産の割合が45%から78%に増加。2012~18年、4回以上産前ケアを受診した妊婦の割合が41%から61%に増加。ビタミンAを1回以上服用した生後12~59カ月の乳幼児の割合は51%から100%に増加。

さらに詳しく
バングラデシュ:がん診断のプロトタイプ機開発に貢献する高等教育研究への投資

 

気候変動と防災

IDAは、IDA18対象期間の最初の2年間には、気候変動適応策に78億ドル、気候変動影響緩和策に59億ドルを提供し、各国の気候変動対策を支援しました。また、IDAのプロジェクトは全て、短期的、長期的な気候変動・災害リスクの影響に関するチェックを受けています。「防災の主流化」は世界銀行グループにとって重要な課題であり、IDAにおいても、気候変動リスクに対し最も脆弱な途上国が、自然災害リスクに対して強靭な社会を構築できるように各国の取り組みを支援しています。

気候変動と防災分野での取り組み

ガーナ
起業家や中小企業による有益で地域に適した気候変動対策の開発を支援するため、ガーナ気候イノベーション・センターを設立。2016~18年、環境技術分野の対象企業で売上高が79万6,613ドル増加し、4万1,512世帯が改善された新製品・サービスへのアクセスを確保。

ネパール
2015~18年、6万400世帯(25万9,720人)が耐震性の高い心柱工法による住宅再建の恩恵を享受。9,319人の職人にマルチハザード耐性建築の研修を、29人の政府職員に災害リスク管理の研修を実施。

パキスタン
2015~18年、洪水防止堤防の修復により84万931人(内42万5,527人が女性)が恩恵を享受。150キロメートルの堤防を修復又は建設。2018年、災害と気候の脆弱性リスクにさらされている98万6,033人にモバイル・ショートメッセージ・サービスを通じて早期警告通知を提供(2015年は5万人)。

さらに詳しく
バングラデシュ沿岸地域の強靱性:洪水・高潮被害から沿岸のコミュニティを守る
サモアにおける障害者のアクセス改善と災害への備えの強化

 


地域

世界の貧困の約92%がサブサハラ・アフリカ、南アジア、東アジア・大洋州の3地域に集中しており、IDAの支援は約93%がアジア、アフリカに対して行われています。IDAは支援終了国(卒業国)が持続的に成長を続け、開発効果が損なわれ貧困国に逆戻りしないよう幅広い取り組みを支援しており、これまで35カ国がIDAを卒業しています。
 

アジア

IDAはアジア(東アジア、南アジア)地域の21カ国(東アジア地域:小島嶼国10カ国を含む15カ国、南アジア地域:6カ国)に対して支援を行っています。2019年度のIDA承認額は、東アジア地域に対して13億ドル、南アジア地域に対して48億ドルです。

アジア地域における取り組み

アフガニスタン
2018年、農村部の2,040万人(農村人口の89%)に対し全天候型道路へのアクセスを提供(2013年は1,360万人(同58%))。

バングラデシュ
2012~17年、農村部の150万人に整備された水源へのアクセスを提供し、2万475 カ所に給水所を建設又は修復。水道アクセスを得た世帯は、2万1,802世帯から7万1,506世帯に増加。官民の参加により、37の給水所を建設。

パプアニューギニア
2011~18年、受益者の1ヘクタール当たり収穫高が、カカオ豆は169トンから728トンに、コーヒー豆は382トンから566トンにそれぞれ増加。1万8,321ヘクタールのコーヒー豆畑及び3,746ヘクタールのカカオ豆畑に改善された管理方法を導入。
 

アフリカ

IDAはアフリカで、電気の通っていない地域に住む数百万人へのクリーン・エネルギーの提供、そして、自然災害や、エボラ出血熱のような感染症が発生した国々への緊急援助から復興支援に至るまで、幅広い支援を行っています。

IDAはサブサハラ・アフリカ地域の39カ国に対して支援を行っており、2019年度のサブサハラ・アフリカ地域に対するIDA承認額は142億ドルです。IDAの支援を受けたサブサハラ・アフリカ諸国では、1日1.90ドル未満で生活する最貧国層の割合は2012年の44%から2015年は41%に減少しました。

アフリカにおける取り組み

マリ
農業競争力強化プロジェクトにより、加工マンゴーの生産量が、2016年の年間600トンから2018/19年は同1万5,280トンに増加。加工飼料の製造量は、2016年の年間14万7,565トンから2018年は同35万トンに増加。

モーリタニア
2016~18年、持続可能な漁業管理を促進するため4,980万ドルの民間投資を実現。2019年初旬、鮮魚類の輸出が2016年の936トンから7,086トンに増加。

ルワンダ
2009~18年、灌漑を実施した丘陵地帯の生産性が1ヘクタール当たり492ドルから5,639ドルに、灌漑を実施していない丘陵地帯の生産性は同469ドルから3,471ドルに、それぞれ増加。

さらに詳しく
ベナン:受益者に具体的な成果をもたらしながら、農業の課題に立ち向かう
ルワンダ:農村開発と社会的保護の拡大を通じて脆弱性の軽減と市民の社会・経済参加を促進
エチオピアにおける経済成長と繁栄の共有促進:生計の向上、強靭性の強化を通じて、より良い未来を作る