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Results Briefs 2019年11月8日

ベナン:受益者に具体的な成果をもたらしながら、農業の課題に立ち向かう

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ザンビエで養殖業を営むユージニー・フェイズン


ベナンの農業に対する世界銀行の支援は、主に「農業生産性向上・多様化プロジェクト (PADA)」と「西アフリカ農業生産性向上プロジェクト (WAAPP)」を通じて実施されています。世界銀行の支援は、農業生産性を高め、農産物加工を改善し、輸出量を増やすことにより、受益者の所得向上につながっています。プロジェクトの直接受益者は合計100万人(内、39%は女性)です。

課題

ベナンは、労働力の半数近くが従事する農業セクターを成長させるにあたり、大きな課題に直面していました。他のセクターと比べると、農業セクターの成長が低い状態でした。多くの農村では農業の生産性が低く、生産量は着実に増えているものの、その裏ではサブサハラ地域平均の2倍を超えるペースで森林が減少していました。

農業セクターは、持続可能な成長と雇用を促進する可能性を持っていますが、今も雨量と主要一次産品である綿に大きく依存しています。しかも、綿の生産性は依然として低い水準にあります。これまでの成長スピードでは大幅な貧困削減は望めません。ベナンの農業生産システムは耕作面積の拡大と家族労働を前提としており、改良された材料や近代的な農法、農業設備は限定的にしか利用されていませんでした。

アプローチ

世界銀行は、投資プロジェクトや知識成果物、開発政策融資など、様々な手段でベナン政府が農業改革を達成できるよう支援しました。生産性の低い自給型農業から、生産性と付加価値の高い農業に移行することを目的に、農家の所得向上を支援し、急増するベナンの労働人口に雇用を提供しました。本プロジェクトはキャパシティ・ビルディングとマッチンググラントを通じて、農業生産性を高める技術の普及と利用拡大に貢献しました。

これらの支援策は、技術の向上や質の高い加工設備の利用拡大を通じて、農産物の加工も促進しています。輸出品を多様化するために、近代的な農法の利用や輸出市場の理解、品質基準の遵守、適切な梱包にも重点が置かれました。これらの支援の中でも、特に注目されたのはジェンダーと女性のエンパワーメントです。

このアプローチは「国別パートナーシップ枠組み(CPF)2018~2023年」に記載されています。現在のCPFのもとになっているベナンの体系的国別診断 (SCD)は、国内の天然資源を有効活用しつつ、生産性の高い仕事を創出する主要な方法として、農業セクターが持つ大きな可能性を活かすことを重視しています。

成果

世界銀行の支援により、ベナンでは農業の多様化、生産性の向上、農産物の加工、綿以外の農作物の増産について大幅な進捗が見られました。

  • PADAの直接受益者は、2021年2月までに25万人という目標に対し、2019年7月15日現在の実績は24万3,664人(内、39%は女性)です。
  • WAAPPの直接受益者は、2019年12月までに90万人という目標に対し、2019年7月15日現在の実績は75万3,387人(内、40%は女性)です。
  • 農産物の加工量は、2021年までに24万トンという目標に対し、2019年7月15日現在の実績は22万5,467トンです。
  • PADAは農産物の輸出量増加に貢献し、2012年3月から2019年7月の間に、カシューナッツの輸出量は2万5,000トンから21万8,830トンに、パイナップルの輸出量は2万トンから15万1,195トンに増加しました。
  • PADAは対象一次産品の1ヘクタール当たりの収量増加に貢献し、2012年3月から2019年7月の間に、トウモロコシの収量は1.2トンから2.2トンに、コメの収量は4トンから4.53トンに、パイナップルの収量は50トンから60トンに、カシューナッツの収量は0.45トンから0.62トンに増加しました。
  • 2012年3月から2019年7月の間に、PADAの下で約200の貯蔵施設、倉庫と60の乾燥エリアが建設され、その結果、特に食用作物とカシューのポストハーベスト・ロスが大幅に減少しました。
  • 2019年7月現在、複数の研究基盤が建設や改修(土壌学、水、環境関連の研究室の建設、トウモロコシ専門の国家センター の設備改修)されたほか、農業研究と教育研究室の水準を引き上げ、不安定な降雨に対する研究や採種畑の脆弱性を低減するために、小規模な灌漑設備等の追加設備が導入されました。WAAPPは受益研究機関の認定プロセスの円滑化にも取り組んでいます。
  • WAAPPは研究やサービスを強化するため、2019年7月現在、117人(内、46人は女性)の学生に高等教育機関に進学するための奨学金を授与しています。内訳は、修士課程が91人(内、50人が卒業)、26人が博士課程(全員が修了)です。
  • PADAは2012年3月から2019年7月の間に、5万9,000人の家畜生産者(内、2万3,600人は女性、受益者の40%に相当)が改良品種を導入し、近代的な畜産慣行を取り入れることにより、生産性を高め所得増加につながるよう支援しました。
  • PADAは2012年3月から2019年7月の間に、ワクチンキャンペーンを通じて畜産生産者を支援しました(21万6,762匹の小型反芻動物と177万2,701羽の家禽にワクチンを接種した結果、家畜の死亡率が低下)。
  • 2019年7月現在、農業食品の生産、加工、販売を手がける230の零細・中小企業がマッチンググラント制度を通じてPADAの支援を受け、現在も事業を継続しています。  

世界銀行グループの支援

現在、IDAが支援するベナンのプロジェクトは20件(全国プロジェクトが14件、地域プロジェクトが6件)、コミットメント総額は純額で12億7,200万ドル(全国プロジェクトに9億593万ドル、地域プロジェクトに3億6,687万ドル)です。この支援を補完するものとして、さらに1件の受益国実施型の信託基金(30万ドル)が国家統計局に提供されています。投資先で見ると、一番多い分野がインフラセクター(主に農業、エネルギー、水、都市開発)、2番目に多いのが社会セクター(社会的保護、コミュニティ主導型開発(CDD)プロジェクト等)です。この他、教育、観光、民間セクター開発、情報通信技術(ICT)等のセクターも支援を受けています。国際金融公社(IFC)の対ベナン戦略は、(i)主に農業バリューチェーン関連のプロジェクトを開発すること、(ii)現地銀行とのパートナーシップ構築を通じてジョイントベンチャーを育成し、マイクロファイナンスや零細・中小企業(SME)セクター向けの金融商品を開発すること、(iii)民間投資を促進するための改革に取り組む政府に技術協力を提供し、投資環境の改善を支援すること、です。IFCは現在、ベナンの金融セクターに2,900万ドルを支援しているほか、アドバイザリー分野でもエネルギー、貿易、投資環境改善の分野で合計300万ドルを支援しています。

パートナー

世界銀行は、ベナンの農業セクター開発計画を支援している他の開発関連機関とも連携しています。こうした機関の例としては、アフリカ開発銀行、国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、ドイツ経済協力開発省(BMZ)、オランダ開発協力省、欧州連合、フランス開発庁(AFD)、ベルギー技術協力公社 (Enabel)、日本の国際協力機構(JICA)、米国国際開発庁(USAID)などがあります。

今後の展望

世界銀行グループのベナン支援は、2019~2023年度の国別パートナーシップ枠組み(CPF)に基づいています。本CPFは2018年7月5日に世界銀行理事会で承認されました。IDA第18次増資のうち、ベナンには約4億8,500万ドルの配分額が示されており、すでに2018年度と2019年度の融資が決定しています。IDA第19次増資からの配分額は、全額がCPF実施期間の後半に割り当てられる予定です。ベナンは現在までに3億3,000万ドルのスケールアップ・ファシリティ(SUF)と合計3,123万ドルの信託基金を受けています。

CPFは、ベナンが極度の貧困撲滅及び繁栄の共有促進という世界銀行グループの2大目標 の阻害要因を乗り越えられるよう支援することを目指しています。提案されているプロジェクトの多くは、(i)競争力と生産性を高めるための構造改革、(ii)人的資本への投資、(iii)気候に対する強靱性の強化と脆弱性の軽減、という三つの領域と関連しています。

本プログラムは、限りある資源を有効活用すると同時に、影響力の大きい成果に重点を置いています。IDAからの配分額は、グループ間の相乗効果を利用し、IDA18、IDA19、そしてアフリカ地域向け特別イニシアティブを有効活用し、開発資金を最大化し(MFD)、他の国際開発機関とそれぞれの強みを活かしながら連携することにより、優先順位を付けて活用される予定です。

受益者

アグアゴン村のパーボイルドライス女性協同組合の組合長、シプリアン・ドスは次のように述べています。「コメのパーボイル加工によって収入を大きく増やすことができました。」 

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グラズエ市アグアゴン村で暮らすシプリアン・ドスは、村のパーボイルドライス女性協同組合「Tinkpon-Alissogb」の組合長です。この組合は、農業生産性向上・多様化プロジェクト(PADA)の支援を受けています。「プロジェクトで学んだパーボイル加工のおかげで、処理できるコメの量が増え、収入を増やすことができました。」 
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PADAの支援をもとに、協同組合は乾燥エリア、選別板、会議用の事務室を備えた小さな加工場を建設しました。新しい加工場には従来型のオーブンとコメのパーボイル加工用の道具が設置されています。「組合員は17人で、5年前にコメのパーボイル加工を始めました。加工で得た収入を使って、各組合員の農地とは別に、組合として2ヘクタールのコメ栽培用地を購入しました。キャッシュ・フローが改善したので、他の栽培農家から稲を追加で購入し、パーボイルドライスの需要を増やしています。」
 

 

「支援のおかげで養殖場の売上を増やすことができました。」(ザンビエの養殖家、ユージニー・フェイズン) 

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ユージニー・フェイズンが所有するゼ市ザンビエのヨハン・エステベ養殖場は、農業生産性向上・多様化プロジェクト(PADA)の成功例の一つです。フェイズンは1,460万CFAフランのマッチンググラントを使って、幼魚用の養殖場を建設し、設備を増強しました。その結果、テラピア幼魚の生産量は7万5,000匹から12万8,600匹に、クレラック幼魚の生産量は5万匹から7万5,000匹に増えました。 
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 「グラントを使ってテラピアとクレラックの幼魚用に五つの養殖池をつくり、発電量の多い自家発電機を購入し、井戸を掘り、優良品種を仕入れました。この投資のおかげで養殖場の売上が伸び、その利益を再投資して市場出荷用の魚の生産量を増やすことができました。」