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Results Briefs 2017年12月1日

サモアにおける障害者のアクセス改善と災害への備えの強化

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バイテル通りは、サモアの首都アピアから伸びる幹線道路です。道路アクセス強化プロジェクト(ERAP)により、この道路は4車線に拡張され、さらに歩行者や地元住民の安全性を高めるために、歩道や信号機、排水路も整備されました。


サモアは異常気象により被害を受けた重要な道路を修復し、主要な道路や橋の気候変動に対する強靭性を強化するため、道路アクセス強化プロジェクト(ERAP)に着手しました。多くの太平洋島嶼国ではバリアフリー化が持続可能な開発を実現するための有効な手段になるという認識から、本プロジェクトではバリアフリー化も推進されています。

課題

現在、サモアの交通セクターは多くの太平洋島嶼国と同様に、障害者のニーズに十分に対応していません。そのため、障害を持つ住民にとっては通勤のような日常的な行動ですら困難を伴います。しかも、サモアは熱帯性低気圧や洪水、地震に非常に弱く、こうした事象が発生すると、インフラサービスの提供や財、社会サービス(保健施設など)へのアクセスが滞ります。気候変動がもたらす影響により、混乱は今後さらに拡大し、障害者が直面する課題はますます増加する可能性があります。目下の課題は、障害者の生活条件の改善です。問題は大きく二つあり、一つは日常生活のバリアフリー化を推進し、障害者が確実に社会に参加できるようにすること、もう一つは災害への備えを強化し、脆弱なコミュニティの社会的強靭性を強化することです。

アプローチ

道路アクセス強化プロジェクト(ERAP)では、脆弱なコミュニティのニーズに積極的に対応し、プロジェクトの実施に主要ステークホルダーからの助言を反映するため、工事の設計段階においてアクセス指針とアクセス監査が導入されました。道路や橋の建設工事では、天然資源環境省が発行するアクセス指針が参照され、工事に着手する前に、障害者が利用しやすい設計になっているか、スロープ、広い舗道、標識といったバリアフリー機能が考慮されているかが確認されました。アクセス監査では、さまざまなニーズを持つ障害者が現場を視察し、採点システムを利用して改善可能な点を指摘しました。また、ERAPが資金を提供するインフラ投資プロジェクトでは、気候変動に対する強靱性と信頼性を確実に高めるために、主要輸送ルートの設計には、より高い基準が適用されています。


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成果

本プロジェクトのアクセス監査は、障害者の権利擁護機関であるNuanua o le Alofa(NOLA)が実施しました。サモアではこれまで定期的なアクセス監査は実施されていなかったため、アクセス監査の導入は障害者に適した、利用しやすい設備を整備する助けとなりました。障害者が自由に、容易に、かつ安心して移動できるようにするというプロジェクトの目標は、「すべての道路利用者に持続可能なアクセスを提供する」というERAPの主要評価項目とも一致していました。気候変動に対するインフラの強靱性を強化することは、長期的には深刻な気象事象に対する社会全体の強靱性の強化につながります。災害に強い交通網、安定したインフラアクセスがあれば、災害が起きても効率的かつタイムリーに対処できるからです。

また、本プロジェクトは脆弱なコミュニティが抱える課題やニーズに対するコミュニティと省庁の意識を高める上でも効果的でした。サモアの陸上交通庁(LTA)とNOLAが連携を強化し、継続的にコミュニケーションを取ることで、組織・制度も強化されました(LTAは国道や陸上交通インフラの計画、建設、保守、監督を担当する官庁)。例えば、LTAはアクセス監査の円滑な実施を支援し、NOLAはLTA向けに手話コミュニケーション研修を実施しています。

世界銀行グループの支援

道路アクセス強化プロジェクト(ERAP)は、世界銀行の最貧国向け基金である国際開発協会(IDA)から1,500万ドル、世界銀行の危機対応融資制度から500万ドルのグラントを受領しています。

パートナーシップ

本プロジェクトの実施機関はサモア政府です。NOLAのような現地組織とのパートナーシップは、障害者の社会参加を促進することにより、プロジェクトが高い成果を上げ、広範な社会的結果を達成する一助となっています。

本プロジェクトは、オーストラリア政府、太平洋地域インフラ・ファシリティ(PRIF)、オーストラリア太平洋島嶼国パートナーシップからも1,300万豪ドルの支援を受けています。

今後の展望

本プロジェクトのアプローチは、国内の将来のプロジェクトにも活用できます。サモアにとっては、ステークホルダー間の関係をさらに強化できるメリットがあり、NOLAも将来のプロジェクトに参加する意思を明確に表明しています。

他の太平洋島嶼国も、サモアのプロジェクトの教訓をもとに、脆弱なコミュニティのためのプロジェクトを計画することができます。監査に要する時間や費用は比較的少ないため、そのまま、またはわずかな調整を加えるだけで、無理なく実施できる見込みです。

受益者

主な受益者はアピアの障害者であり、インフラ投資により、自宅と職場、あるいは外出先を、現在と将来にわたって、自由に行き来できるようになります。