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特集 2019年9月10日

ネパールと日本の専門家、ネパールにおける強靭な再生可能エネルギー分散型電力システム構築の最適なソリューションを議論

2019年9月10日 - 11日
ネパール、カトマンズ

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講演者と討論者との間で対話型議論が行われました。

世界銀行は、ネパール政府および代替エネルギー促進センター(AEPC)と共同で、「ネパールにおける気候変動や災害に強い再生可能エネルギー分散型電力システムの強化」に関するワークショップを、9月10日と11日の2日間にわたり、ネパールの首都カトマンズにあるヤク&イエティホテルのダルバールホールにて開催しました。このワークショップには、ネパール政府、開発パートナー、日本のエネルギーセクターから専門家チームが招かれ、ネパールにおける強靭な再生可能エネルギー分散型電力システムの構築方法に関する情報がもたらされました。

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ワークショップは、世界銀行 ネパール・スリランカ・モルディブ担当局長 イダー・Z・スワライ・リディハフ博士(Dr. Idah Z. Pswarayi-Riddihough)、AEPC事務局長 マドゥスダン・アディカリ氏(Mr. Madhusudan Adhikari)、そしてエネルギー・水資源・灌漑省(MoEWRI)次官補 ナビン・ラジ・シン氏(Mr. Nabin Raj Singh)による歓迎あいさつで始まりました。

ワークショップ初日の冒頭のセッションでは、AEPCのサントーシュ・ライ氏(Mr. Santosh Rai)がミニグリッドプロジェクトの概要およびプロジェクトから得られた教訓について発表しました。

AEPCが得た教訓に応じる形で、日本の専門家は、強靭なインフラを実現した経験を報告しました。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の廣瀬圭一博士は、2011年に発生した東日本大震災の際も中断することなく稼働し続けた「仙台マイクログリッドシステム」の運用経験について発表し、東京電力パワーグリッドの横澤康浩氏と東芝エネルギーシステムズの竹田大輔博士は、洪水や地震に強いシステムの設計、および先進技術を利用したモルディブの再生可能エネルギーマイクログリッドシステムに関するフィジビリティスタディ(実行可能性調査)について話しました。また、東洋大学の笹森早苗氏は、官民間における災害リスクの適切な割り当てなど、官民パートナーシップ(PPP)の下で強靭なインフラを実現するに当たっての重要な検討事項について説明しました。

2日目には、九州大学のキーリー・アレクサンダー竜太博士が、強靭なバッテリーや太陽光発電の設計、および再生可能エネルギーに基づくミニグリッドシステムの最適な設計について、また、関西電力の平山哲也氏は、高度なスマートグリッド技術、および緊急災害対策本部を活用した対応策について紹介しました。

ネパールのエネルギーセクターおよび災害リスクの専門家からは、特に自国の観点からの意見が提示され、その後、対話型の議論が行われました。講演者は以下の通りです。永見光三博士(国際協力機構 [JICA] ネパール事務所)、ラメシュ・グラガイン博士(Dr. Ramesh Guragain:ネパール地震工学協会 [National Society for Earthquake Technology] )、ナラヤン・プラサード・チャウラガイン博士(Dr. Narayan Prasad Chaulagain:ドイツ国際協力公社 [GiZ] )、アニュスーヤ・ジョシ博士(Dr. Anusuya Joshi:AEPC)、マノジ・カドカ氏(Mr. Manoj Khadka:英国国際開発省 [DFID] )、スボード・アディカリ(Mr. Subodh Adhikari:世界銀行 [World Bank] )、ビーシュマ・パンディット氏(Mr. Bhishma Pandit:国際金融公社 [IFC] )、プシュカル・マナンダー氏(Mr. Pushkar Manandhar:アジア開発銀行 [ADB] )、ニラージ・スベディ氏(Mr. Niraj Subedi:ドイツ復興金融公庫 [KfW] 開発銀行ネパール支部)、ランジュ・パンディ氏(Ms. Ranju Pandey:ネパール電力公社 [NEA] )。

最後に世界銀行の市川瑛里子が、各セッションの議論をまとめました。ネパールにおいて強靭な分散型電力システムを構築するために得られた主な教訓は以下の通りです。

(i) 国の気候変動・災害リスクに対応する、確かな法令を策定することが重要

(ii) 公益事業者および製造業者も強靭な技術設計の開発に取り組むこと

(iii) 民間セクターの積極的な関与については、固定価格買取制度(Feed-in-Tariff)や政府から開発者への助成金が起点となり得る。そうした仕組みの下では、官民学の協力、および適切なPPP契約設計を考慮すること

(iv) 強靭なシステムの成功は、最終的には、強靭なシステムを構築し、災害後の運用に対応する、十分に訓練を受けた技術者にかかっている。

ワークショップのアジェンダ完全版は、こちらで入手できます。

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代替エネルギー促進センター(AEPC)、エネルギー・水資源・灌漑省(MoEWRI)、ネパール電力公社(NEA)、電力開発局(DOED)、ネパール復興省(NRC)、開発パートナー(JICA、GiZ、DFID、ADB、KfW、MCC)、開発者、民間銀行、学界、日本大使館から約70名の招待者が参加しました。

ワークショップの後、AEPCの幹部および技術スタッフ、日本の専門家、世界銀行の各者による会議が開かれ、AEPCが直面している課題について議論しました。会議の中で、AEPCと日本の専門家は、こうした課題を取り巻く問題や解決策、そして将来性のある今後の連携方法についても話し合いました。

今回のワークショップでは、ネパールのステークホルダーに対し、最終的にネパール国内のエネルギー供給全般を改善するための支援を提供することとなりました。その手段として、ミニグリッドによる再生可能エネルギーのキャパシティー向上のためにエネルギー・サービス・カンパニーを動員し、PPPを通じて民間セクターの効率性を活かし、このセクターへの民間設備投資を促す一方、国内の電力システムの強靭性を確保していきます。

注:このワークショップは、日本政府が資金援助をし、防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)が監理する「日本 - 世界銀行防災共同プログラム」の支援を受け、世界銀行が開催しました。タスクチームはまた、この分野に関連する日本の専門家を決定するに当たり、世界銀行東京防災(DRM)ハブからの支援に謝意を表しました。

 



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