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特集 2018年1月23日

日本の専門家がインド・ケララ州で開催された国際ダム安全会議に貢献

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既存のダムの運営、保守、復旧、性能向上に関する技術会議の参加者(写真クレジット:國枝達郎)


2018年1月23・24日、インドのケララ州で2018年度国際ダム安全会議が開催されました。第4回となった年次開催の会議では、インド国内と世界から、相互に関連する分野のダム業界関係者とダム専門家が一堂に会し、ダムの安全性に関する問題に取り組む上での技術と経験、および問題に対処するための戦略について討論と考察を行ない、知見が共有されました。会議は世界銀行のダム復旧・改修プロジェクト(DRIP)の一環として実施されたイニシアチブで、インドにあるダム約225基の復旧および組織全体の情報管理システムの改善を目指すインド政府の中央水委員会(CWC)が実行しました。

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日本でダムの点検用に広く用いられ、水資源機構(JWA)でも使用しているモデル、DJI製PHANTOM3-Pro(写真クレジット:DJI)
水資源機構(JWA)の専門家は国際ダム安全会議で、強靭なダム管理のための防災の主流化に関する日本の知識を伝えました。既存のダムの運営、保守、復旧、性能向上に関する技術会議では、水資源機構の國枝達郎氏が「小型マルチコプターによるアンカー工事現場の目視点検」に関する技術について説明し、保守の一次点検を実施するためのグラウンドアンカーの目視点検を効率的にする、無人航空機(UAVs)を使った革新的な手法を紹介しました。発表の中で國枝氏は、作業を簡素化するために、高性能な無人航空機の使用や複雑な分析理論よりも、広く用いられている機器と基盤技術を利用することの重要性を強調しました。

さらに、アジア河川流域機関ネットワーク(NARBO)副事務局長で、水資源機構の国際グループ(IAD)長の佐々原秀史氏が、ダム安全管理方法に関する技術会議の共同議長となり、「より良いダム安全活動に向けた最近の取り組み(Recent efforts for Better Dam Safety Practices)」と題した論文を発表しました。発表では、ダムに設置されたGPS搭載センサーによるダム内の状態のリアルタイム観測や三次元モデル(CIM)による地震時の概要の把握と効率的なダム管理など、ダムの建設、運営、保守に関するさまざまな革新技術が紹介されました。

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上段左:國枝氏(水資源機構)の発表、上段中:パラビクラム・アリヤール・プロジェクトのモデル、上段右:佐々原氏(水資源機構)とアントン・J・シュレイス博士(ICOLD総裁)、下段:上田悟氏(世界銀行ダム主任専門官) (写真クレジット:國枝達郎)

世界銀行東京防災ハブは2015年より、日本の経験を世界銀行のダム復旧・改修プロジェクトに組み込み、インドでのダム運営上の災害対策の取り組みを支援してきました。

水資源機構は複数の案件を通じて、多くのダム復旧・改修プロジェクトに関わっています。今日までに、世界銀行の防災ハブは水資源機構と協力して日本への現地視察6件を実施してきました。また水資源機構はイチャリ・ダムでのダム現場技術者のための地震後の点検マニュアルをウッタラカンド水力発電公社と提携して企画し、さらに1件、マイトン・ダムのために水資源機構とダモダ・バレー社との間で準備が進んでいます。

次回のインドでの国際ダム安全会議は2019年2月13・14日にブバネーシュワルでの開催が予定されています。


過去の事例へのリンク:

2016年10月18日-22日
JWAがインドで地震緊急対応訓練を実施
ウッタラカンド(インド)

2015年6月15日-2016年10月7日
ダムの安全性に関するインド視察団訪日
岐阜、群馬、長野、埼玉、東京


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