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奨学金プログラム修了生の声:荻田聡 交通専門官

2014年4月17日

第2回インタビュー(2014年4月17日)

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荻田聡 交通専門官

世界銀行ラテンアメリカ・カリブ海地域総局

東京大学工学部卒、東京大学新領域創成科学研究科国際環境協力コース修了。開発コンサルティング企業である株式会社パデコの交通インフラ専門家として東南アジア、南アジア、中東、東欧の計15の途上国にてコンサルティング案件に従事。2009年より日本/世界銀行共同大学院奨学金の支援を得てハーバードケネディースクール公共政策学修士課程に留学し交通経済とインフラファイナンスを専攻。留学中にアジア開発銀行(マニラ)にてインターン。卒業後の2011年に世界銀行ラテンアメリカ・カリブ総局に入行。交通ユニットにてブラジルの道路プロジェクトへの融資案件を担当。

 

今世界銀行でされている仕事内容を簡単に教えてください。

ブラジル政府が実施する道路プロジェクトへの融資案件を担当しています。ブラジルは近年の高度経済成長の一方で社会インフラ整備が追いつかず、ファべーラと呼ばれるスラム街に象徴される貧困や国内格差を助長する主要因となっています。広大な国土をつなぐ道路網は適切な維持管理が行われておらず、舗装劣化が激しく走行が困難な区間も多々あります。そこで世界銀行では現在3つの州で幹線道路や農村道路の改良・リハビリ事業への融資を実施し、遠隔地への物流コストを下げることで主要産業である農業の振興を促し、貧困問題が深刻な農村地域における収入源を確保するとともに、学校や医療など社会サービスへのアクセス改善を目指しています。

また単なる道路工事にとどまらず、これらの案件を通じて州政府の政策レベルの改革にも取り組んでいます。例えばPerformance-Based 契約という道路の状態(舗装の凹凸のレベル)に応じて建設業者に支払いをする長期契約を導入することで工事終了後数年で舗装劣化が始まっていた状況を改善し、長期間に渡り良好な状態を保つことを目指しています。さらに貧困削減に効果的な案件を実施するための調査研究にも力を入れており、農村道路への投資がどのように地域住民の行動や家計にインパクトを与えているのか把握するために家庭訪問調査を行い計量分析を実施しています。

 

世界銀行に就職した経緯を教えてください。

大学時代よりインフラ開発分野にてキャリアを積みたいと考え、新卒で開発コンサルタント会社に就職し途上国での交通インフラ分野の調査業務に携わりました。仕事を通じインフラ開発を政策レベルで分析するには経済やファイナンスの知識が必要だと痛感し、ハーバードケネディースクールの公共政策学修士プログラムに留学をしました。留学後の職場としてインフラ開発の政策提言に関わる仕事ができる世界銀行に興味を持ちましたが、私の場合はヤング・プロフェショナル・プログラム(YP)やジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)等の公募プログラムの要件に該当しなかったため、いわゆるネットワーキングを通じて職を探しました。

具体的には留学中に同級生や先生、前職の同僚、友人などありとあらゆる“つて”を利用して自分の興味がある分野で働いている世銀スタッフを紹介してもらい、ワシントンDCにある世銀本部を数回訪問し面会もさせてもらいましたが、何ら具体的な話がでないうちに卒業式を迎えてしまいました。ところが日本に戻ろうとしていた矢先に面接をしたいとの連絡が突然あり、その結果、長期コンサルタント契約を頂くことができました。そして2年後の契約更新にあたって職員として採用されました。

 

JJ/WBGSPを受けて留学した先での専門分野、学生生活について教えてください。(インターンシップ、フィールドリサーチ等あれば含む。)

留学先のクラスメートと

(写真)留学先のクラスメートと

JJ/WBGSPに支援して頂きハーバードケネディースクールの公共政策学修士の2年間プログラム(MPA2)に留学しました。MPA2は既に修士号を取得している人を対象とした2つ目の修士号のためのプログラムであるため必須科目がなく修士論文もないという非常にフレキシブルなものであり、その利点を最大限生かして自分の取りたい授業を選ぶことができました。

具体的には経済、統計、ファイナンスなどの理論系、インフラ、財政、途上国開発といった政策系、スピーチや交渉術、ライティングなどの実務系の授業を取り、さらに学んだ理論を用いて交通経済学をテーマとしたペーパーをアドバイザーの先生の指導の下で書きました。1年目と2年目の間の夏休みにはアジア開発銀行のインターンプログラムに参加し、コミュニティ開発の観点からの農村道路の維持管理について東ティモールとソロモン諸島を事例として分析をしました。また2年目には授業のティーチングアシスタントも担当しました

 

大学院で学んだことが具体的に今の仕事で役に立っていると思われるのはどのようなことですか。

世銀のチームメンバー

(写真)世銀のチームメンバー

授業から学んだことの中では統計が役に立っています。学んだ手法を実際に使って分析をする機会があることに加え、様々な報告書を読む上でも統計の知識はとても重宝しています。また交渉術やスピーチなどの授業は日々の仕事にも多いに応用できるものです。

しかし私が最も経験して良かったと感じていることは大学院で毎日のようにやっていたグループワークです。私の留学先では課題を3~5人ほどのグループで解くことを強く薦められました(必須の場合もあります)。英語についていくことすら苦労しながら長時間に渡る議論を重ね、皆疲れ果てて時にはメンバー同士が喧嘩寸前になりながらもなんとかアウトプットを出していった経験は、世界銀行のような国際的な職場においてどのようにチームとコミュニケーションをとってどう物事を進めていくか、自分の振る舞いを考える上でとても役立っています。

 

世界銀行のような国際機関に将来就職することを希望する場合の、大学院選びについてアドバイスはありますか。

農村道路改善事業の現場視察

(写真)農村道路改善事業の現場視察

国際機関、特に世界銀行は様々な分野の専門家の集団であり、開発で必要とされている分野において強い専門性を持っている人が重宝されます。よって国際機関への就職を目指して大学院に行く際には、自分がどの分野で開発に貢献をしていきたいかをまず明確にした上で、その分野の専門性を高めることができる大学院を選択することがとても重要です。

そのためには留学先のプログラムを把握することに加えて、希望する国際機関ではどのような仕事をしているか下調べも必要でしょう。例えば世界銀行のウェブサイトではプロジェクトや調査研究の報告書も幅広く公開されていますので、どういった専門分野が必要とされているかある程度把握できると思います。さらに既にその職場で働いている方、特に自分の希望する専門分野で働いている方の話はキャリアも含めとても参考になると思いますので、留学準備中から積極的にコンタクトを取ることをお薦めします。

 

JJ/WBGSPをお薦めする理由があるとしたらそれはなんですか。

JJ/WBGSPは開発分野を目指す方にとって非常に助けになる奨学金です。例えば留学先の国・大学・専攻・年齢などの制限が他の奨学金に比べると緩く、留学する時点で既に30歳を超えていた私にとっては応募が可能である数少ない奨学金の一つでした。加えて学費は全てカバーされ生活費も出して頂けるという非常に条件の良い奨学金です。さらに奨学生同士のネットワークも私にとってとても貴重なものとなりました。奨学金プログラムが現役奨学生のために開催するセミナーにて他の大学のJJ/WBGSP奨学生と会う機会がありましたが、当然ながら皆途上国開発でのキャリアを目指していることから、どの方と話をしても良い刺激を受けましたし、今でも交流が続いています。

 

JJ/WBGSPへの出願書類作成時に特に気をつけた点はありますか。願書作成に関し、受験する後輩へのアドバイスがあれば。

自分が留学後にどのようなキャリアを考えているのか、できる限り具体的に書くことを意識しました。単に「国際機関に働きたい」だけではなく、どの機関のどの分野においてどのような業務で貢献したいというプランを描き、その実現のために留学がどう寄与するのか、というストーリーをきちんと書くことができればとても説得力のある願書になります。

さらに開発という仕事にどれだけ熱意を持っているかも強調しました。例えばそもそもなぜ途上国開発に興味を持つに至ったのかという点を手短にでも説明すると読む方もあなたの熱意が理解しやすいと思います。これらはごく基本的なことではありますが、実際に短いエッセイの中に入れ込もうとすると本当に大変な作業です。十分時間を掛けて推敲し、ぜひ良い願書を作ってください。

 




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