2021年6月8日、世界銀行グループは新報告書「世界経済見通し(GFP)2021年6月版」を発表しました。同報告書では、2021年の世界経済は5.6%の成長が見込まれ、これは景気後退からの回復として80年来で最速のペースであり、いくつかの主要国の力強い回復によるところが大きいが、新興国・途上国の多くは依然として、新型コロナウイルス感染症の世界的流行とその影響を受けている、と指摘しています。回復が進む中でも、今年末時点の世界GDPは、危機以前の予測を約2%下回り、新興国・途上国の約3分の2にとって、国民一人当たり所得の減少が2022年までに解消されることはないとみられています。低所得国ではワクチン接種が進んでおらず、感染症危機の影響により貧困削減の成果が失われ、不安定性をはじめ長期的な課題に拍車がかかっています。
今回のセミナーでは、同報告書をとりまとめたアイハン・コーゼ世界銀行公平成長・金融・制度担当副総裁代行兼見通し局長、および菅原直剛 マクロ経済・貿易・投資グローバルプラクティス 見通しグループ 上級エコノミストが、日本の皆様に向けてワシントンよりオンラインで同報告書の主なポイントをご説明しました。
日時
2021年6月17日(木)午前9時~午前10時30分
内容
挨拶
宮崎成人
世界銀行 駐日特別代表
講演
アイハン・コーゼ
世界銀行 公平成長・金融・制度担当副総裁代行 兼 見通し局長
菅原直剛
世界銀行 マクロ経済・貿易・投資グローバルプラクティス 見通グループ 上級エコノミスト
当日の資料: Global Economic Prospects June 2021(英語、PDF)
コメント
白井さゆり
慶応義塾大学 総合政策学部 教授
当日の資料: World Bank Economic Outlook -Discussions-(英語、PDF)
講演者紹介
世界銀行 公平成長・金融・制度担当副総裁代行 兼 見通し局長
世界銀行 公平成長・金融・制度担当副総裁代行として、金融・競争力・イノベーショングローバルプラクティス、マクロ経済・貿易・投資グローバルプラクティス、ガバナンス・貧困・公正グローバルプラクティスの融資・政策助言業務を統括。また、見通し局長として、マクロ経済見通し・予想、金融フロー、商品市場に関する分析業務をとりまとめ、貧困撲滅と繁栄の共有の促進という世界銀行グループの2つの目標のモニタリングも主導。世界銀行の旗艦報告書である『世界経済見通し』(Global Economic Prospects)、『グローバル・モニタリング・レポート』(Global Monitoring Report)などの経済モニタリング報告の作成を統括。2014年6月の世界銀行入行前は国際通貨基金(IMF)に所属しており、調査局次長兼多数国間サーベイランス部次長、2014年版スピルオーバー報告書タスクフォース共同議長、ニカラグア2007~11年IMFプログラム事後評価担当チーフ、西半球局米国・カナダ担当デスク。シカゴ大学経営学大学院とINSEADで教鞭をとり、ブランダイズ大学国際経営学大学院助教授を歴任。マクロ経済・国際金融に関する著作多数。アイオワ大学経営学大学院経済学博士号、ビルケント大学産業工学士号を取得。トルコ出身。
<参考情報>
見通しグループでは、「世界経済見通し(GEP)」執筆に携わるシニアエコノミストを募集しています(6月30日締め切り)。