世界経済見通し

世界経済の急減速は2年目に突入

世界経済は2023年、世界不況に陥った2009年と2020年に次ぎ、この30年間で3番目に低い成長率となることが予想される。新興国及び途上国における投資の伸びは、過去20年の平均伸び率を下回る模様だ。どのような形であれ、今後新たな経済ショックに見舞われれば、世界経済は不況局面に追いやられる可能性がある。小国はとりわけそうした経済ショックに脆弱だ。国外からの資金調達と貿易に依存し、 産業の多様化が進んでおらず、債務が多額で、自然災害にも弱いためだ。 農業や燃料への補助金など従来支出の方向転換を含め、成長と投資を強化する政策措置が早急に必要だ。

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世界経済予測

世界経済予測

世界経済の成長率は 2023 年に 1.7% への減速が予測される。これは、世界不況に陥った2009年と2020年に次ぎ、この 30 年間で 3 番目に低い。減速の一因は、高インフレを抑制するための政策の引き締めだ。インフレ率の上昇や政策引き締め、金融ストレスなどの経済ショックは、世界不況を引き起こす可能性がある。世界不況と債務苦境のリスク軽減のために、早急な行動が必要だ。また、政策立案者は、あらゆる支援が脆弱なグループに向けられ、インフレ期待がしっかりと抑えられ、そして金融システムの強靭性が維持されていることを確実にする必要がある。

   実質GDP成長率 (%)   改定*
  2020 2021 2022e 2023f 2024f   2022e 2023f 2024f
世界 -3.2 5.9 2.9 1.7 2.7   0.0 -1.3 -0.3
先進国 -4.3 5.3 2.5 0.5 1.6   -0.1 -1.7 -0.3
新興国・途上国 -1.5 6.7 3.4 3.4 4.1   0.0 -0.8 -0.3
   東アジア・大洋州地域 1.2 7.2 3.2 4.3 4.9   -1.2 -0.9 -0.2
   ヨーロッパ・中央アジア地域 -1.7 6.7 0.2 0.1 2.8   3.2 -1.4 -0.5
   ラテンアメリカ・カリブ海地域 -6.2 6.8 3.6 1.3 2.4   1.1 -0.6 0.0
   中東・北アフリカ地域 -3.6 3.7 5.7 3.5 2.7   0.4 -0.1 -0.5
   南アジア地域 -4.5 7.9 6.1 5.5 5.8   -0.7 -0.3 -0.7
   サブサハラ・アフリカ地域 -2.0 4.3 3.4 3.6 3.9   -0.3 -0.2 -0.1
* 2022年6月予測からの%㌽変化
すべてのデータはExcelファイルとしてダウンロードできます。

地域別予測

高インフレが蔓延し、世界経済が急速に減速する中、新興国及び途上国は様々な逆風に直面している。今後 2 年間の成長予測は、6 月以降、すべての地域で悪化している。金融政策引き締めと制約的な金融環境が、特にラテンアメリカ・カリブ海、南アジア、サブサハラ・アフリカといった地域で経済成長の重しとなっている。先進国の景気減速は、貿易を通じた波及効果により、東アジア・大洋州、ヨーロッパ・中央アジアの各地域に影響を与えると予測される。エネルギー価格の上昇が長引けば、全てのエネルギー輸入国の成長見通しが鈍くなるだろう。すべての地域において、成長見通しは下振れリスクを抱えている。例として、潜在的な金融ストレス、さらなる一次産品市場におけるショック、悪化する紛争、そして自然災害が挙げられる。

東アジア・太平洋地域: 2023年の成長率は4.3%に減速するが、2024年には4.9%に上昇の見込み。詳細は地域別概要 を参照。

ヨーロッパ・中央アジア地域:  2023年の成長率は0.1%に縮小、2024年には2.8%に回復の見込み。詳細は地域別概要(英語)を参照。

ラテンアメリカ・カリブ海地域: 2023年は1.3%成長に減速、2024年には2.4%に回復の見込み。詳細は地域別概要(英語)を参照。

中東・北アフリカ地域: 2023年は3.5%成長に減速、2024年もさらに2.7%へと低下の見込み。詳細は地域別概要(英語) を参照。

南アジア: 2023年の成長率は5.5%に低下、2024年は5.8%へやや回復する見込み。詳細は地域別概要(英語) を参照。

サブサハラアフリカ地域: 2023年の成長率は3.6%に減速、2024年は3.9%にやや回復する見通し。詳細は地域別概要(英語)を参照。

プレスリリース

プレスリリース

発行日 プレスリリース 東アジア・大洋州地域
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