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プレスリリース 2020年9月23日

感染症の世界的流行の中、汚職対策がかつてなく重要-新報告書

ワシントン、2020年9月23日—極めて困難な状況にあっても、汚職対策を推進することは可能である、と世界銀行の新報告書「政府の有効性と透明性の拡大:汚職との闘い」は結論付けている。新型コロナウイルス感染症の世界的流行に対応するため、かつてない膨大な緊急資金が動員される中、同報告書は、政府の説明責任向上を図るための特に有効なアプローチとツールのいくつかについて改めて検証し、その結果をまとめている。

重点的に検証されているのは、今回最も深刻な影響を受けているセクターにおける汚職防止のための戦略の有効性をいかにして向上させるかについてである。従来型のツールを一層適切に用いることが求められる政策担当者や汚職防止に携わるその他の関係者にとって、同報告書は参考となる指針を提供している。

「新型コロナウイルス感染症の世界的流行の結果、各国政府は、経済の立て直しと、甚大な影響を受けた貧困層・脆弱層の保護のために、短期間に大規模な緊急支出を迫られた。各国がこれまで以上に強靭かつ包摂的な回復に取りかかるに当たり、貴重な資源を透明な形で慎重に役立てることが極めて重要になる。」とマリ・パンゲストゥ世界銀行専務理事は述べた。 「どんな環境にあっても前進は可能であり、我々は、汚職をなくし、腐敗の影響が発生しないよう、各国政府、市民社会、民間セクターのパートナーと緊密に協力していく。」

新型コロナウイルス感染症対策には過去に類を見ないレベルの緊急支出が行われているが、その一部は、通常の抑制と均衡の手続きを経ないまま進められている。スピードが求められてはいるが、適切な管理が行われないでいると、政府による対応の有効性をむしばむような各種の汚職リスクがはびこることになる。同報告書は各国政府に対し、より確実に説明責任を果たすため、自らの行動の明確な説明、規制の徹底、暴力の抑制、できる限り速やかな問題解決を、いずれも透明な形で進めるよう呼びかけている。

同報告書は、世界各地でのケース・スタディを紹介しながら、公的調達、インフラ、国営企業、税関、行政サービスの大きく5つのテーマに加え、開かれた政府に関するイニシアティブやGovTech等、テーマ横断的な分野を取り上げている。公共セクターの担当者や市民社会は、同報告書に構成要素と共に紹介されている各種のアプローチを自らの国の状況に当てはめ調整した上で用いることが可能である。

同報告書に掲載のケース・スタディは、汚職撲滅の指標は、政治的な余裕がある特定の脆弱性分野が対象とされているなど、便宜的であることが多いと指摘している。とは言え、たとえその影響が明らかに限定的な行動であっても、将来的な進捗にとって重要な基盤を提供することは可能だ。

  • バングラデシュ:政府の電子調達の実施が、透明性向上と市民参加拡大と共に、単独入札の件数を半減させた結果、競争が大幅に促進され、現地以外の企業への発注が増え、望ましい落札者や価格につながった。
  • コロンビア:電子調達システムを刷新し、国際基準に従って包み隠さずデータを公表するようにした。その結果、国家道路庁(INVIAS)による調達の内、単独入札の割合が30%から22%へと低下し、カリ等の都市における競争入札の割合が約2年間に31%から56%に上昇した。
  • ウクライナ:官僚の資産申告書をオンラインで公表したことが、市民や国際社会から、汚職への対応における重要なツールであるとみなされた。最新のデータによると、電子申告システム内の530万点近い文書が公開されている。2020年半ばの時点で、資産申告に当たり虚偽の情報を提出した、または意図的に申告を怠ったとされる官僚について、ウクライナの高等汚職裁判所に19件の提訴が行われている。
  • アフガニスタン:税関局が通関手続きの全国的な電子化を着実に進めている。脆弱性が極めて高く、国境で発生する税収損失が引き続き深刻な課題となっているが、税関で徴収される税収は2004~19年の間に7倍に増え、通関時間と貿易取引の透明性が大幅に改善した。
  • ルワンダ:土地改革プログラムを通じて、土地をめぐる対立が管理され、効率性・透明性の向上と市民参加が進み、存続可能な土地ガバナンス機関が設置された。土地登記の自動化の結果、情報が公開されているので、土地登記担当官への贈賄が減少した。

「政府の政策実施、市民社会の関与促進、政府機能における透明性拡大の徹底にとって組織・制度が極めて大きな役割を担う。」と、エド・オロウォ-オケレ世界銀行ガバナンス・グローバルプラクティス局長は述べた。「同報告書は、汚職に取り組むに当たり、従来型の汚職対策を、GovTechや電子調達等の先進的な手法と組み合わせることの重要性を明らかにしている。これは、極めて困難で脆弱な環境においても同じだ。」

世界銀行グループは、途上国に開発のための資金や知識を提供する世界有数の機関であり、途上国が今回の世界的流行への対応を強化できるよう、広範かつ迅速な措置を講じている。世界銀行グループは公衆衛生の取組みや重要な物資及び機器の円滑な供給を支援する一方で、民間セクターが事業を継続し、雇用を維持できるよう支援している。世界銀行グループは、各国が貧困層・脆弱層を守り、民間セクターを維持し、経済回復を促進できるように、今後15カ月間に最大1,600億ドルの資金を100カ国超に提供する。この金額にはグラント(無償資金)又は譲許的融資の形で提供される、国際開発協会(IDA)からの新規資金500億ドルが含まれる。


プレスリリース番号: 2021/027/GGP

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(202) 560-2914
lsaade@worldbank.org
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