ワシントン、2012年4月16日 ― 世界銀行理事会は本日、理事会を開催し、世界銀行グループの次期総裁を選出した。理事会はまた、加盟国における貧困削減という世銀グループの使命に卓越したリーダーシップを発揮し、献身的に貢献したとして、ロバート・B・ゼーリック現総裁に対する深い感謝の意を表明した。
今回の新総裁選出では、2011年に合意された新手順に沿って、世銀創設以来初めて、複数の候補者が対象となった。同手順では、理事または総務による自由な候補者の推薦(候補者は世銀加盟国の国籍を有することが条件)、立候補者の氏名公表、理事会による立候補者全員との面接を経て、最終的に総裁が選出された。
次期総裁として選出されたジム・ヨン・キム博士は、2012年7月1日からの5年間を任期とし、国際復興開発銀行(IBRD)および国際開発協会(IDA)の理事会議長を務める。また、国際金融公社(IFC)、多数国間投資保証機関(MIGA)、および投資紛争解決国際センター(ICSID)の理事会議長を職権上兼務 する。
理事会は、ジム・ヨン・キム、ホゼ・アントニオ・オカンポ、ンゴジ・オコンジョ・イウエアラ各候補者全員に対し、深い感謝の意を表す。各立候補のおかげで、総裁の果たすべき役割や世銀グループの将来の方向性について、議論を深めることができた。それぞれの最終候補者は様々な加盟国から支持を受けたが、これは各それぞれの候補者の資質の高さを反映するものである。理事会は、キム次期総裁の着任を心より期待する。
ジム・ヨン・キム博士は現在、ダートマス大学総長を務める。米国籍を有し、パートナーズ・イン・ヘルス(PIH)の共同創設者であり、世界保健機関(WHO)のHIV/エイズ部長も務めた。ダートマス大学総長就任前は、ハーバード大学医学部と同大学公衆衛生大学院の教授を、さらに、同大学医学部国際保健・社会医学部の学部長、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のグローバル・ヘルス・エクイティ部門責任者、ハーバード公衆衛生大学院フランソワ・ザビエール・バグヌード医療人権センターの所長を歴任している。
キム博士は、「天才」への奨学金と呼ばれるマッカーサー・フェローシップを受賞(2003年)、USニューズ・アンド・ワールド・レポートによる米国の「ベスト・リーダー25人」、さらにタイム誌の「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれた(それぞれ2005年と2006年)。2004年には、医療分野における貢献と熱意を認められ、医療保健分野で最高の栄誉の一つとされる米国国立科学アカデミー医学研究所の研究員に選ばれた。過去20年にわたり、ニューーイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン、ランセット、サイエンスをはじめとする学術・科学分野の有力な専門誌に著者あるいは共著者として幅広く論文を発表している。
1959年、韓国ソウル生まれ。5歳で家族と共に渡米し、アイオワ州マスカティンで育った。1982年にブラウン大学を優秀な成績(マグナ・クム・ラウディ)で卒業。1991年に医学博士号を、1993年に人類学博士号を、いずれもハーバード大学にて取得。小児科医であるヨンスク・リム夫人との間に2人の息子がいる。