プレスリリース

MDG目標に近づいた国が増加、ただし最貧国には緊急の支援が必要

2011年4月15日




ワシントン、2011年4月15日 — 世界銀行とIMFは本日、途上国の3分の2は、貧困と飢餓削減に関する目標に向け順調に進捗、もしくは達成間近であると発表した。

今年の「グローバル・モニタリング・レポート(GMR)2011: MDGs達成の可能性を高める」は、各国のパフォーマンスを分析した上で、見通しは様々に異なるが概ね希望が持てるとしている。例えば、ミレニアム開発目標(MDGs)への進捗が遅れている途上国の半数は、あと一歩で順調な軌道に乗るところまで来ている。こうした国々は、政策の改善と成長の加速に伴い、2015年に間に合うか、その直後に目標を達成できる可能性がある。

「MDGs達成は途上国にとって目覚しい実績となる。ただし、順調な国でも、貧困削減と保健改善についてはまだ課題が多い」と、ハンス・ティマー世界銀行開発見通しグループ局長は述べている。「ドナーは、この成功を足がかりに、各国が効果的なサービス提供への投資を通じ次の一歩を踏み出せるよう支援していく必要がある」

貧困との戦いは概ね順調である。今回の経済見通しに基づくと、我々は、最貧困層の人口を半減するという目標に向け順調に歩を進めている。1日1.25ドル未満で暮らす最貧困層は、1990年の18億人から、2005年には14億人、2015年には8億8300万人になると推定される。この減少は主に、中国とインドの高成長を反映するものであり、アフリカ諸国の多くは後れを取っている。全体として目標が達成されても17か国は最貧困層の人口半減に程遠い状態にある。

途上国は、初等・中等教育におけるジェンダー格差の解消ならびに安全な飲料水へのアクセス確保に関したMDGsを達成する可能性も高く、飢餓削減と初等教育修了に関する目標も概ね達成されよう。ただし、他の目標については進捗が遅く達成が危ぶまれるものもある。途上国の45%が公衆衛生へのアクセスで目標をはるかに下回り、妊婦と乳幼児の死亡率削減についてもそれぞれ途上国の39%、38%が目標に遠く及ばないだろう。

「適切なマクロ経済政策は今後もMDGs達成に極めて重要だ」と、IMFのヒュー・ブレデンカンプ戦略政策審査局副局長は述べている。低所得国の課題は、政策改善を通じて雇用を創出し、民間セクターの機会を拡大するような成長を維持・加速することだ。先進国は、世界経済の回復を確保するため、金融システムの改革や財政赤字の是正など自らの役目を果たす必要がある」

国によっては、先住民族や少数民族、言語的少数派など、社会から疎外された人々に特に支援を集中することが重要である。こうした人々は大半のMDG指標、特に貧困指標が全体と比べてはるかに悪い。

同報告書は、実際の支援結果についての理解を高めるため、保健・教育分野におけるインパクト評価の結果と教訓を載せている。例えば、保健・教育分野について開発援助の量はかつてないほど増えたものの、期待どおりの効果は見られていないとの指摘が多い。

同報告書の主任執筆者であるデルフィン・ゴー世界銀行リード・エコノミストは、「特定の保健・教育分野の結果には満足できない。この要因のひとつは、サービスの量的拡大に向けた支出が大半で、質に十分な注意が払われていないことだ。重要な教訓は、制度の強化ならびに、例えば保健サービス従事者の給与に成果主義の要素を取り入れるなど、インセンティブの改善がより良い結果のために極めて重要である」と述べている。

IMFで本報告書のコーディネータを務めたブラッド・マクドナルド戦略政策審査局課長代理は、経済成長が引き続きMDGs達成のための重要な要素であると強調している。「経済危機で歩みが後退したが、強固なマクロ経済政策をとっていた多くの低所得国は、歳入・歳出の両面の積極的な政策により危機の影響を緩和できた」

MDGs達成に向けたモメンタムを強化するには、次の3つの分野における国際協力が欠かせない。第一に、特に低所得国には、持続的成長を可能にする強力で安定したグローバルな経済環境が必要となる。第二に、低所得国がさらなる高成長を達成・持続し、政策の選択肢を広げられるようなような措置が必要である。第三に、脆弱国はMDGs達成に一番遅れており、統治機構の構築や、開発・平和・安全保障の好循環に向かうために追加的支援を必要としている。

新興ドナー(多くは途上国である)からの援助が増加していることは喜ばしいが、これによって従来のドナーからの援助の大幅減少を全て埋め合わせることはできないし、まして新興ドナーがこれまでと異なる優先課題や手法を目指す場合はなおさらだ。援助をめぐるこのような変化は、政府援助の透明性や支援対象となる政策やプログラムに影響を及ぼしかねない。

今回の世界的な金融危機の後、貿易は回復し始めているが、その回復を維持するためには、国際システムの強化、保護主義的傾向に対する抑制、ドーハ・ラウンドの合意促進などが必要となる。さらに同報告書は、脆弱な低所得国、内陸国、取り残された地域を世界や地域の市場と結びつけるため、貿易金融と貿易振興策へのアクセスを支援する措置が必要だとしている。

プレスリリース番号:
2011/432/DEC

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