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特集 2018年10月11日

キルギス共和国:過去の教訓に学び、将来の災害リスクを軽減

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写真1:消防士のヘルメットを被るバトケンの学童たち


起伏に富んだ雄大な地形を持つキルギス共和国では、地震、洪水、土石流、地滑り、渇水などさまざまな自然災害が多数発生し、時に壊滅的な被害をもたらしています。

2008年10月5日、マグニチュード6. 6の地震がキルギス共和国オシュ州のヌラ村を襲いました。少なくとも75人の命が失われ、140人以上が負傷し、住宅と病院や学校など基幹インフラに甚大な被害を及ぼしました。

そのちょうど10年後の2018年10月5日、キルギス共和国は「潜伏」状態の災害のリスクについて国民の注意を喚起し、国をあげて次の災害への備えについて確認する国家防災の日を制定しました。

制定に先立ち、数週間にわたって全国でさまざまな緊急対応の仕組みを市民に周知するシミュレーション訓練が行われました。バトケン、オシュ、ジャララバード、タラス、チュイ、イシク・クル地域とビシュケク市、オシュ市で、消防団や医療サービス、学校の教師と生徒、および緊急対応機関のおよそ5,000人が、シミュレーション訓練に参加しました。

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写真2:防災ヘルメットを被るビシュケクの学童

 

国の気候・災害リスクに対する強靭性を高めることは、キルギス政府にとって最優先事項の一つです。この課題を前進させるために、キルギス共和国は数々の国際組織と提携しています。その一環として、世界銀行および防災グローバルファシリティ(GFDRR)は、キルギスの緊急事態管理センターや、「キルギスタンの強靭化」などの重要な投資プログラムの徹底的な見直しを支援しました。こうした活動は、キルギスの早期警告システムに大幅な改善をもたらしています。

また、日本-世界銀行防災共同プログラムの取り組みとして、キルギス政府関係者は2016年に日本への専門家視察団にも参加し、災害リスク管理の考慮を長期的な計画立案に組み込み、こうした過程へ一般市民を参加させる方法を模索する上で、実地の経験を積みました。

日本は約60年にわたり、10万5,000人を超える人命を奪った1923年の関東大震災を忘れないよう、防災の日の訓練を実施しています。世界有数の防災意識の高い国である日本は、知識と教訓を途上国と交換する活動に取り組み、世界各地で自然災害の影響を和らげるための支援を行なっています。

キルギス共和国のヌルボロット・ミルザミードフ非常事態相は、日本の経験はキルギスにとって有益であると確信しています。「全国的なシミュレーション訓練は自然災害の際に必要な知識、スキル、一般市民の事前の備えを促すのに有効です。同時に、訓練により、主な政府の組織や機関の間の連携を円滑にすることができます。」

防災の日の制定は、ビシュケクで開催された「災害リスク削減の新しい手法」に関するハイレベル会議で承認されました。この会議は、キルギス共和国のジェニシュ・ラザコフ副首相が主催したもので、学術界、非政府組織、国際パートナーの代表者が出席しました。

会議は、意思決定者と他の関係者に対して、災害対策とリスク軽減の重要性を訴求する機会となりました。また世界銀行は、緊急時に重要な機能を維持する、日本における最新の情報通信技術の事業継続性計画を紹介しました。

「世界銀行は引き続き、キルギス共和国と中央アジアで市民にとってより安全な環境を構築するための支援に注力していきます」世界銀行の竹内航 上級防災専門官は語りました。「国家防災の日の制定と、キルギス共和国全国での緊急事態訓練は、私たちの共同の取り組みから生まれた重要な成果であり、キルギスと日本の間で行われた教訓の交換を応用した成功例です。防災におけるキルギス政府の専心的な取り組みが、この成功に結びつきました。私たちは各国政府を支援するために、これからも国際的なベストプラクティスと災害に対する強靭化から得た教訓の共有に取り組んでいきます。」

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写真3:ビシュケクの学童への救援用具のデモンストレーション



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