世界銀行グループは2021年1月5日、新報告書「世界経済見通し(GEP)2021年1月版」を発表しました。同報告書では、新型コロナウイルス感染症の初期ワクチンが広く普及した場合、2021年の世界経済は4%の成長が見込まれるものの、今回の危機を封じ込め、投資拡大のための改革実行に向けて断固たる政策措置を講じない限り、回復は完全なものとはならない可能性が高い、と指摘しています。世界経済は、2020年にマイナス4.3%を記録した後、再び成長に転じつつありますが、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により膨大な数の犠牲者と患者が生じ、新たに数百万人を貧困状態へと陥らせた上、経済活動と所得を長期にわたって低迷させる恐れがあります。短期的な優先的政策課題は、新型コロナウイルス感染症の広がりを抑え、ワクチンを迅速かつ広範に供給する体制を確立することにあります。また各国の当局は、経済の再建を支援するため、従来と比べて政府債務に依存しない形での持続可能な成長に向けた再投資サイクルを整備する必要があります。
今回のセミナーでは、同報告書をとりまとめたアイハン・コーゼ世界銀行公平成長・金融・制度担当副総裁代行兼見通し局長、および菅原直剛 マクロ経済・貿易・投資グローバルプラクティス 見通しグループ 上級エコノミストが、日本の皆様に対してワシントンよりオンラインで同報告書の主なポイントをご説明しました。
日時
2021年2月19日(金)午前8時~午前9時30分
内容
挨拶
宮崎成人
世界銀行 駐日特別代表
講演
アイハン・コーゼ
世界銀行 公平成長・金融・制度担当副総裁代行 兼 見通し局長
菅原直剛
世界銀行 マクロ経済・貿易・投資グローバルプラクティス 見通しグループ 上級エコノミスト
コメント
貝塚正彰
日本銀行 理事
モデレーター
大森功一
世界銀行 東京事務所 上級対外関係担当官
基調講演者紹介
世界銀行 公平成長・金融・制度担当副総裁代行として、金融・競争力・イノベーショングローバルプラクティス、マクロ経済・貿易・投資グローバルプラクティス、ガバナンス・貧困・公正グローバルプラクティスの融資・政策助言業務を統括。また、見通し局長として、マクロ経済見通し・予想、金融フロー、商品市場に関する分析業務をとりまとめ、貧困撲滅と繁栄の共有の促進という世界銀行グループの2つの目標のモニタリングも主導。世界銀行の旗艦報告書である『世界経済見通し』(Global Economic Prospects)、『グローバル・モニタリング・レポート』(Global Monitoring Report)などの経済モニタリング報告の作成を統括。2014年6月の世界銀行入行前は国際通貨基金(IMF)に所属しており、調査局次長兼多数国間サーベイランス部次長、2014年版スピルオーバー報告書タスクフォース共同議長、ニカラグア2007~11年IMFプログラム事後評価担当チーフ、西半球局米国・カナダ担当デスク。シカゴ大学経営学大学院とINSEADで教鞭をとり、ブランダイズ大学国際経営学大学院助教授を歴任。マクロ経済・国際金融に関する著作多数。アイオワ大学経営学大学院経済学博士号、ビルケント大学産業工学士号を取得。トルコ出身。 |
当日の資料:Global Economic Prospects February 2021(英語、PDF)
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