世界銀行は11月7日、新報告書「新興国・途上国におけるインフレーション:動向、要因、政策」(Inflation in Emerging and Developing Economies: Evolution, Drivers, and Policies)を発表しました。同報告書では、世界の物価は、記録的な低インフレからインフレ率が上昇する方向に転じており、新興国·途上国は、過去数十年間にわたり安定的な低インフレがもたらす恩恵を維持することに取り組んできたものの、世界的なインフレの加速は、新興国·途上国の取り組みを阻害する恐れがあると指摘しています。
同報告書の編著者であるアイハン・コーゼ世界銀行開発見通し局長、フランジスカ・オーネゾルゲ世界銀行開発見通し局マネージャー、ジョンリム・ホ世界銀行開発見通し局エコノミストが来日し、同報告書を東京からグローバルに発表するセミナーを開催しました。セミナーでは冒頭、宮崎成人・世界銀行グループ駐日特別代表の挨拶の後、3名の編著者から同報告書の主なポイントをご紹介した後、ピーター・モーガン アジア開発銀行研究所(ADBI) シニアコンサルティングエコノミスト・研究部長代理よりコメントを頂き、会場参加者との活発な質疑応答が行われました。
挨拶
宮崎成人
世界銀行グループ 駐日特別代表
報告
アイハン・コーゼ
世界銀行 開発経済総局(DEC) 開発見通し局長
フランジスカ・オーネゾルゲ
世界銀行 開発経済総局(DEC)開発見通しグループ マネージャー
ジョンリム・ハ
世界銀行 開発経済総局(DEC)開発見通しグループ エコノミスト
討論
ピーター・モーガン
アジア開発銀行研究所(ADBI) シニアコンサルティングエコノミスト、研究部長代理
世界銀行グループの開発見通し局長として、マクロ経済見通し・予想、金融フロー、商品市場に関する分析業務をとりまとめ、貧困撲滅と繁栄の共有の促進という世界銀行グループの2つの目標のモニタリングも主導。世界銀行の旗艦報告書である『世界経済見通し』(Global Economic Prospects)、『グローバル・モニタリング・レポート』(Global Monitoring Report)などの経済モニタリング報告の作成を統括。2014年6月の世界銀行入行前は国際通貨基金(IMF)に所属しており、調査局次長兼多数国間サーベイランス部次長、2014年版スピルオーバー報告書タスクフォース共同議長、ニカラグア2007~11年IMFプログラム事後評価担当チーフ、西半球局米国・カナダ担当デスク。シカゴ大学経営学大学院とINSEADで教鞭をとり、ブランダイズ大学国際経営学大学院助教授を歴任。マクロ経済・国際金融に関する著作多数。アイオワ大学経営学大学院経済学博士号、ビルケント大学産業工学士号を取得。トルコ出身。 |
2014年、世界銀行入行。開発経済総局(DEC)リードエコノミストを経て、2017年より現職。世界銀行が毎年2回発行する報告書「世界経済見通し」(Global Economic Prospects:GEP)の主任執筆者でもある。世界銀行入行前は、国際通貨基金(IMF)に在籍し、アジア、ヨーロッパ・中央アジア各国を担当。それ以前は、欧州復興開発銀行(EBRD)チーフエコノミスト室でサーベイランス、予測、金融セクター政策に従事。 |
世界銀行 開発経済総局(DEC)開発見通しグループ エコノミスト 2016年、世界銀行入行。開発経済総局(DEC)開発見通しグループで、報告書「世界経済見通し」(Global Economic Prospects: GEP)の執筆に従事している。コーネル大学で経済学博士号(マクロ経済・国際金融)を取得。 |
当日の資料:Inflation in Emerging and Developing Economies: Evolution, Drivers, and Policies (PDF)