ブノア・ブラレル世界銀行環境・自然資源グローバルプラクティス プラクティスマネージャーが、世界銀行グループの日本人採用ミッションのために来日した機会を捉え、セミナー「世界の富の推移2018:持続可能な未来をつくる」を開催しました。
世界銀行が2018年1月30日に発表した報告書「世界の富の推移2018:持続可能な未来をつくる」(The Changing Wealth of Nations 2018: Building a Sustainable Future)では、GDPなどの従来の指標の代わりに「富」に着目し、各国の経済成長や持続可能性を分析しており、世界の富は過去20年間で大幅に増加したものの、一人当たりの富が減少または横ばいだった国の数は所得の高低にかかわらず20数ヵ国に達したと指摘しています。同報告書の「富」の定義は、自然資本(森林や鉱物)、人的資本(生涯所得)、生産された資本(建造物やインフラなど)、対外純資産の合計で、1995年~2014年の期間、141カ国の「富」の推移を記録し分析した結果をまとめています。同報告書によれば、富全体に占める割合では人的資本が最も大きく、低所得国では自然資本が半分近くを占めています。
プレスリリース「世界の富は増加、しかし格差は依然存在: 世界銀行報告書」
今回のセミナーでは、宮崎成人・世界銀行グループ駐日特別代表による挨拶の後、ブラレル プラクティスマネージャーより、同報告書の主なポイント、それが世界銀行の支援取り組みにどのようなつながりを持つか、世界銀行の環境・自然資源グローバル・プラクティスによる支援活動の概要と戦略をご紹介しました。また、コメンテイターの藤田香・日経エコロジー編集/日経BP環境経営フォーラム プロデューサーより、日本の企業や地方自治体による新しい富を指標化する取り組みに触れつつ、これらをどのように活用すべきか、金融商品に結びつけるにはどうしたらいいかなどの論点が出され、会場の参加者との質疑応答を通じて活発な議論が展開されました。
プログラム
挨拶
宮崎成人
世界銀行グループ 駐日特別代表
報告
ブノア・ブラレル
世界銀行 環境・自然資源グローバルプラクティス プラクティスマネジャー
当日の資料: The Changing Wealth of Nations 2018: Building a Sustainable Future (PDF)
討論
藤田香
日経エコロジー編集/日経BP環境経営フォーラム プロデューサー
報告者紹介
ブノア・ブラレル 1988年ヤング・プロフェッショナルプログラムを通じて入行。エコノミストとして南アジア地域総局にて農業・水プロジェクト、アグリビジネス、戦略コーディネーションなどを担当した後、ヨーロッパ・中央アジア地域総局にて環境、社会、経済の3分野における持続可能な開発担当マネージャーなどを歴任。2014年より現職。ウィスコンシン大学にて農業経済学の修士号と博士号取得。フランス国籍。 |