2016年1月26日、アクセル・ヴァン・トロッツエンバーグ世界銀行東アジア・大洋州地域担当副総裁の来日にあたり、セミナー「東アジア・大洋州地域の高齢化の課題と経済見通し」を開催しました。
世界銀行は昨年12月9日、新報告書『長く幸せな人生を:東アジア・大洋州地域の高齢化』を発表しました。同報告書では、世界人口の36%は65歳以上であり、その最大シェアを占める東アジア地域には2億1,100万人が暮らしていると分析しています。また、東アジア地域は他地域よりも早く高齢化が進んでおり、域内の中高所得国では2040年までに労働年齢人口の15パーセント相当を失う可能性があると指摘しています。同報告書では、日本の経験にも触れつつ、高齢化が 経済成長や公共支出に及ぼす影響を検証し、多様な人口動態を有する東アジア各国の労働市場、社会保障制度、保健、長期介護ケアにおける課題について政策評価・助言を提言しています。
今回のセミナーでは、塚越保祐・世界銀行グループ駐日特別代表が冒頭挨拶を述べた後、同報告書をとりまとめたヴァン・トロッツェンバーグ副総裁が、東アジア・大洋州地域の経済概況と今後の見通し、同地域における高齢化および人口動態動向の課題と同報告書における政策提言についてご紹介しました。また、河合正弘・東京大学公共政策大学院特任教授に、同報告書に対するコメントをご紹介いただきました。
プログラム
冒頭挨拶
塚越保祐 世界銀行グループ駐日特別代表
講演
アクセル・ヴァン・トロッツェンバーグ 世界銀行東アジア・大洋州地域担当副総裁
当日の資料:Developing East Asia and Pacific: Prospects and Policy Challenges With a Focus on Aging (PDF)
コメント
河合正弘 東京大学公共政策大学院特任教授
スピーカー略歴
2013年2月1日より現職。東アジア・大洋州地域の23か国(カンボジア、中国、フィジー、インドネシア、キリバス、韓国、ラオス、マレーシア、マーシャル諸島、ミクロネシア、モンゴル、ミャンマー、パラオ、パプアニューギニア、フィリピン、サモア、ソロモン諸島、タイ、東ティモール、トンガ、ツバル、バヌアツ、ベトナム)向けの融資、グラント、信託基金など300億米ドル以上のポートフォリオを統括している。昨年12月に発表した新報告書『長く幸せな人生を:東アジア大洋州地域の高齢化』をはじめ、同地域の課題と展望に関する様々な報告書をとりまとめている。 2009年8月から世界銀行譲許性資金・グローバル・パートナーシップ総局の副総裁として、世銀の最貧困層向け基金である国際開発協会(IDA)の政策対話と増資交渉を率い、2010年12月、第16次増資交渉において過去最高の493億ドルでの決着を実現させた。2007年7月から2009年7月までコロンビアとメキシコのカントリー・ダイレクター、2002年から2007年7月までアルゼンチン、チリ、パラグアイ、ウルグアイのカントリー・ダイレクター、1996年から2001年まで、貧困国のための最大かつ最も包括的な債務削減プログラムである重債務貧困国(HIPC)イニシアティブのシニア・マネージャ、それ以前には、コートジボワール担当シニア・エコノミスト、グアテマラ担当エコノミストを務めた。世界銀行には、1988年に入行。それ以前はパリの経済協力開発機構(OECD)に勤務。 オランダ、オーストリア国籍。経済学修士号及び博士号、国際関係論修士号。 |
関連
プレスリリース「急速に高齢化が進む東アジア:労働力減少に歯止めをかけるには 生涯にわたる政策と公共支出拡大が不可欠」(2015年12月9日)
報告書「長く幸せな人生を:東アジア・大洋州地域の高齢化」英語 (PDF)