広島市中心部、川に挟まれた三角州に位置する美しい平和記念公園は、広島市民の憩いの場であると同時に、国内外から多くの人々が訪れる人気の観光地となっています。ここは1945年8月6日の、原子爆弾投下という人類史上最悪の悲劇の死没者の霊を祀り、世界恒久平和を祈念する、広島市の象徴的な場所です。
戦後、壊滅状態から美しい街へと再生した広島市は、さまざまな災害により破壊された世界の都市の復興に、今も有益な知見を提供してくれます。世界銀行東京開発ラーニングセンター(TDLC)では広島市とパートナーシップを結び、その知見を世界に共有する活動を行ってきました。広島で実施された土地管理に関する都市開発実務者向け対話型研修(テクニカルディープダイブ:TDD)では、海外からの参加者たちが平和記念公園を訪れ、市の平和への取り組みへの理解を深めました。
こうした中で広島の再生の物語は、日本と地球の反対側に位置する南米、チリの人々にも広く知られることになりました。世界的に信頼されるテレビ局であるCNNのチリ支局は、公共空間とそこに生きる人々をテーマとした番組「Pares Impares」で、広島市の松井一實市長や、TDLCのクリストファー・パブロチーム・リーダーに取材し、広島市の平和記念公園を中心とした再生の物語を取り上げました。番組では市民や多くの人々が協力して街の復興を成し遂げ、魅力的な公園が創造されていった過程を紹介しています。
CNNチリの記者、カミラ・スマストレ氏は、この番組が制作されるに至った経緯を次のように説明しています。「世界が紛争解決の解決策を探る中、広島は原子爆弾による破壊から立ち直りました。復興を成し遂げたその驚くべき回復力に、私たちは注目しました。世界中で戦争や攻撃が起きている現在、広島の物語は人々を元気づけてくれると考えたのです。」
また、番組の制作過程を振りかえり、スマストレ氏は都市空間が単に人が住む場所であるだけでなく、価値観を伝える媒体でもあることに気づいたと言います。広島の場合は、繰り返してはならない残虐行為の記憶を呼び起こす象徴として、建築物、そして人々の記憶を通じて、平和が実感できるものとなっています。
広島市の復興の物語は、世界中の人々のリバブルな都市づくりに、勇気を与えてくれています。
(CNNの許可を得て、日本語字幕をつけ公開しています。)