ワシントン、2025年6月20日—債務の透明性に関する世界銀行の最新報告書「徹底した債務の透明性」によると、資金調達環境が悪化する中、予算外で複雑性が高い借入手段を選ぶ途上国が増えており、公的債務の全体像を把握するのがより困難になっている。
報告書は、こうした状況に対応するため、融資案件ごとにより広範で掘り下げた報告を求めるなど、債務国と債権国による債務の報告・開示方法を根本的に見直すよう提言している。
債務データを公表する低所得国の割合は、2020年の60%未満から75%以上へと増加したものの、新たな契約に基づいて発生した債務については、融資案件ごとの情報を開示している国は25%にすぎないと報告書は指摘する。私募債や中央銀行間スワップ、担保付き取引など、複雑で不透明なことの多い資金調達が急速に増えているため、債務状況の報告がさらに複雑になっている。
「報告されていない債務の最近の事例からは、透明性の欠如が悪循環を引き起こしかねない実態が浮き彫りになっている」と、世界銀行のアクセル・ヴァン・トロッツェンバーグ上級専務理事は述べた。「隠れ債務が表面化すると、資金が枯渇し調達条件が悪化する。その結果、各国は、不透明な契約や担保付き取引に頼らざるを得なくなる。債務の透明性を徹底すれば、タイムリーで信頼性の高い情報が入手できるようになり、悪循環を断ち切るための基礎となる」
報告書によると、国内で発行される債務も増加しているが、情報開示基準は不十分である。各国はまた、一部の債権者との間で非公開で債務の一部再編を行っており、市場は必要不可欠な情報を得ることができない。
報告書は、債務国と債権国が透明性確保のため緊急措置を講じるよう提言している。具体的には、融資契約の透明性と融資条件の開示を義務付ける法改正と規制改革、包括的な債務調整プロセスへの債権国の全面的な参加、より定期的な監査と国による監督強化、契約締結後の債務再編条件の公表などである。
「債務の透明性は技術的課題にはとどまらない。信頼構築と借入れコスト削減、投資誘致のための戦略的公共政策である」と、パブロ・サアベドラ世界銀行繁栄担当副総裁は述べた。「徹底した債務の透明性は、債務の持続可能性を確保するだけでなく、民間投資の活性化による雇用創出を促進する」
債務の透明性推進に向けた世界銀行の取組みの中核にあるのは、国別の透明性改革を推進する世界銀行の技術協力プログラム、ならびに低・中所得国の対外債務に関する検証可能なデータの唯一で最も重要な情報源であるグローバル債務国報告システムである。国内債務へと対象を拡大し、データのさらなる質の向上を図るなど、同システムの拡充が進められている。