プレスリリース

世界最大の農業研究パートナーシップ、資金規模が過去5年間で10億ドルに倍増 世界の食糧安全保障に高まる期待

2013年12月18日

国際農業研究協議グループ(CGIAR)への投資は、 アジアのコメ増産、
アフリカの小規模農家の灌漑、農業による森林破壊の大幅減少などに繋がると期待

ワシントンDC/仏モンペリエ - 世界最大の農業研究パートナーシップである国際農業研究協議グループ(CGIAR)は本日、資金規模が10億ドルに達し、2008年当時の5億ドルから倍増したと発表した。この過去最大のコミットメントにより、アジア地域ではコメ増産による1億5000万人の貧困層削減、アフリカ地域では1200万世帯を対象とする持続的灌漑、170万ヘクタールの森林破壊防止や、5000万人の貧困層のための高栄養価食糧へのアクセス確保など、様々な成果が期待される。

「気候変動が農地の生産性を奪い、これまでに達成してきた開発成果を脅かす中、2050年には90億人に達するであろう世界人口を支えるための食糧増産は喫緊の課題だ」と、CGIARファンド・カウンシル議長であるレイチェル・カイト世界銀行持続可能な開発総局副総裁は述べた。「気候変動から特に大きな影響を受けるのは、貧困層と脆弱層だ」

「CGIARへの投資は大きな恵みとなって戻ってくる。貧困や飢餓、栄養不良の持続的な削減に、CGIARは『最も確実な投資先』の一つだ」と、カルロス・ペレズ・デル・カスティーヨCGIARコンソーシアム理事長は述べた。「これまでにCGIARがもたらした開発成果を見れば、CGIARに対する投資ほど経済的・人道的効果をもたらす投資はないだろう」

CGIARは、数百にのぼるパートナー機関との協力の下、世界の最貧困層に恩恵をもたらす革新的なソリューションや手段、テクノロジーの開発に取り組んできた。開発途上国には数百万人の農業生産者や貧しい小作農業者が暮らしているが、全世界の食糧生産の70%近くを占めているのは彼らである。CGIARは、最先端の研究を通じてこうした人々が直面する様々な課題に対処している。

 「10億ドルの拠出は、CGIARの16の研究プログラムに充てられ、気候変動、水不足、土地劣化、慢性的な栄養不良など複雑な課題を克服する上で必要な科学・政策・技術の進歩の促進に役立てられる。これにより、途上国の数百万の貧困層の生活を改善することができる」と、CGIARコンソーシアム最高執行責任者のフランク・ライスベルマンは述べる。

CGIAR研究プログラム がもたらす主な成果:

  • 稲の研究を通じて、2035年までに農家のコメ生産量を増やし貧しい消費者のための価格引下げを実現することで、アジア地域で1億5000万人を貧困状態から脱出させ栄養不良者を6200万人削減。
  • 水・土地・生態系の研究を通じて、2020年までにアフリカ地域の1200万世帯に持続的灌漑システムを普及。
  • 貧困層の主要たんぱく源である穀実用マメ科作物の研究を通じて、世界5大陸の低所得国で2022年までに収穫量を210万トン増やし、貧困層の栄養状態を改善。
  • 栄養不良対策の一環として、主要ビタミン・ミネラル(鉄分や亜鉛、ビタミンAなど)を強化した主要穀物を2018年までに5000万人に普及。
  • 森林・樹木・森林農業 の研究を通じて、2020年までに森林破壊を50万~170万ヘクタール規模で防止し、二酸化炭素排出量を年間1億6000万~6億8000万トン削減。
  • エジプトの水産・養殖業の雇用を、2022年までに30%拡大し、6,000を超える養殖施設の生産性を倍増。

 「今回の拠出によりCGIARは、世界中の小規模農林水産事業者のニーズに対応するため、世界レベルの研究を行うことが、より一層可能となる」と、拠出国・機関の意思決定を行うCGIARファンド・カウンシルの事務局長を務めるジョナサン・ワズワースは述べている。「CGIARは、拠出金を1ドルたりとも無駄にせず貧困層に効率的に活用していく」

 CGIARとパートナー機関は過去40年以上にわたり、品種改良、持続的農法、水産品種の改良、家畜用新ワクチン、気候変動対策ソリューション、的確な政策分析といった農業研究の具体的成果を通じて、何億人もの生活を向上させてきた。

具体的な成果:

  • 干ばつ耐性のあるメイズ(トウモロコシ)により生産量が20~30%増大し、アフリカ13か国の2000万人に恩恵。
  • 通称「スキューバ米」は、2週間の冠水に耐え得る品種であり、これによりアジア・モンスーン地域の貧しい農家や消費者の収穫、所得、食糧安全保障を保護。
  • ペルーのパウカルタンボ郡では葉枯れ病により主要作物の供給が脅かされてきたが、在来品種よりも同病への耐性が強く、収穫量が8倍のジャガイモ品種 が新たに開発され、十分な食糧を確保。
  • サヘル地方では、食用作物の栽培地と樹木植栽地を統合し、樹木が空気中から取り込む窒素を土壌に送り込んで利用する革新的な森林農業により、炭素捕捉と温室効果ガス排出削減が実現した一方、土壌肥沃度や雨水利用効率が向上し、トウモロコシの生産が最大400%増加。
  • アフガニスタン、バングラデシュ、エチオピア、エジプト、ネパール、パキスタンで、極めて悪性の強い小麦サビ病菌(Ug99)に耐性を持つ、生産性の高い小麦品種により、50万の農家の生計と食糧安全保障を確保。
  • アフリカ東部で、致命的な家畜伝染病「東海岸熱」のワクチンにより、62万頭の子牛を守り、食糧と生計を家畜に依存する最大5万世帯が恩恵を享受。ワクチンはさらに2000万人に恩恵をもたらす潜在的可能性があり、その場合の経済規模は年間2億7000万ドル。

「CGIARは、ソリューションを提供し、気候変動や病虫害への耐性を強化し、世界中の人々が栄養価の高い食糧を生産することにより様々な課題を克服できるよう、確かな実績を残してきた」とカイト議長は述べた。「今回の拠出は、CGIARの取り組みをさらに高いレベルへと導くものであり、気候変動の逆風の中、食糧・栄養の安全保障強化を目指す世界的な努力において極めて重要な意味を持つだろう」

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