プレスリリース

景気後退などの影響を受け、世界の貿易・物流の効率性は低下するもチリ、中国、インド、モロッコ、南アフリカ、米国など多くの国ではなおも改善

2012年5月15日




ワシントン、2012年5月16日—貿易・物流の効率性の向上は世界的な景気後退を受け、過去2年間にわたり減速したが、積極的な改革に取り組んだ国々の効率性は、引き続き改善した-貿易・物流に関する世界銀行の最新報告書はこう指摘している。

物流パフォーマンス指標(LPI)は、報告書「物流業界と競争2012:グローバル経済の中の貿易・物流(仮題):Connecting to Compete 2012: Trade Logistics in the Global Economy」の指標であり、対象155か国のトップはシンガポールである。同報告書は、国際貨物輸送業者や自動車運送事業者を対象とする総合的な調査の結果に基づいており、チリ、中国、インド、モロッコ、南アフリカ、トルコ、米国といった国々はいずれも、以前より効率性が改善したとしている。

「貿易・物流は、経済競争力、経済成長、貧困削減の鍵を握る」と、世界銀行のオタビアーノ・カヌート貧困削減・経済管理(PREM)総局副総裁は述べている。「残念ながら、物流分野における富裕国と貧困国の格差と、2007-2010年に見られた収斂は改善していない。世界的な景気後退やヨーロッパの債務危機などにより、物流改革への注目が薄れてしまったからだ」

LPIによると、ランキング上位は高所得国が占め、パフォーマンスが最も低い国々は、主に内陸国、小規模な島嶼国、紛争後の国など、開発で最も後れを取る国々となっている。とは言え、物流の効率性は単に、国民一人当たり所得の水準だけで判断されるわけではなく、どんな所得水準でも、同じレベルの国よりも効率的な国も多い。

高位中所得国に分類された国々の中では、南アフリカ、中国、トルコが上位を占めた。低位中所得国では、インド、モロッコ、フィリピンが平均を上回るペースで効率性を改善した。低所得国では、ベナン、マラウィ、マダガスカルなどが好調であった。

「効率性の高い国々では、進歩をもたらした一番の原動力としてインフラが突出しており、これに、物流サービスの向上、通関手続きと出入国管理が続く」と、世界銀行のモナ・ハダド国際貿易セクター・マネージャは述べている。「効率性の高い国々はいずれも、官民両セクターが密接に協力しており、行政サービス、インフラ、効率的物流の整備において総合的なアプローチを採用している」

同調査は、物流サービスは過去の調査と比べると改善したものの、鉄道サービスについては回答者の90%以上が不満を感じていたとしている。出入国管理については、税関当局がこのプロセスに関わるすべての機関の中で最高の評価を得ている一方、公衆衛生・植物検疫の規制当局は後れを取った。

食糧価格とカーボン・フットプリントの削減に、物流の改善が必要

食糧価格が歴史的な高水準にある中、同調査はまた、物流が食糧の安全保障にとっても重要であることを確認している。運輸と物流の効率や食糧サプライチェーンの耐性は、特に食糧輸入への依存度が高いアフリカや中東の国々において、食糧価格と国内の食糧確保に直接的な影響を与える。

途上国、特に内陸国や貧困国では、食糧小売価格の20-60%を運輸と物流が占める。例えば、ニカラグアでは米国から輸入されるトウモロコシのコストのうち48%を占めている。

同調査は今回初めて環境指標を取り入れた結果、環境に優しい物流が高所得や新興国で急速に注目を集めているとしている。物流と貨物輸送関連の活動がヒトが排出する二酸化炭素の最大15%を占めるため、これは望ましい展開だ。今や、DHL、フェデックス、UPS、TNTなど大手物流企業はいずれも、カーボン・フットプリントを減らし、車両の燃費を向上させ、施設の効率性を高め、クライアント企業の環境保護意識を高めるため、地球規模のイニシアティブを展開している。

今後に向けて

2012年のLPIからは効率的な物流の前提条件が見て取れる。効率性の高い国々はいずれも、官民の強力なパートナーシップと対話、政策担当者、実務者、行政当局、学術界の間での緊密な協力関係、運輸サービス、インフラ、効率的な物流の開発に当っての総合的アプローチを構築・維持している。

官民両セクターの間で協力関係を構築すること、そしてすべての関係当局がサプライチェーンに与える影響を考慮することによってのみ、その国の物流能力が持続可能な形で改善されると、同報告書は指摘している。

貿易・物流改善のための世界銀行の取組み

  • 物流と貿易の促進を図るプロジェクトは、世界銀行の全ポートフォリオの約10%を占める。
  • こうしたプロジェクトの例としては、通関制度の改革、貿易の促進、域内・貿易回廊プロジェクトなどがある。例えばアフリカでは、3億ドルの東アフリカ運輸交通・貿易促進プロジェクトにより、貿易回廊のインフラを改善し、ウガンダとケニアの国境にあるマラバ検問所を整備した。同プロジェクトにより国境通過の所要時間が2006年の3日から2012年には3時間へと短縮された。
  • ドナーが設立した5000万ドルの技術協力イニシアティブである貿易促進融資制度が、低所得国による物流プロジェクトと貿易関連インフラの向上に役立てられている。
  • 世界銀行は、以下の各団体とも協力している。
    • 地域開発銀行、国連貿易開発会議(UNCTAD)、世界税関機構など、プロジェクトに関与し、いずれもグローバル・ファシリテーション・パートナーシップのメンバーである他の国際パートナー機関。
    • アジア太平洋経済協力閣僚会議(APEC)、東部南部アフリカ共同市場(COMESA)、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)など域内の国で構成する機関やフォーラム
    • 国際道路組合や国際貨物輸送業者連合会(FIATA)など、公正な業務慣行を促進する民間団体や企業
    • 物流サービスの成果と国際的なサプライチェーンの効率性の拡大に向けて国際的に合意された施策の可能性を分析する世界経済フォーラム(WEF)。WEFも競争力指標に関してLPI を参照している。
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プレスリリース番号:
2012/446/PREM

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