プレスリリース

SOS – 企業も絶滅の危機への対応を

2010年10月28日




地球環境ファシリティ、世界銀行、IUCNの3機関は本日、名古屋COP10会場において、1000万ドル超の出資をもとに「Save Our Species(SOS)」イニシアティブを発足させたことを発表しました。また、2015年までには、種の保存のための世界最大規模の基金を構築できるよう、協力を企業に呼びかけました。

このSOSイニシアティブは、世界中の数千種類の動植物が絶滅の危機に瀕し、種の絶滅が通常の最大1000倍の速さで進行している現状に対処するために生まれたものです。野生動植物の消失は、人間の基本的な生活や経済的安定を脅かします。人間の幸福、持続可能な開発、貧困削減には、健全な生物多様性が欠かせません。生物種(species)は、生物多様性において最も目に見えてわかりやすい生物多様性の構成要素です。しかしながら、たとえば「IUCN絶滅危惧種レッドリスト™」作成のために行なわれた調査によると、調査対象の哺乳類の4種に1種、鳥類の8種に1種、両生類の3種に1種、珊瑚類の3種に1種が、野生では絶滅の危機に瀕しています。

本日、「生物多様性条約」会合に合わせて名古屋で発足した「Save Our Species(SOS)」イニシアティブは、生物多様性の損失という問題へのグローバルな取り組みであり、国際的な保全に関する技術をもった民間企業からの資金援助と、種の絶滅の危機に直面している国々による協力とをつなげることを目的としています。

SOSは、特定の絶滅危惧種とその生息地とに焦点を合わせ、現場での種の保全活動に無償資金を提供するものであり、これまで大きく欠けていた「多くの異なる主要関係者間の協調」を実現します。また、SOSは企業に「地球の自然環境保全に直接関与する」というユニークな機会を提供するとともに、企業が持続可能な開発のために立てた目標を達成できるよう支援します。

 SOSは、生物種にあたかも「新しい通貨」のような役割を与え、地球の自然環境保全に直接関与するユニークな機会を民間セクターに提供します。すなわち、企業が出す資金や考案したアイデアにより、生物多様性が保全され、一方で、民間セクターが持続可能な開発のための目標を達成しつつ、株主・顧客・従業員からの環境保護ニーズの高まりに応えるための手助けを可能とするという考え方です。
すでにSOSには民間企業の資金が集まり始めており、世界的な携帯電話メーカーで通信ネットワーク事業者でもあるノキアが、SOSに参加した最初の企業となりました。

また、準備段階でいくつかの対象プロジェクトがすでに選ばれています。30以上の生物種を対象とするこれらのプロジェクトでは、今年5月にカザフスタン西部で1万2000頭近くが死んだ絶滅危惧IA類のサイガや、絶滅危惧IA類のチュウゴクオオサンショウウオの個体数回復などに役立てられました。また、最近、SOSによる支援のおかげで、絶滅危惧種に属する新種の両生類「チョコ・ハーレクイン・フロッグ」がコロンビアで発見されました。

IUCNは、この野心的なイニシアティブを運営するにあたり、「IUCN絶滅危惧種レッドリスト™」の調査結果と、世界中に数千人いる専門家の知識・技術とを活用します。

10月28日のSOS発足の説明会見には、本プログラムを主催する3つの団体のトップ、世界銀行のロバート・B・ゼーリック世銀グループ総裁、地球環境ファシリティのモニーク・バルビュー地球環境ファシリティCEO兼議長、IUCNのジュリア・マートン‐ルフェーブルIUCN事務局長と、初の参加企業であるノキアのキルシ・ソルムネン持続可能性担当副社長が登壇し、本プログラムへの期待と意思を表明いたしました。

ロバート・B・ゼーリック 世銀グループ総裁 のコメント
「種の絶滅は地球規模の現象であり、この問題を克服するためには、地球規模での理解、地球規模での取り組み、そして地球規模での資源が必要となるでしょう。民間部門の新しいパートナーは、この危機に対処するための取り組みにおいて主導的役割を発揮しています。私たちは、彼らの取り組みによって他の企業・財団・個人・政府が刺激され、私たちの協力者が増えることを願っています」

モニーク・バルビュー 地球環境ファシリティCEO兼議長 のコメント
「絶滅危惧種は地球の危機を知らせる『炭鉱のカナリア』です。私たちが地球を絶滅危惧種の住める場所にすることができれば、私たちの社会も繁栄するでしょう。これまで、民間部門は種の保存活動におけるミッシングリンク(欠けた部分)でしたが、SOS基金は、企業が自社の収益に注意を払いながら、この計画に沿って積極的に行動できる良い機会です。」

ジュリア・マートン‐ルフェーブル IUCN事務局長 のコメント
「生物多様性は緊急事態に直面しており、緊急の対応を必要としています。SOSはそうした対応、つまり、知識・専門技術・財政的支援を1つにまとめて世界中の野生動植物の窮状を救う取り組みを実行しようとしているのです。私たちは、種の保存の活動が効果を上げると確信していますし、野生生物を絶滅の危機から救い、彼らの生息地を保護するためのノウハウを持っています。SOS基金は、これを実現させるために欠かせない資源を供給するものです」

キルシ・ソルムネン ノキア持続可能性担当副社長 のコメント
「企業は地球上の豊かな生命を保護する役目を持っています。Save Our Species(SOS)すなわち『我が地球上の種を救い、我々自身を救え』というメッセージは、誰にとっても非常に大切なものであり、ノキアはこの重要なイニシアティブに参加できることを誇りに思っています。私たちは、携帯電話技術が私たちすべてにとって、エコロジカル・フットプリントを減らし、地球上のすべての生命を支える生物多様性と生態系とに対する人々の関心・意識を高めるための役に立つと信じています」


多くの企業は、自社ブランドを宣伝するために高額な有名人を起用しています。一方で、自然をマーケティング手段として無償で利用してきた企業も数多くあります。SOSは、こうした企業に、これまで自然から与えられ、今後も引き続き与えられるであろうすべてのものに酬いる機会、それも、影響力のある投資が確実にできる機会を提供しようとするものです。
すでに、企業が最初から熱烈な反応を示してくれたことを喜ばしいことと捉え、本基金が大きな変化のスタートとなることを願っています。

SOSは、今後5年間に種の保存のための投資を現在より大幅に増やすことをめざしており、当初の目標を2000万ドルとしています。「Save Our Species」支援パートナーなどからの寛大なプレッジのおかげで、私たちはすでにこの目標の50%超を達成しており、民間セクターからの寄付によって目標額を達成したいと考えています。

IUCNについて

IUCN(国際自然保護連合)は、最も差し迫った環境・開発問題の実用的な解決策を世界が見つけられるよう支援しています。
IUCNは、科学的調査を支援し、全世界の現地プロジェクトを管理し、また、政策・法律・ベストプラクティス(最良慣行)の立案に向けて政府・NGO・国連・企業を団結させることによって、生物多様性、気候変動、エネルギー、人間生活、世界経済のグリーン化といった問題に取り組んでいます。
IUCNは世界最大で最も古い歴史をもつ国際環境団体で、1000を超える政府・NGOがメンバーとなっているほか、160カ国の1万1000人近い専門家がボランティアとして参加しています。IUCNの活動は、60の事務所で働く1000人超の職員と、全世界の数百の公共・民間部門およびNGOのパートナーとによって支えられています。

地球環境ファシリティについて

GEFは地球規模の環境問題に取り組むため、国際機関やNGO、民間部門と協力して182カ国を結束させており、また、持続可能な開発のための国家的イニシアティブを支援しています。現在、GEFは地球環境を改善するためのプロジェクトへの最大の資金提供者となっています。独立した金融機関であるGEFは、生物多様性、気候変動、国際水域、土地荒廃、オゾン層、残留性有機汚染物質といった問題に関連したプロジェクトに無償資金を提供しています。1991年以来、GEFは90億ドルの資金を提供してきたほか、協調融資の形で165カ国の2600件を超えるプロジェクトに400億ドルを投資しました。

世界銀行について

世銀の使命は、開発途上国とその国民の貧困緩和を支援することです。世銀はまた、包括的で持続可能なグローバリゼーションを推進する方法、すなわち貧困を克服し、環境に配慮しながら成長を促進し、個人の機会と希望を創造する方法で、世界的な問題に取り組んでもいます。現在、世銀は開発途上国にとって、生物多様性保全のための最大の国際的資金源となっています。

メディア連絡先
IUCN メディア広報責任者
ニッキー・ チャドウィック
電話: +41 22 999 0229, +41 79 528 3486
nicki.chadwick@iucn.org
GEF 上級広報責任者
クリスチャン・ ホーファー
電話: +1 202 413 4185
chofer@thegef.org
SOS マーケティング・広報責任者
エルケ・ ブロドウ
電話: +41 22 999 0372
elke.blodau@iucn.org


プレスリリース番号:
2011/156/SDN

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