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2022年6月17日
東京
湿地帯で洪水を緩和し、マングローブで高波や高潮、海岸浸食の被害を軽減する――このような自然の力を活用した解決策であるネイチャーベースソリューション(Nature-based Solutions:NBS)が近年注目を浴びています。NBSは、グリーンインフラストラクチャー(GI)とも呼ばれ、従来のコンクリート構造物などによるグレーインフラストラクチャーと組み合わせることもできます。この「グリーン」と「グレー」を組み合わせたハイブリッド型インフラは、企業や組織が、より費用対効果が高く災害に強いサービスを提供することを可能にします。
世界銀行東京防災ハブと日本の建設企業が意見交換会
東京防災ハブは6月17日、グリーンインフラにおける先進的な取り組みを実践する日本の建設企業や組織の代表者計12人との意見交換を行いました。日本企業からは最新の事例等の紹介があり、世界銀行からは、途上国での課題解決に必要な技術やグリーンインフラを実施する上での課題などが共有されました。冒頭あいさつで、一般社団法人日本建設業連合会(日建連)の代表者は、「世界のトレンドへの理解を高め、将来的なコラボレーションやビジネスチャンスを探ることは重要です」と述べました。その後、世界銀行防災グローバルファシリティ(GFDRR)プラクティス・マネージャーのニルス・B・ホルム・ニールセンと日本企業2社の代表者2人の計3人によるプレゼンテーションに続き、質疑応答が行われました。
自然が「解決策」になることへの理解が不可欠
プレゼン発表では、まずGFDRRのホルム・ニールセンが、世界銀行の活動およびパナマ共和国やセーシェル共和国での海岸修復プロジェクトなど「気候変動に対する強靭性(Climate Resilience)」のためのNBSに関するグローバルプログラムを紹介しました。また、プログラムを通じて得られた知見や教訓を共有し、技術的な知識と多様な状況下でのNBSの運用成果への理解を深めることの重要性を強調しました。ホルム・ニールセンは、リスク管理の決定権を持つ多くの技術者や政府関係機関担当者などが「自然」を解決策として考え、ステークホルダーグループと積極的に関わる経験を積むことが極めて重要である、と指摘しました。
自然の恵みを地域社会に還元
続くプレゼンでは、参加企業が、自然の機能を生かしインフラ整備するとともに、同社が持つソフトや技術で自然の恵みを地域社会に還元する事業活動を紹介しました。都市部での生物多様性向上を目指し開設したビオトープでは、15年にわたり野生生物や植生環境のモニタリングを実施。生態学的なホットスポットづくりのデータの蓄積をすると同時に、次世代を担う若者を対象に環境教育を提供し、自然資源の価値を伝えています。
最後のプレゼンでは、「自然との共生」を目指した工業団地の開発事業が紹介されました。ここでは自然の森に見られる樹木間競争を生じさせることによる強靭な森づくりを進めました。また10年以上に渡り産官学民が連携する森づくり活動を実践、近年は同団地入居企業の従業員の参加者が大幅に増加し、プロジェクト終了後も多くの企業が「追加の資金拠出をしてでも活動を継続したい」というところまで自然に対する意識が変わりました。その理由の一つは「雑草取り等の労働を伴う体験」であり、自らが汗だくになりながら森を再生させる「達成感」が意外なインセンティブになった、との事例を共有しました。
“グリーン”と“グレー”を融合させて競争力を高める
その後、参加企業との意見交換が行われました。参加者の一人は、日本の技術者が自然に関する知識をさらに深める必要性を感じたと述べ、自然環境に取り組む人たちとの協働への展望が語られました。世界銀行のホルム・ニールセンは閉会の挨拶で、「グリーンとグレーのインフラを統合させる能力は、今後、世界的に重要性を増す競争上の強みとなるに違いないでしょう。これからも日本の事例に学んでいきたいと思います」と述べ、自然の力を活用したインフラが切り拓く未来と可能性を確認して意見交換会を締めくくりました。
関連項目
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