特集

世界銀行、情報公開を拡大

2010年7月1日


要点
  • 世銀が7月1日に施行する新情報公開政策により、数千件の文書が新たに公開されます。
  • 情報公開に関する要望を世銀が棄却したことに対し、政策への違反だとする申立てがあった場合、独立パネルに任命された3名の委員がそうした申立てを審議します。
  • 透明性の強化は開発効果を高め、一般市民および関係者による世銀業務のモニタリングが促進されます。

2010年7月1日-本日から世界銀行が施行する新情報公開政策により、理事会の動向や実施中のプロジェクトをはじめとする多くの情報が公開されます。

2009年11月の理事会で承認されたこの政策は世銀にとって極めて大きな変革であり、開発コミュニティの間でも、各国際機関に新たな基準を導入する形でアプローチを抜本的に転換するものと受け止められています。この政策は、主にインドと米国の情報関係の法律を参考に策定されています。

この新たな情報公開政策は、情報開示、透明性、知見の共有、および説明責任における世銀のアプローチにとって大々的な転換です。従来よりもはるかに幅広い情報、特に準備・実施段階にあるプロジェクトや理事会の動向に関する情報に、一般市民がアクセス可能となる」と、ロバート・B・ゼーリック世界銀行総裁は述べました。

世銀は、これまでにも様々な改革、例えば理事会における開発途上国の議決権の拡大や「オープン・データ・イニシアティブ」を通じた開発分野のデータベースへの自由なアクセスなどを実施してきましたが、この新政策の実施により、業務の開放性や透明性、説明責任の向上が推進され、開発途上国、他の国際機関、市民社会機関(CSO)にとってさらに有力なパートナーとなります。

アプローチの転換

世銀は、新政策の下で、公開可能な情報の限定列挙という従来のポジ・リスト方式から、自らが保有する情報のうち、公開不可能な情報を限定列挙するネガ・リスト方式に転換します。例えば、プロジェクトの策定や実施の際の重要な意思決定について、これまでよりはるかに多くの情報が公開されるようになります。この中には、プロジェクト・コンセプト・レビュー会合、プロジェクト監督ミッション、プロジェクトの中間レビューなどの決定が含まれます。

このように透明性と説明責任が拡大されることで、世銀が支援するプロジェクトに対するモニタリングが強化され、ひいては開発成果の向上につながると期待されます。また、この新情報公開政策は、一般市民による情報へのアクセスを推進し、公的資金の利用状況の追跡をより確実なものにする機会が提供されます。

情報公開の例外となる情報のタイプには、個人関連情報、理事室の意見、倫理委員会の議事、職務上知り得た顧客情報、防犯安全確保と危機管理上の情報、加盟国や第三者から機密扱いで提供された情報、組織運営事項、検討段階の情報、財務情報、別の開示制度(独立評価グループ、査閲パネル、組織公正担当副総裁室の下で機密とされている情報や捜査・監察情報などがあります。

数千件の文書を公開

世銀は、保存された過去の文書のうちすでに1万7000件を公開しており、現在、ウェブサイトを通じてアクセス可能です。その中には、経済分析・セクター業務の確定版の文書、セクター報告書、実施完了報告書・プロジェクト完了報告書、職員評価報告書、技術資料、2005年7月1日以前の国別援助戦略、および1990年7月1日以前の総裁の報告書と覚書が含まれます。

世銀が公開する情報の大半は、ウェブサイト上、および世界100か所以上にある世銀情報センターで入手可能です。このサイトは、各要望に対して受付番号を自動的に割り当てる新追跡システムとリンクしており、各要望はしかるべき部署に伝達され、その後の対応が追跡されます。

新システムでは、世銀は5営業日以内に要望を受理した旨を確認します。通常は、20営業日以内に包括的な回答を提供しますが、問い合わせ内容によっては、対応の進捗状況を伝えます。

新政策は、要望人が、この政策の下で公開されるべき情報へのアクセスが不適切または不合理に棄却されたと判断する場合、または要望を受けた情報の公開を制限している例外規定を撤回することが公共の利益にかなうと判断する場合、要望人に不服申立の権利を認めています。

この政策は、33か国で実施された、また世銀のウェブサイトを通じて実施された世銀内外との協議を参考に策定されており、加盟国、市民社会、研究者、議員、メディア、民間セクター、国際機関、ドナー機関、および世銀職員の見解を反映しています。
 
情報公開不服審査パネルの任命

世銀は、この新情報公開政策の一環として、3名で構成される独立機関である情報公開不服審査委員会を設置しています。この委員会は、情報公開の要望が世銀によって棄却された場合の不服申立てプロセスにおいて重要な役割を果たします。委員会は、新情報公開政策の下で、通常は開示されるべき情報へのアクセスを世銀が不合理または不適切に棄却したとされる場合、申立ての第二(最終)段階において役割を担います。

情報公開不服審査委員会のメンバーは、Wajahat Habibullah、 Daniel J. Metcalfe、Olivier Schrameckの3氏であり、任期は2010年7月1日から2年間です。

Habibullah氏は、現在、インド中央情報委員会(Central Information Commission of India)の首席情報委員を務めており、情報アクセスの分野における権威です。

Metcalfe氏は、現在、アメリカン大学ワシントン法科大学院の非常勤教授であり、情報公開に関する政府の役割および法律に精通しています。 Metcalfe氏は、米国司法省情報プライバシー局に、同局が設立された1981年から所属し、2007年に退職。現在は、政府の開放性と機密について研究する超党派の学術プロジェクトである「政府機密共同研究会(Collaboration on Government Secrecy)」の代表を務めています。

Schrameck氏は、現在、 「Conseil d’Etat」のレポート・研究部門の責任者であり、フランス国務院・最高行政裁判所の判事です。Schrameck氏は、法案策定、公法(憲法、行政法)、市民の自由、および人権問題における著名な専門家です。

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