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 イベント

統合河川流域管理に関する日本の経験の共有:ケララ州におけるスコーピング・ワークショップ

2023年1月23-25日
インド、ケララ州
The World Bank

2023年1月23日から25日にかけて、世界銀行防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)の日本―世界銀行防災共同プログラム(通称「日本プログラム」)と世界銀行の「ケララ水プロジェクト」のチームは、インドのケララ州でスコーピング・ワークショップを開催しました。参加者は、同州の統合河川流域管理を発展させる計画と、気候変動に対応できる貯水池の運用方針を策定する方法について話し合いました。

日本の河川は短く、急流で、季節ごとに水量が異なり、洪水が頻発しがちです。そのような日本の河川流域はケララ州のものと多くの点で類似しているため、日本のモデルやツールに変更を加えればケララ州にも適用可能である、と言われています。

その事実を踏まえ、本ワークショップでは、インドの政府関係者やステークホルダーに対し、日本の技術や制度をケララ州にいかに適用できるかについて、日本の専門家と話し合う機会を提供しました。

具体的には、水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)から小池俊雄氏センター長をはじめとする専門家が登壇し、学術的な分析を行いました。水資源機構(JWA)からも、経営企画部国際課課長の市原裕之をはじめとする専門家が参加し、実務家としての洞察を共有しました。

小池センター長は、日本とケララ州が経験する水問題の類似性を含め、ケララ州に関連する日本の経験やアプローチを紹介しました。また、ダムの役割の正しい理解、降水量のモニタリング、日々の運用方針、制度の枠組み、組織のコミュニケーションやリスク伝達の仕組みなど、日本のアプローチがケララ州におけるリスク軽減にいかに適用できるかについて話しました。

市原氏は、日本における治水ダムの事例を紹介し、気候変動に対応するための改修事業について詳細に説明しました。また、2019年の台風第19号(ハギビス)が到来した際のダムによる治水や、草木ダムの緊急放流ゲートの操作に関する事例についても話しました。

同じくJWAの日本人専門家である佐々木和実氏は、日本におけるダムがどのように統合され日々運用されているかについて語り、特に吉野川のダムのシステムがいかにケララ州の河川流域に適用できるかについて説明しました。

次に、ICHARMの牛山朋來氏が、水力発電ダムの治水と発電の機能を改善するための運用支援システムについて説明しました。また、アンサンブル流出予測や下流域の洪水の推定の重要性についても語りました。さらに、高梁川の事例をもとに、実際のアンサンブル予測の一部を紹介しました。

最後に、ICHARMのアブドゥル・ワヒド・モハメッド・ラスミー氏が、降水量を共有するネットワークとモニタリング・システムの重要性について話しました。また、チャラクディ川流域における試験的な洪水予測モデルの結果について発表しました。

このスコーピング・ワークショップは、より大きなプロジェクトのフェーズ1に過ぎません。今回の成功で良いスタートを切った同プロジェクトのフェーズ2では、統合河川流域で様々なシナリオを想定するアセスメントが行われます。具体的には、気候変動への対応を踏まえた調査、モデル化、予測など、統合河川流域管理の計画作成に焦点を当て、ケララ州の制度や政策枠組みの強化を目指します。ケララ州政府は、プロジェクトの計画と実施の双方において、引き続きICHARMとJWAに所属する日本の専門家から技術支援を受ける予定です。また、フェーズ2では、本プロジェクト同様に日本プログラムの支援を受けている「ダム改修・改善プロジェクト(DRIP)」など、ケララ州で世界銀行が実施している他の大規模なプロジェクトのリソースも活用する予定です。

イベント詳細

  • 日時: 2023年1月23日〜25日