世界銀行の各地域総局では半年に1度(春と秋)、地域内の経済概況と展望をまとめた半期経済報告を発表しています。このうち、中東・北アフリカ地域については、2022年4月14日、「中東・北アフリカ地域経済報告2022年4月版―追跡調査:不確実性の時代にある中東・北アフリカ地域」を発表しました。
同地域の2022年の経済成長率は、原油価格高騰で域内の石油輸出国が予定外に潤い、2016年以降で最大の5.2%になるとみられます。ただし、ウクライナでの戦争と、新型コロナウイルス変異株によりなおも続く脅威のため、この予測値には大きな不確実性が伴います。同報告書では、地域の平均値からは広範なばらつきが見えてこないものの、回復は一様には進まないと予測しています。さらに、産油国は原油価格高騰とワクチン接種率上昇の恩恵を受けますが、脆弱国は後れを取るとみられ、世界的な金融引締め政策、先行きが不透明なパンデミック、進行中のサプライチェーンの混乱と食料価格高騰により、地域全体でインフレ・リスクが高まるとしています。
今回のモーニングセミナー(第142回)では、同報告書の執筆チームのレイチェル・ユティン・ファン世界銀行中東・北アフリカ地域担当チーフエコノミスト室エコノミストとハー・グエン同エコノミストが、同報告書の主なポイントを日本の皆様に向けてオンラインでご説明しました。
日時
2022年5月25日(水)午前8時~午前9時(日本時間)
スピーカー

世界銀行 中東・北アフリカ地域担当チーフエコノミスト室 エコノミスト
データ・統計を担当し、マクロ経済見通しと各国の経済課題を概観する主要報告書である中東・北アフリカ経済モニターの共著者。現職以前は、国際通貨基金(IMF)調査局調査専門官として、IMFの主要一次産品価格システム(Primary Commodity Price System)を担当し、世界経済見通し(World Economic Outlook)の共著者でもあった。北京大学で経済学・国際学学士、バージニア大学で経済学修士号を取得。

世界銀行 中東・北アフリカ地域担当チーフエコノミスト室 上級エコノミスト
2009年、ヤングプロフェッショナルとして世界銀行に入行。開発経済総局(DEC)開発研究グループのマクロ経済・成長チームのエコノミストを経て、2018年7月より現職。米国メリーランド大学で経済学博士号、オーストラリアのアデレード大学で経済学の修士号及び学士号を取得。
発表資料
質疑応答中にスピーカーが言及したレポートは以下の通りです。
- Technology adoption and the middle-income trap: Lessons from the Middle East and East Asia (英語)
- The Upside of Digital for the Middle East and North Africa (英語)
- 中東・北アフリカ地域経済報告 2021年10月版(モーニングセミナー)
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