世界銀行の各地域総局では半年に1度(春と秋)、地域内の経済概況と展望をまとめた半期経済報告を発表しています。このうち中東・北アフリカ地域担当チーフエコノミスト室は、2021年10月7日、新報告書「中東・北アフリカ地域経済報告2021年10月―過信:経済・保健の不備による中東・北アフリカ地域の新型コロナウイルス感染症への対応の遅れ」(MENA Economic Update October 2021 - Overconfident: How Economic and Health Fault Lines Left the Middle East and North Africa Ill-Prepared to Face COVID-19)を発表しました。
中東・北アフリカ地域(MENA)は、長期的な社会・経済情勢と公衆衛生システムの資金不足により、新型コロナウイルス感染症の世界的流行に対応できる準備が整っていなかったため、危機後の回復は脆弱で不均衡です。同報告では、公共部門の賃金上昇が保健等の社会サービスへの投資を遠ざけた同地域の「近視眼的財政」により、今回の危機以前から保健システムの対応力がいかに不十分であったかを詳述しています。同報告書では、今回の危機が発生していなかった場合に予測される同地域のGDPと比較すると、域内の感染症対策の推定累積コストによる国内総生産(GDP)の損失額は、今年末までに総額2,000億ドル近くに上り、同地域のGDPは2020年にマイナス3.8%を記録し、2021年は2.8%の成長が見込まれると指摘しています。
今回のモーニングセミナー(第128回)では、同報告書の執筆チームのレイチェル・ユティン・ファン世界銀行中東・北アフリカ地域担当チーフエコノミスト室エコノミストとハー・グエン同エコノミストが、同報告書の主なポイントを日本の皆様に向けてオンラインでご説明しました。
日時
2021年11月16日(火)午前8時~午前9時(日本時間)
スピーカー
世界銀行 中東・北アフリカ地域担当チーフエコノミスト室 エコノミスト
データ・統計を担当し、マクロ経済見通しと各国の経済課題を概観する主要報告書である中東・北アフリカ経済モニターの共著者。現職以前は、国際通貨基金(IMF)調査局調査専門官として、IMFの主要一次産品価格システム(Primary Commodity Price System)を担当し、世界経済見通し(World Economic Outlook)の共著者でもあった。北京大学で経済学・国際学学士、バージニア大学で経済学修士号を取得。
世界銀行 中東・北アフリカ地域担当チーフエコノミスト室 上級エコノミスト
2009年、ヤングプロフェッショナルとして世界銀行に入行。開発経済総局(DEC)開発研究グループのマクロ経済・成長チームのエコノミストを経て、2018年7月より現職。米国メリーランド大学で経済学博士号、オーストラリアのアデレード大学で経済学の修士号及び学士号を取得。
発表資料
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