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 イベント

セーシェル共和国における沿岸部の強靭性強化

2021年10月15日
セーシェル共和国
The World Bank

(左側)アンス・ロワイヤル湾沿いを歩きながら、沿岸部管理や保全対策について理解を深める参加者。

(右側)現地視察でアンス・ロワイヤルを訪れ雨水流域管理について学ぶ参加者。

写真:ミシェル・マーティン/世界銀行

インド洋に浮かぶセーシェル共和国で2021年秋、同国の環境・インフラ関連の政府機関職員を対象に、沿岸部の強靭性強化を目指す短期研修が行われました。セーシェル大学と世界銀行共催の同研修コース「セーシェルにおける沿岸部の適応と管理」は、9月23日から10月15日の期間に実施され、参加者30人が沿岸部の適用に関する知識や能力を高め、分野横断的なネットワーク構築と連携が強化されました。最終日の閉会式では、冨永真在セーシェル日本国大使が閉会の辞を述べました。日本―世界銀行防災共同プログラムの技術支援プロジェクト「セーシェル共和国における沿岸部の強靭性強化」の一環である同研修は、世界銀行からの技術支援(Technical Assistance:TA)のグラントを得て実現しました。その技術支援は、世界銀行防災グローバルファシリティ(GFDRR)と日本-世界銀行防災共同プログラムを通じて提供されました。

今回の研修には、セーシェル政府が2019年に立ち上げた沿岸部管理計画に対する世界銀行の評価が反映されました。世界銀行は、セーシェル政府が同計画の実施をさらに改善するためには、沿岸部の管理と適応における政府機関の分野横断的な調整や知識、技術の能力強化が必要であると指摘。世界銀行による、この評価分析を研修に反映した結果、参加者間での分野横断的な知見や情報の共有が活発に行われました。

「研修に参加したことで、物理的環境や持続可能な経営の実践に関する知識が広がり、工学や建設業界の新たな概念を学ぶことができました。また、アイデアや情報が共有できる様々な部門の同僚らとの新たなネットワークを築くことができ、各部門内で成長が育まれ一体感が高まりました。」―研修参加者

研修テーマとしては、沿岸部への地理空間情報システムの適用、気候変動に対応した洪水リスク管理、ネイチャーベースソリューション(自然を活用した解決策)、沿岸部管理とブルーエコノミー*のつながりなどが取り上げられました。

バーチャルおよび対面式の理論的な講義、現地視察、実践的な演習が、参加者の理解を確かなものとしました。このような持続可能な活動を実施するための次のステップとして、関係省庁、NGO(非政府組織)、地域社会を含むステークホルダー間のさらなる分野横断的な協力とネットワーク化が奨励されます。

島嶼開発途上国であるセーシェルは、洪水や海岸浸食、熱帯低気圧などの気候変動に対して極めて脆弱です。気候変動に対する同国の脆弱性を認識したセーシェル政府は、気候変動対策を率先して提唱し、持続可能な開発を促進するための概念としてブルーエコノミーを取り入れてきました。世界銀行は今後もセーシェル政府と協力し、沿岸部の強靭性を強化するための多様な取り組みを支援していく予定です。

 

*:ブルーエコノミー:ブルーエコノミーとは、海洋資源の持続可能な利用を促進し、経済成長、生活や雇用の改善を図ると同時に、健康や海洋・沿岸の生態系を維持することを目指しています。

 

イベント詳細

  • 日時: 2021年10月15日