「幸せの国」とも呼ばれるブータンは、界でもユニークな国民総幸福量という概念をベースに国家の開発をすすめている国です。また世界で唯一の二酸化炭素の排出量を減らしている国でもあり、憲法で国土の60%以上を森林が占めることを規定しています。2008年には絶対君主制から立憲君主制に平和裏に移行し、二度にわたる総選挙が開かれるなど、新しい国づくりを続いています。豊かな水力発電資源と公共セクター主導の開発は、平均7%以上の高成長率と貧困削減をもたらすなど、開発に成功した国のひとつに数えられています。その一方で、若年層の失業率の上昇、経常収支赤字の拡大など持続的な成長に向けての岐路に立っています。
セミナーの冒頭、塚越保祐・世界銀行グループ駐日特別代表の挨拶の後、石原陽一郎・世界銀行ブータン担当駐在代表より、ブータンの現況と今度の課題、世界銀行の取り組み状況と今後の展望についてご紹介しました。さらに、平山雄大・早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター助教・日本ブータン研究所代表からもコメントをいただき、参加者の皆様と活発な質疑応答・意見交換が行われました。
プログラム
挨拶
塚越保祐 世界銀行グループ駐日特別代表
報告
石原陽一郎 世界銀行ブータン担当駐在代表
当日の資料:ブータンにおける世界銀行の取り組み現況と今後の展望(PDF)
討論
平山雄大 早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター助教、日本ブータン研究所代表
スピーカー
2016年7月より現職、ブータンのティンプーに駐在。それ以前は、上級エコノミストとして、ルワンダ(2013年から16年)、アフガニスタン(2007年から10年)、インドネシア(2001年から07年)に駐在。経済・財政政策の策定、マクロ経済分析に従事。2010年から13年まで本部の業務政策・国別サービス総局 (Operations Policies and Country Services)で援助の効率性などを担当。日本長期信用銀行(現・新生銀行)、在インドネシア日本大使館に勤務。筑波大学社会工学類卒業、ロンドン大学アジア・アフリカ学院開発学修士、名古屋大学国際開発研究科博士(開発経済学)。著書に、「アフガニスタンの未来を支える」(共著)(岩波ジュニア新書)。 |