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水辺を再生し、リバブルな都市をつくる ー 日本から学ぶ教訓 : 水辺の再開発に関する都市開発実務者向け対話型研修実施報告

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世界銀行東京開発ラーニングセンター(TDLC)は、2024年11月11日から15日にかけて、東京、横浜、神戸で水辺の再開発に関する都市開発実務者向け対話型研修(テクニカルディープダイブ:TDD)を開催しました。本研修には、バングラデシュ、ジャマイカ、ケニア、パラグアイ、バヌアツから、水辺開発に携わる代表団と世界銀行スタッフの計約40名が参加し、日本が都市のウオーターフロントを生産的かつ包摂的で、持続可能な場所へと整備してきた手法を学びました。

日本から得られた知見

「クリエイティブな復興」による神戸ウォーターフロントの再生と住みやすいまちづくり

神戸市では、1995年の阪神淡路大震災以降、都市中心部とウオーターフロントエリアの再生を目指し、住みやすさと経済活動の向上に取り組んできました。今では、神戸市は民間セクターやコミュニティと協力しながら、この取り組みを行っています。

  • エリア別都市開発:神戸は自動車中心の空間を歩行者に優しい道路に変え、公共空間を創出し、「美しい港町・神戸の玄関口」として都市中心部を再開発することに力を入れています。
  • ウォーターフロントと都市中心部の再開発における民間セクターの参加:「TOTTEI」プロジェクトは、統合型のウオーターフロントアリーナと公園開発を目的とした 民間セクターコンソーシアムによる取り組みです。このプロジェクトは、神戸市のウオーターフロント再開発ビジョンに沿った活気あるウオーターフロントの創出を目指しています。神戸市は、この取り組みを通じてスマートシティモデルを開発するため民間企業と協力し、緑地内の収益施設を活用して公園の運営費をまかなう 「みなと緑地PPP」制度を導入しています。
  • 地域の人々との協力による環境保全とブルーカーボンイニシアチブ:兵庫運河は、漁業や木材などの地域産業と環境回復を統合するモデルとなっています。市とコミュニティの強力な連携により水質を改善し、生態系を復元するとともに、環境教育を推進しています。この協力は、リバブルで強靭性が高く、また持続可能な都市環境を可能にしています。

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神戸ウォーターフロントで進行中の開発投資。

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兵庫運河 軽工業地域におけるブルーカーボンの取り組み。

 

戦略的都市計画によるウォーターフロントビジネス地区の変革と自然を活用した解決策(NbS)による流域管理

参加者は横浜を訪れ、「みなとみらい21」の再開発と、新横浜公園における洪水緩和と気候変動への革新的な解決策を学びました。

  • 空間の集約と都市インフラの統合:1965年に始まった「みなとみらい21」プロジェクトは、造船所を活気ある経済と文化の中心地へと変化させました。数十年にわたるこの統合的な土地利用と交通計画により、地域経済を活性化し、持続可能性を向上させました。現在では、みなとみらい21に多くの企業本社が集まり、年間7200万人以上の来訪者を引き付けています。
  • 強靭性の高い河川インフラの導入と管理の持続可能モデル: 横浜市は、緑地や公共空間としても活用できる、統合的な洪水対応型のインフラを紹介しました。このインフラは、日産スタジアムにも組み込まれており、イベント収益が運営費の補填に活用されています。 新横浜公園は、鶴見川流域管理の一環として洪水調整池の役割を果たす一方で、住民のためのレクリエーションスペースとしても利用されています。このハイブリッド型のアプローチは、グリーンインフラとグレーインフラを融合させ、公民連携を通して災害リスク管理とコミュニティへの貢献を同時に可能にしています。

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横浜の活気あふれる都市型ウォーターフロント「みなとみらい21」。

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新横浜公園にある日産スタジアムの洪水調節インフラ。

 

参加者の声:日本からの教訓

「神戸や横浜では、規制の安定性を保証する管理メカニズムを作ることで、政府の状況に関係なく、民間セクターとの信頼関係を構築する方法があることを学びました。」 

サンティアゴ・アンドレス・シアラバ 世界銀行 上級社会開発スペシャリスト兼パラグアイ担当

「日本では埋立技術が進んでおり、それを自国で活用できると考えています。また、土地の価値を活用する財政手法である 『土地開発利益還元(LVC)』 についても学び、限られた空間をより有効活用するためにこの手法を導入したいと考えています。」 

オマール・ハニフ・マクファーレン・スウィーニー ジャマイカ社会投資基金マネージングディレクター

「汚染された生態系を回復させる研究と取り組みを学びました。これにより、生物多様性と水質が確保され、ウォーターフロントの強靭性が向上し、新たな活動を支えることが可能になります。」 

アラファ・アブダラ・アムル ケニア・モンバサ政府ディレクター

 

研修の写真はこちらをご覧ください。