~世界銀行URLフォーラムで加古川市・神戸市・民間セクター・JICAの実践を紹介~
日本の都市は、世界で最もリバブルな(住みやすい)都市として常に上位に位置付けられています。そのため、日本の都市は、質の高いインフラや生活水準のみならず、急速な都市化、環境問題、人口動態の変化への対応についても、世界の都市に広い知見とインスピレーションを与えることができます。
世界銀行東京開発ラーニングセンター(TDLC)は、2月3日、ワシントンDCで開催された世界銀行都市・強靭性・土地(URL)フォーラムにて、日本の都市がどのように持続可能で強靭性の高い都市環境を形成しているのかを探るセッションを開催しました。本セッションでは、加古川市長、神戸市国際部長および日本の民間セクター、国際協力機構(JICA)の代表者が登壇し、リバブルな都市づくりについての見解を発表しました。
世界銀行の今村英章日本代表理事は開会の挨拶を行い、持続可能な成長には、都市計画、官民連携(PPP)、地域社会の参加が不可欠であると述べました。また、日本の都市がどのように課題を克服し、スマートで防災力の高い都市へと発展してきたのかを紹介し、こうした知見を世界に広めていくことの重要性を強調しました。
日本の都市の取り組み
加古川市岡田康裕市長は、「地域幸福度(Well-Being)指標」について説明し、この指標が「健康」「快適な公共空間」「コミュニティのつながり」「文化・芸術」を政策の優先課題として位置づけるうえで有用だったと述べました。また、加古川市が国土交通省や民間企業と連携し、河川敷の緑地を再生する取り組みについても紹介しました。このプロジェクトでは、河川敷をカフェやレジャー施設のある憩いの空間へと再生することで、市民が楽しめる魅力的なエリアにすることを目指しています。岡田市長は官民連携(PPP)を活用することで、市の財政負担を抑えつつ、持続可能なまちづくりにつながると語りました。
神戸市の垣内正雄国際部長は、同市の震災復興と持続可能な都市づくりについて紹介しました。彼は阪神・淡路大震災の後、神戸市が都市の再生と防災力の強化を最優先課題として様々な政策やプログラムを実施してきたと述べ、その一例として神戸市のウォーターフロント再開発プロジェクトでは、歩行者中心の都市設計を採用し、交通拠点の近くの文化・商業施設の統合を進めてきたと述べました。また、過度な都市密度を防ぎ、バランスのとれた都市開発を推進するために高層建築の規制に取り組むとともに、郊外の鉄道駅周辺の再活性化や農村部での持続可能な農業や都市・農村の連携に力を入れていると語りました。これらの取り組みを通じて、神戸市は強靭性が高く、持続可能で暮らしやすい都市の実現を目指しているとのことでした。
都市開発を支える官民連携、コミュニティの参加と双方向の学びの重要性
リバブルな都市の実現には、官民連携(PPP)が不可欠であり、日本の民間企業も重要な役割を果たしています。セッションには、民間企業および国際協力機構(JICA)の代表者が登壇し、それぞれの経験と知見を共有しました。
本セッションを通じて、日本の官民連携モデルや都市開発の手法が、国内外の都市にどのように適用できるかについて活発な議論が行われました。セッション後の質疑応答では、都市間連携のインセンティブ、水害リスクへの対応、日本の都市開発手法の適用の可能性など、幅広いテーマが議論されました。
世界銀行のアンへリカ・ヌニェス世界銀行都市・強靭性・土地グローバル局マネージャーは、閉会の挨拶の中で、本フォーラムに参加した日本の登壇者に感謝の意を表しました。また、日本政府が世界銀行の都市開発、レジリエンス、土地に関する取り組みに継続的に支援を提供していることについても謝辞を述べました。