横浜市は、世界銀行東京開発ラーニングセンター(TDLC)をはじめとする開発パートナーと共同で2023年11月13日から15日にかけて第12回アジア・スマートシティ会議(ASCC)を開催しました。本イベントではアジア諸都市、政府機関、国際機関、学術機関、民間セクターの代表者が一堂に会し、都市の脱炭素化に関するアイデアや洞察、知見を共有しました。登壇したバニース・ファン・ブロンクホルスト世界銀行都市・防災・強靭性・土地グローバルプラクティス(GPURL)担当グローバルディレクターは、差し迫る気候変動の影響の緩和と適応への取り組みの必要性を強調しました。
TDLCは「暮らしやすく栄える都市の構築」をテーマにセッションを行い、世界銀行の報告書「Unlivable:What the Urban Heat Island Effect Means for East Asia's Cities(住めない都市:ヒートアイランド現象が東アジアに与える影響」や旗艦報告書「Thriving: Making Cities Green, Resilient and Inclusive in a Changing Climate(都市の繁栄:気候変動に強靭で環境にやさしく包摂的な都市づくり)」から主な所見を紹介しました。
「Urban Heat(都市の高温化)」の著者、世界銀行のマーク・ロバーツ都市・防災・強靱性・土地グローバル・プラクティス(GPURL)リード都市エコノミストのプレゼンテーションでは、東アジアの100都市を調査した結果、都市部は半径10㎞圏内の農村部よりも気温が2℃高く、ある都市では周辺地域との気温差が7℃にも達することを報告しました。貧困層や高齢者、屋外労働者などの社会的弱者にとってこの気温差は命に係わりかねません。一方で、気温を下げ、過酷な熱波に対する住民の備えの強化を実現する上で、都市行政が活用できる政策手段などもいくつか紹介しました。
メガ・ムキム世界銀行シニア都市エコノミストは、「Thriving Cities」報告書の中から、環境にやさしく強靭で包摂的なまちづくりを促進するためには、地方・国レベルの政策立案者への支援が不可欠との点に注目しました。世界10,000都市のデータを用いたこの報告書は、次のような問いを投げかけています。「今日の都市は果たしてどの程度環境にやさしく、強靭で包摂的なのか。また、都市の成長は気候や環境全般にどのような影響を与えているのか」と。さらに報告書に提示されている情報、インセンティブ、保証、統合、投資を中心とした政策手段についても確認しました。
これらのプレゼンテーションの後にはフィリピン・バギオ市長、横浜市総務局長、カンボジア国土管理・都市計画・建設省局長、マカッサル政府開発・計画局長によるパネルディスカッションが行われました。議長は、ミン・チャン世界銀行東アジア太平洋地域都市・土地・レジリエンス担当プラクティスマネージャーが務めました。