世界は紛争や気候変動、経済不況、新型コロナ感染症パンデミックの後遺症、貧困問題等の影響を継続的に受けています。度重なる地球規模の危機で不確実性が増す中、知識とキャパシティ・ビルディング(能力開発)の重要性はますます高まっています。2023年11月16日、このような状況の中、世界銀行東京開発ラーニングセンター(TDLC)は韓国開発研究院(KDI)と共同で、都市がいかにデータを活用し、人的資本やガバナンスの強化と開発のための教訓を活用できるかについてワークショップを開催しました。
インドネシア、サモア、カンボジア、タイ、フィリピン、そしてスリランカの省庁や自治体の関係者が参加したセミナーでは、「Pathways to Sustainable Development on the Foundation of Knowledge (知識に基づいた持続可能な開発への道)」をテーマに議論を深めました。KDIからは、途上国の課題を特定する国の貿易データの活用方法や、設計、環境指標、交通、治安を監視するセンサーを含むスマートシティ・ソリューションの導入における韓国の経験を紹介するプレゼンテーションが行われました。世界銀行は、各国で推進している国別気候・開発報告書(CCDR)と気候変動リスクに対応したスマートで強靭な都市づくりを実現するネイチャーべ―スソリューション(NbS:自然の力を活用した解決策)について発表しました。
プレゼンテーションに続きパネルディスカッションでは、都市がどのように市民のニーズに応えるのか、知識の役割は何かというテーマについて活発な議論が行われました。KDIのコウ・ヨンスン副院長が議長を務め、パネリストには国際協力機構(JICA)の武藤めぐみ上級審議役、コロンボ市議会廃棄物管理局シャヒナ・ミサン局長、そしてイロイロ市環境・天然資源局ニール・ラビナ局長が登壇しました。パネリストはそれぞれの持続可能な都市のビジョンを共有した上で、現実のものとするための資金調達とパートナーシップの重要性を訴えました。