ワシントン、2020年3月27日—世界銀行グループは今朝、テレビ会議を通じて行われた国際通貨金融委員会(IMFC)において、デイビッド・マルパス世界銀行グループ総裁が行った以下の発言を発表した。IMFCは、国際通貨基金(IMF)の総務会に対し、国際通貨金融システムの監督と管理に関する助言と報告を行う機関である。
「世界銀行が進めている活動について最新の情報を報告する。チームは、皆様の多くと緊密に連携しながら精力的に活動しており、皆様からの意見を歓迎している。
世界銀行理事会は先週始めに、新型コロナウイルス感染症に関する緊急医療ニーズに対応するための資金として、140億ドルのファストトラック・ファシリティを承認した。緊急支援活動はすでに60カ国で始まっており、今後さらに増える予定である。
私は本日、最初の25件のプロジェクト(総額約20億ドル)を理事会に提出した。これらのプロジェクトは来週に理事会で決議される予定で、承認後直ちに開始される。
これと並行して、私は本日、世界銀行グループのマネジメントがほとんどの新型コロナウイルス感染症関連プロジェクトの承認を可能にする新たな枠組みを提出する。今後数週間以内にさらに30カ国以上で支援活動が始まる見込みである。
他の国際開発金融機関と連携するため、私とクリスタリーナ・ゲオルギエヴェIMF専務理事は共同で定例会議を開催し、国際開発金融機関や二国間機関に対し、こうした支援を迅速に展開するための協調融資を呼びかけている。迅速かつ安定した協調融資で、これら60件の緊急プロジェクトへのご支援をお願いしたい。
こうした新規の大型支援に加えて、我々は既存のプロジェクトを新型コロナウイルス感染症対策に再編するための話し合いも35カ国と進めており、すでに約10億ドルが承認されている。
この支援は、民間セクターの持続可能性やヘルスケアセクターへの参加を支援することにより、国際金融公社(IFC)が中心となって進めている。初期パッケージの半分以上は、IFCが事業の存続に欠かせない短期運転資金や貿易金融の形で提供するもので、すでに300社以上と融資に向けた話し合いが進んでいる。スティーブン・ムニューシン米財務長官の尽力により、近くIFCの増資が承認されるものと見ている。
新型コロナウイルス感染症の拡大が人々の健康にもたらしている影響に加えて、世界は大幅な景気後退も覚悟しなければならない。私は水曜日に1,600億ドルの危機対応を理事会に提出した。これらの資金は今後15カ月間にわたって、各国が直面しているショックの性質に合わせた支援活動を支えるものとなる。これらの活動では貧困に焦点を合わせ、政策連動型融資のほか、最貧困世帯や環境の保護に重点を置く。
今回の危機から最も深刻な打撃を受けるのは貧困国、特に今回の危機が発生する前から重い債務負担を抱えていた国々である。我々は国際開発協会(IDA)第19次増資(IDA19)の資金を、活動期間の前半に最大350億ドルまで動員する用意があり、追加資金の動員も進めるが、債務持続可能性を達成するためには、多くの国が債務救済を必要とする。これ以外に、こうした国々が新たに獲得した資金をパンデミックとの戦いや、パンデミックが経済や社会にもたらす影響の緩和に集中させる方法はない。
今週初めに、IMFと世界銀行は全ての二国間債権国に対し、債務の返済猶予を求めるIDA対象国に返済延期を認めるよう呼びかける共同声明を発表した。我々は債務者と債権者の両方と連携しながら、資金ニーズの評価と債務の救済・再編に取り組む用意がある。IDA19で新たに導入されるSDFPプログラムは、IDA借入国に債務の透明性向上を促す強力なインセンティブとなる。
我々の試算では、これらの国々が二国間債務返済のために2020年に支払う金額は、利子と償却額を含めて総額140億ドルに迫る。この内、パリクラブ債権国に対するものは40億ドル未満であり、状況を改善するためには、全ての二国間債権国が広範かつ平等に参加しなければならない。多くの場合は、民間債権者によるNPV削減や参加が必要となる。
現在、私はクリスタリーナ・ゲオルギエヴァIMF専務理事とともに、債務救済アプローチの具体化に向けた作業を迅速に進めている。このアプローチは4月の春期会合に間に合うよう総務会に提出する予定であり、皆様の強力な支持と各国政府による承認を期待する。
我々は、世界銀行グループを構成する全ての機関、すなわちIBRD、IDA、IFC、そしてMIGAが利用し得るあらゆる手段を動員して、この危機と戦うことを約束する。」