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スピーチ&筆記録 2021年12月15日

マルパス総裁によるIDA第20次増資 第4回会合ステートメント

皆様、こんにちは。またはこんばんは。今回の交渉妥結をお祝い申し上げます。世界の最貧国支援のために、国際社会が今回も連帯したことをとても喜ばしく思います。 

IDA20増資交渉を主催してくださった日本政府に感謝いたします。実際に東京にてお会いできることを楽しみにしておりましたが、皆様ご存知の通り、オミクロン株など、コロナをめぐる状況のために残念ながら叶いませんでした。 

日本は1952年8月に世界銀行に加盟し、今では、最も緊密に協力し合う開発パートナー国のひとつとなっています。そして現在、日本はIDAに対する最大の拠出国の一つであり、グローバル、地域、国の各レベルで開発成果を達成するにあたっての主要なパートナーです。

IDAは60年以上にわたり、経済成長、貧困削減、格差解消、生活水準向上を促進するため、114カ国に総額4,580億ドル以上の譲許的開発融資を提供してきました。

IDAは援助受入国及びドナー国と協力して、特に複雑な開発課題への取り組みを支援してきました。これまでに37カ国がIDAの支援を卒業したことは、共同での取組みの成果の証です。卒業国の多くが現在はIDAドナーとなり、今回の会合で拠出を表明しています。

コロナの世界的流行により、我々は現代における最大の危機のひとつに直面しています。貧困削減、教育、保健、栄養の分野で過去15年間に達成された多くの進捗が、今回の危機によって帳消しになってしまいました。それだけではありません。気候変動の影響もまた、世界中の国々にさらなる課題を突き付けています。

IDA支援対象国は、コロナワクチンの調達・配布と経済の回復においても後れを取っています。回復の状況には極端な違いが見られ、国民一人あたり所得の伸びが先進国では5%であるのに対し、低所得国ではわずか0.5%にすぎません。世界の貧困層の3分の2にあたる5億1,000万人近くが、IDAの支援する国々に暮らしています。

世界銀行はコロナの世界的流行に対し、これまでで最大規模の支援を提供しています。IDAは、これまでにない経済・保健危機への迅速かつ大規模な危機対応として、2020年4月から2021年11月までに569億ドルの提供をコミットしました。

こうした支援が可能になったのは、喫緊のニーズを満たすため、IDA19の対象期間を短縮し、IDA20増資交渉を1年間前倒しにするよう皆様が決断してくださったおかげです。今回の増資を支えてくださった全ての皆様に感謝いたします。

我々は、過去数カ月間にわたり皆様と緊密に協力し、また皆様からのご指導とご支援を受けながら、増資の準備を進めてまいりました。我々は、皆様方とのパートナーシップの下で、意欲的で妥協のない政策・融資・成果の枠組みを策定しました。こうした枠組みに沿って、IDA借入国が感染症危機への対応を続け、再び成長に向けた軌道に戻ることができるよう支援していきます。

IDA借入国代表の皆様は一貫して助言を提供し、IDA借入国のニーズや優先課題に対応するために我々の支援をどのように調整するのが最も有効なのかについて借入国側の視点を提供してくださいました。ここに感謝いたします。IDAは借入国主導型のモデルを採用しており、これによって我々は支援を最も必要とする人々に対象を絞り込み、国連機関、国際開発金融機関をはじめとする開発関係機関と効果的に協力して着実な開発成果を達成することができています。

本日妥結に至った増資パッケージは、国際社会の団結力とIDAに対する信頼の高さを明確に示しています。皆様からの拠出金は、IDAが資本市場で調達する資金、過去のIDA融資の返済金、IBRDの拠出金と共に、より大きな価値を生み出しより効果的な開発インパクトの実現を可能にするIDA独自のレバレッジ・モデルを支えています。皆様からIDAへの拠出金1ドルに対し、4ドル近い支援が最貧国に提供されることになります。開発課題に立ち向かい、世界の何百万人もの人々の生活改善を実現するための包括的で効果的なプラットフォームとして、皆様がIDAに信頼を寄せていることに感謝いたします。

こうした強力なプレッジに対し、IDA政策パッケージもこれまでで最も積極的な内容です。皆様のコミットメントのおかげで、以下の主要分野に一層重点的に取組みことが可能になります。

  • IDA20で導入された特別テーマである人的資本:障害者支援に含めた包摂性重視によるワクチン、保健・栄養、セーフティネットを強化。 

  • 気候変動への適応と強靭性強化、自然資本と生物多様性の保全:世界銀行の気候変動行動計画と並行して、各国が気候と開発を一体化して取り組めるよう支援。

  • ジェンダー格差の解消:女性のエンパワーメントと経済・デジタル面での包摂。 

  • 雇用創出:強靭な金融システムにより民間セクターとインフラ投資を支え、生産性向上とよりよい雇用創出を実現。

  • 脆弱性・紛争・暴力への取組み:状況に応じた各国の関与と、難民と受入コミュニティの支援を促進し、ガバナンスと強靭性を強化。

この政策枠組みの基礎的な構成要素である分野横断的問題として、危機への備えがあります。これはIDA20で新たに導入され、複雑な影響を及ぼす危機の発生頻度が高まる中で強靭性を強化すると共に、ガバナンスと組織・制度、債務の持続可能性、デジタルインフラ整備にも引き続き重点的に取り組むことで、包摂的な経済・社会の実現を支援していきます。

最後に、世界の最貧国のための皆様の強固なご支援に、改めて感謝申し上げます。

今後も皆様とのパートナーシップの下で、世界の何百万人もの脆弱層の生活を大きく改善してまいります。

ご清聴ありがとうございました。

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