2025年3月24日ワシントン—世界銀行が資金提供する新たな融資により、タンザニアの首都ドドマにおけるモビリティおよびアクセシビリティが向上し、経済機会の創出により2030年までに1万人以上の新規雇用を生み出すとともに、同市の経済生産高が2%増加する見込みだ。
世界銀行理事会が先日承認した2億ドルのドドマにおける統合的かつ持続可能な交通網(DIST)プロジェクトは、22万2000人の女性および8万1700人の若者を含む、人口の半数を超える43万人以上の住民に恩恵をもたらすことになる。
本融資は世界銀行の国際開発協会*(IDA)の資金援助により実施され、選定された幹線道路の改善、アクセスルートの強靭化、中心業務地区(CBD)の改善、歩道および自転車道のインフラ強化を通じて都市のモビリティを向上させる。また本事業により、公共交通機関の運転手および関係者750名にも恩恵をもたらし、増加を続けるドドマ市民の生活を向上させ、より効率的かつ持続可能な交通システムを提供する。
「2016年以降のドドマの急速な発展は、機会と課題の両方をもたらしている。」と、ネイサン・ベレーテ世界銀行 マラウイ、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ担当局長は述べた。「都市の発展に伴い、安全かつ効率的な交通手段へのアクセスを確保することは、経済成長を維持し、住民の生活の質を向上させる上で不可欠だ。本プロジェクトは、ドドマのより持続可能な発展を支え、都市発展の速度に合わせたインフラ整備の実施を支援する。」
2016年、タンザニア政府は1973年に決定された首都をダルエスサラームからドドマに移転するという決意を改めて表明した。これにより多額の資本投資に加え、政府機関および関連部署のドドマへの移転が必要になった。 以来、ドドマの人口は急速に増加し、2022年時点で765,179人に達し、年間人口増加率は6.4%を記録した。しかし、急速な人口増加により都市インフラへの負担は増している。ドドマの市街地面積は2000年以降440%以上拡大(2024年時点で11 km²から60 km²に増加)しており、これは人口の増加速度を上回り資源の逼迫を招いている。
「都市交通網が抱える課題に早期に対処することは、新首都の持続可能かつ包摂的な成長を確保し、無秩序な成長とスプロール現象を回避するためにも極めて重要だ。」と、アダム・ディール世界銀行 上級運輸専門官兼タスクチームリーダーは述べた。「さまざまな政府機関、省庁、民間セクターの担当者がいる部門として、総合的な都市モビリティ計画および開発を実現することが、より活気があり経済生産性の高い都市開発を実現するための鍵となる。タンザニア政府によるこの統合的な取り組みに参加できることを誇りに思っており、ドドマが国内およびアフリカ諸国で急速に発展する都市にとって共同計画のモデルとなることを願っている。」
DISTプロジェクトは、ドドマにおける安全で持続可能かつ包括的なアクセシビリティ構築への支援を目標としており、以下のプロジェクト・コンポーネントで構成されている。
- 都市内の主要な幹線道路における、インフラおよび公共交通サービスの改善に重点を置く「幹線道路の交通手段の戦略的多様化」コンポーネント
- 新規の歩道、自転車道および公共交通インフラを導入する地域コミュニティやCBD道路の改善など、市民がより信頼性の高い交通網にアクセスできるようにするための主要な投資を支援する「アクセス改善」コンポーネント
- TANROADS、TARURA、CCD、LATRAなどの主要関係者間の取り組みを調整するための交通網調整メカニズムの確立を目的とした「制度的環境整備および能力開発」コンポーネント
DISTは、タンザニア道路公社(TANROADS)、ドドマ市議会(CCD)、土地交通規制庁(LATRA)、タンザニア地方都市道路公社(TARURA)によって実施される。
DISTの準備は、グローバル・スマートシティ・パートナーシップ・プログラム、官民インフラ諮問ファシリティ、韓国グリーン成長信託基金、防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)および日本政府の支援を受けGFDRR東京防災ハブが運営する日本−世界銀行防災共同プログラム(DRM)から支援を受けた。
* 1960年に設立した世界銀行の国際開発協会(IDA)は、経済成長の促進、貧困削減、人々の生活向上をプロジェクトおよびプログラムに、グラントおよび低金利または無利子の融資を提供することで、低所得国を支援している。IDAは75カ国(うち39カ国がアフリカ諸国)にとって最大の資金提供元であり、1960年以降115ヵ国に対し5,520億ドルの資金を提供してきた。 過去3年(2021年度~2023年度)の年間承認額は平均約360億ドルで、うち約75%がアフリカ向けである。
詳細はhttps://ida.worldbank.org #IDAworksにてご確認ください。