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プレスリリース2023年12月13日

途上国による公的債務返済額、2022年は過去最高の4,435億ドル

借入コスト急騰で最貧国に債務危機のリスク

ワシントン、2023年12月13日—世界的に40年ぶりの金利上昇が進む中、2022年、途上国による公的対外債務と公的保証債務の返済額は過去最高水準となる4,435億ドルに達したと、世界銀行は報告書「国際債務報告書」の最新版で指摘している。コスト上昇の結果、乏しい資源が保健、教育、環境といった重要なニーズに回せない事態となっている。

元本と利息を含む債務返済額は、途上国全体で前年比5%増となった。世界銀行で最貧国を支援する国際開発協会(IDA)の75の融資適格国の場合、2022年の債務返済額は過去最高の889億ドルに上った。これらの国々による2022年の利払いは過去最高の236億ドルと、この10年間で4倍に増えた。最も貧しい24カ国の債務返済額は、2023年と2024年に最大39%膨れ上がる、と報告書は予測する。

「記録的な債務水準と高金利が続き、多くの国に危機が迫っている。四半期の金利が高止まりするたびに、財政難に陥る途上国が増え、公的債務を返済するか、公衆衛生、教育、インフラに投資するかという難しい選択に直面する。こうした状況の中、透明性の向上、債務の持続可能性を図るより効果的なツール、迅速な債務再編計画に向けて、債務国政府、官民の債権者、そして多国間金融機関による迅速かつ協調的な行動が求められている。これを怠ると、失われた10年の再来とになる」と、インダーミット・ギル世界銀行チーフ・エコノミスト兼上級副総裁は述べた。

金利上昇により、すべての途上国で債務の脆弱性が深刻化している。この3年間だけでも、10の途上国政府で18件の債務不履行が発生した。それ以前の20年間の記録を塗り替える規模である。 現在、低所得国の約60%が、債務返済に支障を来たしている、またはそのリスクが高い状況にある。

低所得国の輸出収入に占める利払いの割合はますます大きくなっている、と報告書は指摘する。さらに、対外債務の3分の1以上は、突然上昇する可能性がある変動金利によるものである。こうした国の多くは、G20の債務支払猶予イニシアティブ(DSSI)の下で、公的債務の支払いの一時猶予という恩恵を得るために発生した元本と利息、手数料の累積という、さらなる負担に直面している。ドル高によって状況はさらに厳しくなっており、各国の債務返済額を一層膨らませている。こうした中、金利のさらなる上昇や、輸出収入の激減があれば、各国は限界まで追い込まれかねない。

債務返済負担の上昇に伴い、途上国にとって新たな資金調達の選択肢は減少している。2022年、途上国の公的機関および公的保証機関への外部機関からの新規融資確約額は23%減の3,710億ドルと、この10年間で最低水準となった。民間債権者の多くが途上国から手を引き、元本返済額が融資額を1,850億ドル上回った。 

民間債権者による途上国への投入額を返済額が上回ったのは、2015年以来のことである。国際市場における途上国の新規国債発行額は全体として、2021年から2022年にかけて半分以下に減少し、低所得国の場合、発行額は4分の3以上減少した。IDA適格国についても、新規国債発行額は4分の3以上減少して31億ドルに落ち込んだ。

民間債権者からの調達資金が枯渇しつつある中、世界銀行をはじめとする国際開発金融機関(MDBs)が不足分を埋めるために乗り出した。国際機関は2022年、途上国に対し新たに1,150億ドルの譲許的融資を提供したが、その半分近くは世界銀行からであった。世界銀行はIDAを通じ、元本返済を169億ドル上回る新規融資を最貧国に提供した。10年前の3倍近い金額である。また、世界銀行はこれとは別に、最貧国に対し、2012年の3倍にあたる61億ドルのグラントを提供した。

国際債務報告書」の最新版は、創刊50周年記念版であり、世界銀行の国際債務統計データベースを分析して得られた主な洞察を取り上げている。同データベースは、途上国の対外債務をとりまとめたもので最も包括的で透明性が高い。また、報告書最新版では、最新のデータにとどまらず、債務の短期的見通しについても検討する、より広範な分析のための枠組みを用いている。さらに、債務に関連する世界銀行の取組みの概要や、債務の管理と透明性に関する新たな傾向についても分析している。

「債務をより効果的に管理し持続可能性を高めるためには、国別に誰に対してどれだけの債務を負っているかを明確にすることが不可欠である。危機回避の第一歩は、課題を明確に理解することである。そして、問題が発生した場合、明確なデータがあれば、債務再編の取組みを導き、その国を経済の安定と成長に向けた軌道に再び戻すことができる。債務の透明性は、持続可能な公的借入れと、ルールに基づいた責任ある融資のあり方にとって鍵となる。いずれも、生活しやすい地球で貧困のない世界を実現するために不可欠である」と、ハイシャン・フー世界銀行チーフ統計官兼開発データ・グループ長は述べた。

報告書は、IDA適格国がこの10年間に経済成長を上回るペースで債務を累積しており、数年後の先行きが危険であると指摘する。2022年、IDA適格国の対外債務残高は合計で過去最高の1兆1,000億ドルに達し、2012年の2倍以上の水準となった。2012年から2022年の間に、IDA適格国の対外債務は134%増加し、国民総所得(GNI)の伸び率である53%を上回った。 

プレスリリース番号: 2024/038/DEC

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