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プレスリリース2023年3月2日

女性の平等な権利に向けた改革、20年ぶりの緩慢なペースに

重要な時期に経済成長を阻む「改革疲れ」

ワシントン、2023年3月2日—男女間の法的格差解消に向けた改革のペースが世界的に20年ぶりの低水準に落ち込んでおり、重要な時期に世界経済の成長を妨げかねない、と世界銀行は新報告書「女性・ビジネス・法律2023」(WBL)で指摘する。

2022年、世界銀行のWBL指数の世界平均スコアは77.1と、わずか半ポイントの増加にとどまった。つまり、女性に認められている法的権利は平均で男性の77%にすぎない。多くの国では、現在の改革ペースのままだと、労働市場に今、参入する女性は退職する時点でも男性と同等の権利を得られていないことになる、と報告書は指摘する。  

「世界経済の成長が鈍化する中、すべての国は生産力を総動員することで、複合的危機に立ち向かう必要がある。」とインダーミット・ギル世界銀行グループ上級副総裁(開発経済担当)兼チーフエコノミストは述べた。「女性は人口の半分を占めており、各国政府には彼女たちを脇に追いやっている余裕は残されていない。世界の多くの地域で女性の平等な権利が否定されているが、これは女性にとって不公平なだけでなく、各国が環境に配慮した強靭で包摂的な開発を促進する際の障害である。」

同報告書は、可動性、職場、賃金、結婚、育児、起業、資産、年金の、女性の経済参加に関する8つの分野の法規制を190カ国を対象として検証している。データは2022年10月1日までのもので、法律面でのジェンダーの平等に向けた世界的進展の客観的かつ測定可能なベンチマークになる。現在、女性に男性と同じ法的権利を認めている国はわずか14カ国で、いずれも高所得国である。

世界全体で見ると、24億人近い労働人口の女性が、依然として男性と同じ権利を認められていない。男女間の雇用格差を解消すれば、国民一人あたりの長期的GDPを各国で平均20%近く引き上げることも可能になる。また、女性が男性と同じペースで新規事業を立ち上げ拡大した場合、世界的には推定5~6兆ドルの経済効果が見込めるとされている。

2022年に行われたジェンダー関連の法改正は18カ国でわずか34件と、2001年以降で最低の件数だった。大半の改革で対象となったのは、男女または男性の有給育児休暇の拡大、女性の雇用制限撤廃、同一賃金の義務化だった。報告書の対象分野において、世界中で実質的な法的男女平等を達成するには、さらに1,550件の改革が必要となる。だが現在のペースでは、この目標に達成するまでに平均で少なくとも50年かかると、報告書は指摘する。

「女性・ビジネス・法律」最新版は、この50 年間における法律面でのジェンダーの平等への世界全体の進歩を包括的に評価し ている。1970年以降、WBLの世界平均スコアは、45.8から77.1へと約3分の2向上してきた。

21世紀に入り最初の10年間は、法律面でのジェンダーの平等に向けて大きな前進がみられた。2000年から2009年の間に600件以上の改革が導入され、2008年には73件と年間最多の改革が行われている。しかし、その後、特に女性の相続権や財産所有権など、はるか以前に確立された規範に関わる分野では、改革疲れが生じているようである。また、新たにデータを分析したところ、歴史的に法律面の男女格差が大きい国は、特に2000年以降、改善が進んでいることがうかがえる。 

現在、女性の経済的機会の平等は、OECD加盟の高所得国で最も高いが、途上国では重要な意味を持つ改革が続いている。サブサハラ・アフリカ地域では昨年、大きな進歩がみられた。同地域は、2022年の世界の改革の半分以上を占め、ベナン、コンゴ共和国、コートジボワール、ガボン、マラウイ、セネガル、ウガンダの7カ国が18件の建設的な法改正を実施した。

この50年間で大きな成果が達成されているが、善意が具体的な成果として実を結び、法の下での女性の機会均等が実現するためには、世界中ですべきことがまだ多く残っている。女性にはジェンダーの平等が達成されるまで待っている余裕はない。それは、世界経済も同様である。

*2023年3月2日(木)午前10~11時(米国東部標準時間) に開催される「女性・ビジネス・法律2023」報告書発表会にご参加ください。 ライブ視聴

 更新日: 03/01/2023

プレスリリース番号: 2023/050/DEC

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