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プレスリリース 2021年11月17日

2021年の本国送金は7.3%の大幅増

ワシントン、2021年11月17日 — 2021年の低・中所得国への送金額は、7.3%と大幅に増え5,890億ドルに達すると見込まれる。世界銀行が本日発表した報告書「移住と開発」によると、2020年の送金フローは、新型コロナウイルス感染症による深刻な世界的景気後退にもかかわらず順調で、減少幅がわずか1.7%にとどまったのに続き、2021年は上昇に転じ、以前の推定を上回るペースで伸びている。

低・中所得国(中国を除く)への送金額は、2年連続で外国直接投資(FDI)と政府開発援助(ODA)の合計を上回るだろう。出稼ぎ労働者の本国が厳しい経済状況にあるとき、送金は食料、保健、教育といった基本的な家計支出に充てられるなど重要なライフラインであり、その重要性は明確である。

「新型コロナウイルス感染症危機下では、経済的苦境に陥った人々に対して政府が現金給付プログラムを支援しているが、出稼ぎ労働者による本国送金はその補完として大きく役立っている。今回の感染症危機からの世界的な回復に向けて、各国政府は、厳しい家計負担を緩和するための送金フローの促進を政策の重要な要素とすべきである。」と、世界銀行のミハウ・ルトコフスキ社会的保護・雇用グローバルプラクティスのグローバル・ダイレクターは述べる。

送金額の大幅な伸びにつながった要因としては、出稼ぎ労働者が強い意志により本国で困窮する家族を支えようとしたことと、財政刺激策や雇用支援プログラムに支えられた欧米での景気回復が挙げられる。湾岸協力理事会(GCC)加盟国とロシアでは、国外への送金も、原油価格上昇とその結果としての経済活動回復により回復した。

地域別に見ると、大半の地域で本国送金が大幅に増加した。ラテンアメリカ・カリブ海地域で21.6%、中東・北アフリカ地域で9.7%、南アジア地域で8%、サブサハラ・アフリカ地域で6.2%、ヨーロッパ・中央アジア地域で5.3%、それぞれ増えている。東アジア・大洋州地域では4%減少したが、中国を除くと1.4%の増加だった。ラテンアメリカ・カリブ海地域は、米国での景気回復と、自然災害に見舞われた本国への出稼ぎ労働者からの支援と、出稼ぎ先へ移動中の労働者に対する本国からの送金といった要因が追い風となり、特に大きな増加が見られた。

世界銀行が世界全体の送金コストをまとめたデータベースによると、200ドルを国外に送金するためのコストは引き続き極めて高く、2021年第1四半期の平均は送金額の6.4%だった。これは、2030年までに送金コストを3%にすることを目指す持続可能な開発目標(SDGs)の2倍以上の水準だ。送金コストが最も高いのはサブサハラ・アフリカ向けの8%で、最も低いのは南アジアの4.6%である。また、デジタル送金や送金業者経由よりも銀行経由の方が、送金コストが高くなる傾向にある。

「感染症危機が送金フローに及ぼす直接の影響は極めて深刻だったが、予想外のペースで回復が進んでいることは喜ばしい。特にデジタル送金などの送金フローを途絶えさせないため、出稼ぎ労働者や送金業者に銀行口座へのアクセスを提供することが、引き続き重要な要件である。また、政策対応も引き続き、特にワクチン・アクセスや最低賃金の保証において、出稼ぎ労働者を対象に含めなければならない。」と、本報告書の主任執筆者で移民と開発に関するグローバル・ナレッジ・パートナーシップ(KNOMAD)」の責任者を務めるディリップ・ラーサは述べている。

2022年の本国送金は、世界のマクロ経済見通しに沿って引き続き増加し、そのペースは2.6%になるとみられる。新型コロナウイルス感染症の再拡大と移動制限の再発動があれば、世界全体の成長、雇用、途上国への送金フローの見通しにとって最大の下方リスクとなる。また、経済の回復に伴い、財政刺激策や雇用支援プログラムが縮小されれば、送金フローの減少を招く可能性がある。

地域別に見た送金の傾向

東アジア・大洋州地域:正式な記録による2021年の送金フローは4%減の1,310億ドルになったとみられる。中国を除いた同地域への送金は2021年に1.4%上昇し、2022年は3.3%の伸びが見込まれる。国内総生産(GDP)比で見た受取額が大きかったのは、トンガ(43.9%)、サモア(21.1%)、マーシャル諸島(12.8%)などの小国だった。送金コスト:同地域に200ドルを送金するための平均コストは、2021年第1四半期に、前年同期の7.1%を下回る6.7%だった。域内で最もコストの低い5つの送金区間は主にフィリピン向けで、平均コストは2.7%だった。一方、最も高い5つの区間の平均コストは、異常値を記録した南アフリカから中国への区間を除き、15%だった。

ヨーロッパ・中央アジア地域:2020年に8.6%減少した同地域への送金フローは、2021年には欧州連合内での経済活動の活発化とエネルギー価格上昇により、5.3%増の670億ドルになったとみられる。2022年の送金額は3.8%増えることが予測される。送金は現在、域内で最大の外貨獲得源である。2020年と2021年、送金の流入額は、FDI、ポートフォリオ投資、ODAの総額を上回る、または同等である。GDP比で見た受取額は、キルギス共和国とタジキスタンが25%を超えている。送金コスト:同地域に200ドルを送金するための平均コストは、トルコとブルガリアの区間でのコスト急騰が主な要因となり、2021年第1四半期に、前年同期の6.5%をわずかに上回る6.6%となった。ロシアからの送金コストは1.8%から1%へと低下し、世界全体で最も低い部類に入る。

ラテンアメリカ・カリブ海地域:2021年の同地域への送金額は、2020年から21.6%と大幅に増えて過去最高の1,260億ドルに達するとみられる。域内で最も受取額の大きいメキシコは、地域全体の42%に相当する527億ドルを受け取った。GDP比で見た受取額は、エルサルバドル(26.2%)、ホンジュラス(26.6%)、ジャマイカ(23.6%)、グアテマラ(18%)などの小国で20%を超えている。新型コロナウイルス感染症とハリケーン・グレース、ハリケーン・アイダの悪影響が、メキシコと中米への送金増につながった。他にも主な要因として、出稼ぎ労働者受入れ国、特に米国での雇用レベル回復や財政計画・社会的支援プログラムが挙げられる。メキシコ等の国々を経由する出稼ぎ労働者の増加や、彼らが生計や渡航費に充てるために海外から受け取った送金が、送金額大幅増の大きな要因のようだ。2022年の送金額は、主に、米国の成長見通しが下方修正されたことにより、4.4%の増加が見込まれる。送金コスト: 2021年第1四半期、同地域に200ドルを送金するための平均コストは、前年同期の6%を下回る5.5%だった。メキシコ向けのコストは依然として、G20諸国の中で最も低い平均3.7%だった。一方、少額の送金経路でのコストは途方もなく高い。

中東・北アフリカ地域:2021年、域内途上国への送金は、欧州連合内の出稼ぎ労働者受入れ国(特にフランスとスペイン)が成長に転じたことと、世界的な原油価格上昇がGCC諸国にプラスに働いたことにより、推定9.7%増の620億ドルになったとみられる。送金額の拡大は、エジプト(12.6%増の330億ドル)とモロッコ(25%増の93億ドル)への送金の大幅増加によるもので、それぞれ帰国者と出稼ぎ先に移動中の労働者が大きな要因だった。マグレブ(アルジェリア、モロッコ、チュニジア)の受取額は、ユーロ圏の成長が追い風となり15.2%増えた。ヨルダン(6.9%減)、ジブチ(14.8%減)、レバノン(0.3%減)など、いくつかの国への2021年の送金フローは減少した。同地域は開発途上にあり、送金は長い間、ODA、FDI、株式投資、債務フローなどの外貨獲得源の中で最大である。2022年の送金は、新型コロナウイルス感染症によるリスクのため、より小幅な3.6%の伸びにとどまるとみられる。送金コスト:2021年第1四半期に同地域に200ドルを送金するためのコストは、前年同期の7%から6.3%に低下した。

南アジア:同地域への送金は、2021年は約8%増の1,590億ドルになったとみられる。原油価格上昇が景気回復に貢献し、南アジア地域からの出稼ぎ労働者の半数以上を雇用するGCC諸国からの送金の大幅増につながった。米国の景気回復と景気刺激策もまた、送金額拡大に貢献した。2021年、インドの送金額は推定4.6%増の870ドルに達し、パキスタンでは26%増の330億ドルを記録し、前年に記録した過去最高額を上回った。域内諸国に共通する要因に加え、フォーマルな経路による送金を支援する、政府のパキスタン送金イニシアティブが国内への多額の送金フローを呼び込んだ。さらに、2021年はアフガニスタンの脆弱な状況が、パキスタンにいるアフガニスタン難民向けや、アフガニスタンに残る家族のための予想外の送金の理由として浮上した。送金は、同地域にとって最大の外貨獲得源であり、2021年の受取額はFDIの2倍以上だった。送金コスト:同地域への送金コストは、平均4.6%で、ほかのどの地域をも下回った。ただし、同地域へのフォーマルな経路での送金コストは、今なお人気の高いインフォーマルな経路よりも高い。コスト引き下げ政策を講じれば、出稼ぎ労働者と南アジア諸国政府の両方にとってプラスの状況となり歓迎されるはずだ。

サブサハラ・アフリカ地域:2021年、同地域への送金は増加に転じ、6.2%増の450億ドルだった。受取額が域内最大のナイジェリアでは、銀行システムを通じた送金の促進を図る政策の影響が高まったこともあり、送金フローがわずかに回復している。GDP比で見た受取額が大きい国としては、ガンビア(33.8%)、レソト(23.5%)、カーボベルデ(15.6%)、コモロ(12.3%)が挙げられる。2022年、欧米での景気回復が続くことにより、送金の流入額は5.5%の増加が見込まれる。送金コスト:2021年第1四半期の平均コストは、前年の8.9%を下回る8%だった。出稼ぎのための域内移住は、国外移住の70%以上を占めるが、フォーマルな送金の額が小さく、非公式な為替市場が利用されているために、コストは高い。

移住と本国送金の傾向の詳細な分析は、www.knomad.orgblogs.worldbank.org/peoplemoveにて閲覧が可能。報告書「移住と開発」の第35巻は、持続可能な開発目標(SDGs)の内、世界銀行が進捗を管理する移住関連分野である「送金額の対国内総生産(GDP)比の拡大(17.3.2)」、「送金コストの引き下げ(10.c.1)」、「出稼ぎ労働者の採用コストの削減(10.7.1)」の進捗状況を取り上げている。


プレスリリース番号: 2022/027/SPJ

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