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プレスリリース 2020年6月18日

新型コロナウイルス感染症の流行により、学習機会が永遠に失われ、数兆ドル規模の逸失利益の恐れ

ワシントン、2020年6月18日—新型コロナウイルス感染症により大半の学校が閉鎖になり、2020年4月のピーク時には世界のほぼ全生徒に匹敵する16億人に影響が及んだ。教育システム全体を揺るがした今回の世界的なショックは、深刻な景気後退を伴うものでもある。学校再開にあたって救済措置が講じられなければ、現在、生徒である世代の将来的な逸失利益は10兆ドルに上るとみられ、各国は学習貧困からの脱却に向けた軌道から外れることになる、と世界銀行の新報告書は指摘している。

「学校教育を受けられないことで、子供たちにさまざまな影響が及ぶ。例えば、学習の機会が得られない、給食という1日の内で最も栄養価に富んだ食事を逃す、さらに女子を中心に多くの生徒が学校教育を修了する機会を失うことで、潜在能力を発揮できなくなる恐れもある。」と、アネット・ディクソン世界銀行人間開発担当副総裁は強調する。「ただちに協調して断固たる行動をとらなければ、今回の危機により、人的資本の分野で努力して達成された成果が大幅に失われかねない。そうなれば、数百万人の子供たちの一生を左右する機会が、取り返しがつかないまでに損われることになる。」

新型コロナウイルス感染症の世界的流行以前には、学齢期の生徒の就学年数は平均11.2年だったが、学習内容に応じて調整すると、この値は7.9年であった。「新型コロナウイルス感染症が学習と学校教育の成果に及ぼす影響:世界規模での試算」によると、新型コロナウイルス感染症により5カ月間にわたり学校を閉鎖した場合、学習内容に応じて調整した就学年数が7.9年から7.3年へと0.6年失われるという直接的な影響が想定される。

新型コロナウイルス感染症の大流行が始まる以前から既に、世界的な学習危機は広がっていた。具体的には、低・中所得国の子供の53%が10歳で簡単な物語を読み、理解することができない学習貧困の状態にあった。

「試算によると、思い切った救済措置が講じられない限り、今回の危機の影響は、2030年までに学習貧困を半減させるという目標達成への歩みに大幅な後退をもたらしかねない。」と、ジェイミー・サーベドラ世界銀行教育担当グローバル・ダイレクターは強調する。「学習危機は以前から問題となっていたが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、さらに深刻化するだろう。学習成果を高めるために取組みを加速させる必要があるが、そもそものスタートラインの状況がこれまで以上に厳しくなっている。」

「その上、以前から機会へのアクセスには大きなばらつきがあったのに、今や格差は一層大きくなりつつある。貧しい家庭に生まれた子供は学習プロセスに継続して参加する機会がこれまで以上に減ると考えられるからだ。」とサーベドラはさらに指摘する。

学校閉鎖は教育システム全体を通して学習に悪影響をもたらす。前期中等教育の場合、最低限の能力を習得できない生徒の割合が、今回の危機の結果、40%から50%に増える恐れがある。

さらに追い打ちをかけるかのように、最新のGDP予測によると、新型コロナウイルス感染症の世界的流行がもたらす所得減少だけでも初等・中等学校を退学する生徒は700万人近くに上ると同報告書は指摘する。しかも、その数は、今回の経済危機の想定規模修正に伴い、さらに増える可能性が高い。

同報告書は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行の結果、退学と世帯の生計手段喪失が重なり、女子は特に脆弱な立場に追いやられ、障害者をはじめ不利な立場にある人々を中心に疎外と格差が深刻化する恐れがあるとしている。

効果的な補償措置が講じられない場合、5カ月にわたる学校閉鎖と、経済的ショックの結果、現在、初等・中等学校に在籍中の生徒一人につき年間所得が平均872ドル減少する恐れもある。これを生涯の逸失利益に換算すると現在の価値で約1万6,000ドルになる。

こうした学習機会の喪失は、都市封鎖の間に数カ月にわたり学校教育を受けられなかったことに加え、学習レベルの低下、さらには退学の可能性まで意味し、ゆくゆくは10兆ドルに上るグローバル経済の逸失利益につながることも考えられる。その額は、こうした生徒の基礎的教育期間を通じた総支出の約16%に相当する。

各国政府は、学校閉鎖を最小限にとどめるため各種のアプローチをとっている。約130カ国の政府はマルチプラットフォームのリモート学習への集中的投資や、この期間を使って学校再開後の計画策定を進めているが、今回の事態は、より強靭で、生徒のニーズに適応でき、公平で、包摂的な教育システムを構築する機会である、と同報告書は指摘し、教師のための大規模研修においてテクノロジーが果たす役割の重要性と、学校と家庭での学習継続の徹底を特に強調している。

「今回の危機を無駄にするわけにはいかない」とサーベドラは言う。「ショックは、永続的な悪影響をもたらす恐れもあるが、後退するのではなく取組みを加速させる機会としなければならない。今後は、親、教師、テクノロジーの役割をこれまでとは異なる形で理解する新たな日常が始まる。有効性、強靭性、公平性、包摂性のいずれもこれまでを上回ることが新たな日常では求められている。子供たちの世代のために、必ず実現しなければならない。」


プレスリリース番号: 2020/228/EDU

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