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プレスリリース 2019年10月21日

農家のビジネス成長のために47カ国が67件の改革を実施

アフリカが上位改善国のうち4カ国を占める

2019年10月21日、ワシントン — 世界銀行が本日発表した報告書によると、農家に有利な規制改革を推進する上位10カ国に、サブサハラ・アフリカ地域の4カ国が選ばれた。

「農業ビジネスを後押しする2019(Enabling the Business of Agriculture 2019)」は、農業ビジネスの環境は世界的に改善していると指摘する。評価対象となった101カ国のうち47カ国がこの2年間に67件の規制改革を実施しており、その結果、農家にとって、害虫対策、高品質の種子の入手、生産への投資に必要な融資へのアクセスなどが容易になった。満点のスコアを獲得した国はなかったものの、フランス、クロアチア、チェコ共和国が、対象となった全分野で規制改革と共にプロセスの効率化を実現した。

農業は、多くの途上国における経済的な支柱であり、低所得国ではGDPの約25%を占め、極度の貧困層の80%は農村部に暮らしている。同報告書は、時代遅れで農家のニーズに合わない法的規定を改正するための改革を加速し、ビジネスを阻害する官僚的な障壁を撤廃する必要性を強調している。

「貧困削減には、農業分野の発展が、他のどのセクターの成長と比べても少なくとも2~3倍もの効果があることがわかっている。ビジネスを拡大し繁栄できるよう、規制改革を通して農家への支援を強化する必要がある」と、シメオン・ジャンコフ開発経済総局上級局長は述べる。

世界全体の農業生産高は、農業技術の効率化により、今後10年間に20%増加すると見られている。どのような規制改革が最も適切であるかは各国政府の判断によるが、農業規制プロセスが効率的な国ほど、農業生産性が高い傾向にある。

「農業生産性の持続可能な形での向上は、食糧システムの整備を急ぐための優先課題である。生産される食糧の質を高め、人口増加に対応できる食糧を確保し、農家の暮らしを改善する一方で、農業が気候や天然資源にもたらす影響を削減する必要があるからだ。」と、世界銀行のマーティン・ファン・ニューコープ農業・食糧局グローバル局長は述べた。「食糧サプライチェーンの全てが効率的に機能していれば、農家の生産性向上や質の高い食糧の流通にも役立ち、食糧の廃棄や浪費の回避にもつながる。」

政策立案者が農家を支援する1つの方法としては、種子、肥料、家畜の飼料、動物用医薬品、水等の効率的な提供、融資へのアクセス促進、市場取引を容易にする規制の制定などが挙げられる。

同報告書は、政府の規制が農家の活動を支援しているかどうかを評価しているが、その際に対象となったのは、種子の供給、肥料の登録、水の確保、農機の登録、家畜の管理、植物の保護、食糧取引き、融資へのアクセスの確保の8つの分野である。

2016年7月―2018年6月の期間に収集されたデータによると、農家に影響を与えた改革の半数以上は、植物の保護、種子の供給、融資へのアクセスの分野で実施されたものであった。植物保護のための改革は害虫対策に重点が置かれており、改革実施国の3分の1が害虫の大量発生の報告を国民に義務付けている。

サブサハラ・アフリカ地域の農家は、他のどの地域よりも厳しい規制面の困難に直面しているが、多くの国は西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)をはじめとする政治経済の地域連合の加盟国として協定を締結するなど、ビジネス環境の改善に取り組んでいる。道のりはまだ長いものの、シエラレオネ、ブルンジ、モザンビーク、マラウイが、最も改善の進んだ10カ国にランクインした。

地域別ハイライト:

先進諸国: 高所得国は、農家に対して良好なビジネス環境を提供しており、これは特に肥料の登録、農機の登録、および植物保護の分野で顕著である。フランス、クロアチア、チェコ共和国は、世界的にも最も高いスコアを獲得しており、優れた規制慣行および多くの分野で効率的な行政プロセスを有している。

東アジア・太平洋: 植物保護の分野で改革を進める国にタイが挙げられ、一方ラオスは水の確保に資する改革を実施している。ミャンマーは、メイズや穀物類の新種登録に要する時間について最高実績を誇る国の一つに選ばれ、中国は、農機の登録に必要とされるコストの面で最も良好な規制を実施する国の一つに選ばれた。ベトナムは、家畜用飼料の品質面で最も優れた規制を実施する国の一つにランクインした。

欧州・中央アジア:ルーマニア、セルビアが好成績を得た。アルメニアとジョージアは、2016年から2018年にかけて最も改善した上位10カ国に名を連ねた。アルメニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ルーマニアは水を管理する包括的な規制を導入し、ウクライナは害虫および疫病に関する総合的情報をオンライン上で公表している。キルギス共和国はトラクター登録手数料を一般に公開している。

中南米およびカリブ海: コロンビアは、植物保護と融資へのアクセスに関する厳しい規制と効果的な水管理規制の組み合わせにより高スコアを獲得した。ハイチでは公式な種子カタログが利用可能になった他、チリでは飼料のラベル表示の要件改善が農家に恩恵をもたらしている。ドミニカ共和国は、植物検疫証明書の提出に電子申請を導入し、ペルーでは植物検疫証明書の申請と発行に関する案内、および貿易相手国とのやり取りが電子システムで行われるようになった。

中東および北アフリカ: モロッコは、効率的な農機登録プロセスの導入、および水資源関連情報の公開を義務づける包括的な水管理法規の制定により、域内で最高の改革実績を上げた。さらにモロッコは、植物の保護に関する指標でも上位につけた。

南アジア: 南アジアは、平均では最も高い改革を達成した地域となった。パキスタンは、包括的な倉庫証券システムの確立により世界中で最も改善の進んだ国の一つに選ばれた。インドは、融資にアクセスするための最も優れた規制制度を確立した国の一つに選ばれた。バングラデシュは、種子認定機能を大幅に改善した。ネパールは、メイズ(白トウモロコシ)の新種登録コストで上位にランクインした。

サブサハラ・アフリカ: 多くのアフリカ諸国が農家のビジネス環境の改善に取り組んでいるが、アフリカの農家は今もなお、法律・規制面で世界で最も厳しい状況に直面している。シエラレオネ、マラウイ、モザンビーク、ブルンジ、ケニアおよびナイジェリアは総合的に改善を示した。ニジェール、シエラレオネ、トーゴは、ECOWASの肥料ガイドライン採用について国内規制を導入し、肥料の品質改善に向けた一歩を踏み出した。

 

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プレスリリース番号: 2020/066/DEC/AG

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