Learn how the World Bank Group is helping countries with COVID-19 (coronavirus). Find Out

プレスリリース 2019年6月19日

世界銀行報告書、より強靱なインフラへの投資は4.2兆ドルの費用削減を可能にすると指摘

強靭性を考慮したインフラへの投資は、投資コストと比較して4倍以上の便益を生む

ワシントンDC, 2019年6月19日–世界銀行と世界銀行防災グローバルファシリティ(GFDRR)が本日発表した報告書によると、低中所得国におけるより強靱なインフラへの投資によりもたらされる純便益の平均は4.2兆ドルであり、1ドルの投資につき4ドルの便益がある。

報告書「ライフライン:強靱なインフラ構築がもたらす機会(仮訳)」は、インフラの強靱性、すなわち自然災害の発生時と発生後にインフラ・システムが機能し、ユーザーのニーズを満たす能力を理解するためのフレームワークを示している。本報告書では、4つの重要なインフラ・システムである電力、水と衛生、交通、電気通信について詳細に検証している。これらをより強靱にすることは、多額の費用を必要とする修復を防ぐためだけでなく、人々の暮らしと福祉のために、自然災害の広範囲にわたる影響を最小限に抑えるためにも重要である、と本報告書は指摘している。電力、水道、通信、交通の機能停止や供給途絶は、企業の生産性、企業がもたらす所得や仕事に影響を与えるだけでなく、人々の生活の質に直接影響を及ぼし、児童の通学や学習を妨げ、コレラなど水媒介性疾患の蔓延につながる。 

「強靱なインフラとは、道路や橋、発電所だけに関わるものではなく、より良い健康、教育、および暮らしを支えるライフラインとして質の高いインフラを必要とする人々、家庭、地域社会に関わるものである。」と世界銀行グループのデイビッド・マルパス総裁は述べる。「強靱なインフラに投資することは、人々のために経済的な機会をもたらすことにつながる。本報告書は、すべての人々にとって、より安全、確実で、包摂的かつ豊かな未来のために、各国が進むべき道を提示している。」

本報告書は、強靱なインフラの欠如が、人々と企業に対してこれまで考えられてきた以上に被害を与えることを明らかにしている。例えば、自然災害により発電所や交通インフラに直接被害が及び、低所得国と中所得国で年間約180億ドルの負担が生じている。しかし、自然災害により家庭や企業にもたらされるより広範囲な混乱は、さらに深刻な問題である。全体として、自然災害によって引き起こされる混乱、インフラの不適切な維持管理によって、低中所得国の家庭と企業では、少なくとも年間3,900億ドルの費用が必要となる。

「政府、開発銀行、民間企業のようないかなるインフラ投資家にとっても、強靱なインフラへの投資は堅実であり、かつ利益を生み出すことは明らかである。」と世界銀行のジョン・ルーム気候変動担当シニアディレクターは述べる。「強靭なインフラへの投資は支出額を増やすことではなく、より効果的に支出することである。」

「私たちが橋や電柱などといった個別の資産からさらに広い視点を持ち、システムとユーザーの脆弱性を理解することにより、強靱性の構築は、より低コストで容易になる。」と本報告書の主執筆者である世界銀行のステファン・ハルガットは述べる。「このような視点を持ち理解することで、システム全体をより適切に設計し高い柔軟性を持たせることができるため、損傷を局所化し、ネットワーク全体に損傷が拡大し経済活動がマヒ状態になることを防ぐことが出来る。」

本報告書はまた、広範なケーススタディ、グローバルな実証分析、およびモデリングに基づき、強靱なインフラへの投資による主要な地域および国々に特有の影響も示している。例えば、現在アフリカと南アジアは、信頼性の低いインフラによって最も大きな損失を被っている。

  • ウガンダのカンパラでは、中程度の洪水でも道路が通行不能となり、カンパラ住民の3分の1以上が、救命救急時の一刻を争う時間内に病院に到着することができなくなっている。
  • タンザニアの企業は、原因を問わず、停電や断水、輸送の断絶によって、年間6億6,800万ドル(GDPの1.8%に相当)の損失を被っている。同国の交通の断絶のほぼ半分は洪水によるものであり、洪水に関連した交通の断絶は、年間1億ドル以上の損失をもたらしている。
  • バングラデシュ、インド、パキスタンにおいて、安定した電力の利用は、その利用のみならず、国民一人当たりの所得や女児の学習時間および女性の労働力参加の増加など、収入や社会的成果により好ましい影響を及ぼす。インドでは、電気を利用できることにより女性の雇用率が12%増加するが、電力へのアクセスは安定性が低い。アクセスが安定している場所、つまり24時間365日利用可能な場所では、雇用率の増加は31%に達する。
  • 東アジアは、自然災害や気候変動に対するインフラ資産の脆弱性が集中している地域である。交通資産に対するリスクでは、世界の上位5カ国のうち4カ国、発電に対するリスクでは上位5カ国のうち3カ国が東アジアに存在する。
  • 中国では、6,400万人が地震と土壌の液状化リスクのある廃水処理施設に依存しており、2億人近くが気候変動によって増加している洪水リスクのある処理施設に依存している。 
  • ペルーでは、地滑りが道路交通を妨げることが多く利用者に甚大な損失をもたらしている。道路網のリダンダンシー(多重性)の確保は、地滑りに強い道路を建設するよりも効率的である。これは特に、農産物の戦略的輸出ルートであるカレテラ・セントラル周辺に当てはまることである。

本報告書では、インフラ・システムと利用者の強靱性を高めるための5つの提言を示している。

  1. 基本的事項を正しく実施する。インフラ・システムの不適切な管理ならびにガバナンスの是正に取り組むことが重要である。例えば、不適切に維持管理されているインフラ資産は強靱にはなりえない。
  2. 強靱性を目指すための制度を構築する。より広範な政治経済的課題にも対処する必要があり、重要なインフラ資産とシステムを特定し、資金を割り当てることができるようにする必要がある。
  3. 強靱性を規制やインセンティブに含める。財政的インセンティブを活用することで、インフラの供給途絶による社会的コストを考慮した投資を確実にし、インフラ提供者に必要最低限以上のインフラを提供することを促すことに利用することができる。
  4. 意思決定を改善する。より良質なデータ、ツールおよび技術へのアクセスは、強靱性を構築する上で状況を大きく変える要因となる可能性がある。例えば、都市部の数値標高モデルは低コストであり、年間数千億ドルの投資に対する情報を提供するために不可欠である。
  5. 資金調達を行う。適切な資金を適切な時期に調達することが重要である。例えば、災害後に修理や復旧に数十億ドルが必要となるのに対し、少額の資金で規制当局をインフラ設計の初期段階で支援することができる。
     

注記:
この報告書は、日本 - 世界銀行防災共同プログラムの支援により実現しました。


プレスリリース番号: 2019/204/CCG

お問い合せ

ワシントン
Ferzina Banaji
+1 (202) 372 5885
fbanaji@worldbankgroup.org
映像関係
Huma Imtiaz
+1 (202) 473 2409
himtiaz@worldbankgroup.org
東京
平井智子
+81 (3) 3597-6650
thirai@worldbankgroup.org
Api
Api