プレスリリース 2019年2月27日

改善は見られるものの、女性は労働関連の法的権利で依然として不利

改革により女性の経済的包摂は進んだが格差は依然根強い、と10カ年調査

ワシントン、2019年2月27日—世界銀行が本日発表した報告書「女性・ビジネス・法律2019:改革の10年(Women, Business and the Law 2019: A Decade of Reform)」によると、世界全体で女性に認められている法的権利は、数にして男性の4分の3に過ぎず、そのために就業や起業、更には経済面で本人や家族に最良となる決断を下す上での制約となっている。

「女性が男性と同等の機会を与えられ、その潜在能力をフルに発揮できれば、より平等な世界が実現され、更なる繁栄も期待できるはずです。改善の兆しは見られますが、その進捗は遅々として進まず、今なお27億人の女性が法律の制約により職業の選択において男性と同等の選択肢を享受できずにいます。女性が直面する障壁を取り除くことが極めて重要です。我々は本報告書を通じて、改革が可能であることを示すと共に、変革を加速させていきます。」と世界銀行グループのクリスタリナ・ゲオルギエヴァ暫定総裁は述べる。

本報告書が使用する指標は、女性が初めて仕事に就いてから年金を受け取るまでの、労働者としての生涯の間に迎えるいくつかの節目とその際の法的保護のあり方に着目したもので、187カ国を対象に8つの指標についてその状況を数値化し、10年間にわたり追跡している。

ジェンダーの平等は短期間で達成できるものではなく、強い政治的意思に加え、政府、市民社会、国際機関を中心とする協調した取組みが必要となるが、その実施には法的改正と規制改革が基礎になければならない。

指標を用いて測定された分野では、この10年間で目覚ましい進歩が見られる。まず、世界全体の平均スコアが70から75に上昇した他、131カ国が274件の法規改正を通じて女性の経済的包摂で成果を上げた。また、35カ国が職場でのセクシュアル・ハラスメント防止の法律を施行した結果、法律による保護を受けられるようになった女性の数は、10年前と比べ20億人近く増えた。更に22カ国が、女性の就業に関する制約を撤廃したことで、女性が一部の仕事から閉め出される可能性が低下した。また13カ国は、同一労働同一賃金を義務付ける法律を導入した。

ベルギー、デンマーク、フランス、ラトビア、ルクセンブルク、スウェーデンの6カ国は今回、100点満点のスコアを獲得した。これは、測定分野で男女を問わず同等の法的権利が確保されていることを意味する。10年前には、これに該当する国は皆無だった。この指標に照らすと、改革を実施した国ほど、全体として女性労働者の割合が増え、女性の経済的エンパワーメント拡大につながっている。

こうした努力にもかかわらず、世界の多くの地域で女性は、労働を行う上でのあらゆる局面で、依然として差別的な法規制に直面している。この10年間に、女性の機会平等を改善する改革を一切実施していない国は、地域や所得水準を問わず56カ国に上る。改革のペースが最も遅い分野は、資産管理(財産権の男女格差評価)であった。

本調査は、女性の雇用と起業が法的差別によってどのような影響を受けているか、ひいては女性の労働市場への参画などの経済成果にいかに影響するかについて新たな知見をもたらすものである。新たな指標は、今後の行程表として、ジェンダーの平等に資する改革を促す上で更なる努力が必要な分野を特定することを目指している。

地域別概要

東アジア・大洋州地域:スコアが64.80から70.73に上昇(2番目に大幅な伸び)すると共に、改革を実施した国の割合が84%と2番目に高かった。域内で実施された改革は38件に上った。域内9カ国が、家庭内暴力に関する法律の導入により結婚の分野で改革を実施した。中国、シンガポール、ベトナムを含め8カ国が父親の有給育児休暇を導入した。  

ヨーロッパ・中央アジア地域:10年間に実施された47件の改革の大半は年金受給の分野であった。カザフスタンとウクライナを含む9カ国は、年金の全額受給年齢を男女で統一するよう進めている。地域全体としてのスコアは80.13から84.70に伸びたがこれは、先進国で構成される経済協力開発機構(OECD)を除くと、地域平均として最高の伸び幅であった。ブルガリアとトルコを含む6カ国が男性にも有給育児休暇を導入した。

ラテンアメリカ・カリブ海地域: 同地域では10年間でスコアが75. 40から79. 09に上昇したが、これは、新興国・途上国の中では2番目に大きな伸びである。域内各国は10年間で39件の改革を実施したが、複数の改革により女性の産休期間が延長された。女性に対し男性と同等の就業を認め、職場でのセクシュアル・ハラスメントを禁じているボリビアは、世界全体で2番目に大きなスコアの伸びを記録した。また、メキシコでは妊婦の解雇が禁止された。

中東・北アフリカ地域:19件の改革が実施されたが、ジェンダーの平等の地域平均スコアが47.37と世界で最も低く、地域平均スコアの上昇率の伸びも一番小さかった。改革は結婚の分野に集中しており、アルジェリア、バーレーン、レバノン、サウジアラビアの4カ国が、この指標の調査対象である家庭内暴力に関する法律を導入した。ヨルダンは育児を理由とする離職期間を年金加入期間と認める措置を導入した。

南アジア地域:同地域は、地域平均スコアが50から58.36と最も上昇した。改革を実施した国の割合も88%と最高であった。インド、バングラデシュ、ネパールを含む域内6カ国が、職場でのセクシュアル・ハラスメントに関する法律を導入するなど就業の分野の改革を実施した。モルディブは職場でのセクシュアル・ハラスメントを禁止し、関連する民法を改正し、家庭内暴力に関する法律を導入した他、父親の有給育児休暇導入と、ジェンダーを理由とする債権者からの差別禁止を実現した。

サブサハラ・アフリカ地域:この10年間で、他のどの地域よりも多い71件の改革が実施された。域内の国の数が多いことも一因ではあるが、ベースラインである2009年の値からの改善も見られる。サブサハラ・アフリカ地域では改革の半数以上が就業と結婚の指標で実施されているが、いずれの分野においてもジェンダーに基づく暴力に関する法律で最大の改善が見られた。5カ国が職場でのセクシュアル・ハラスメントと家庭内暴力に関する法律を導入した。

 


プレスリリース番号: 2019/128/DEC

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