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Factsheet2023年7月17日

世界銀行、数十億ドル規模の融資拡大に向け新施策を発表

世界銀行は、融資能力強化に向け際立った新施策を講じようとしている。大幅な融資拡大により、数百万人が貧困から脱け出し、生活水準を向上できる機会の提供を図る。  

世界が歴史的に重大な局面にある中、世界銀行は国際社会からの求めに応じ、雇用、気候変動、脆弱性、パンデミックといった複合的課題に立ち向かうための取組みを強化しようとしている。そのためには、地球環境の保全と貧困のない世界の実現に向けて、世界銀行がより機能的な組織となるべく断固たる行動が求められている。

具体的には、大きなインパクトをもたらす形で開発を進め、これまで以上にリスクを取ることをいとわない新たな戦略であり、女性や若者などを疎外することのない包摂的でショックへの強靱性を備えた持続可能な世界の実現を支援する。

世界銀行は、トリプルA(AAA)の信用格付けを維持しつつ、融資可能なすべての資金を最大限に活用する業務計画の一環として、あらゆる選択肢について厳密な検討を進めてきた。その上で 本日発表された施策は、世界銀行の融資能力を大幅に拡大し、成長と雇用を促進するものであり、それこそが貧困削減の最も確かな道筋である。

この分野での進展なくしては、開発は最善の状態でも停滞するにとどまり、最悪の場合は後退してしまうだろう。世界銀行は今後数カ月間に、潜在的なリスクを慎重に管理しつつ新たな機会を模索し、効果を最大化するためのさらなるアイデアを策定・共有する予定である。

レバレッジ効果を高めるこうした手段は、状況を大きく変える可能性を秘めている。例えば、1ドルの新規融資につき、10年間で 新たに6ドルの追加融資を引き出す可能性がある。

  1. 融資拡大のため世界銀行出資国が提供できる保証能力を強化。提案されたポートフォリオ保証プログラムは、世界銀行の融資をより広く利用できるようにするためのリスク共有アプローチであり、借入国が返済不能となった場合は出資国が支援する。つまり、50億ドルの保証は10年間で300億ドルの貸出につながる可能性があり、そうした資金は、就学できる女児の数を増やし、気候変動への対応に苦しむ農民を支援し、必要不可欠な保健医療を提供するために役立てられる。
  2. 出資国をはじめとする開発パートナーからのハイブリッド型の資金調達。ハイブリッド型資金調達モデルは、出資国やパートナーに特別なレバレッジ効果のある債券への投資機会を提供することで、開発に大きな変化をもたらす新たな方法である。10億ドルのハイブリッド資本があれば、世界銀行は今後10年間で最大60億ドルの融資を実現し、支援を最も必要とする人々へのインパクトを高めることができる。
  3. 請求払資本から引き出すより大きな価値。請求払資本とは、極端な状況下においてのみ、新たな資金で世界銀行を支援することを出資国が約束するものである。出資国に請求を行う際の条件を拡大し、手続きとメカニズムを明確化することで、世界銀行はより多くのリスクを緩和し、融資を拡大することが可能になる。請求払資本をより有効活用するには、格付機関や出資国と協力して今後まだ多くの取り組みが必要となる。
  4. IDA危機管理ファシリティの推進。最貧国は、気候変動による緊急事態、食糧不安、その他の危機に対応するため、より多くの譲許的資金に対する差し迫った必要性に迫られている。世界銀行により新たに設置されるIDA危機管理ファシリティは、困難な状況に置かれた国々への支援を強化するもので、現在、資金調達が進められている。目標額は60億ドルで、1ドルにつき極めて大きな開発効果が期待される。

世界銀行は最近、本日発表した措置以外にも、業務におけるインパクトを重視するいくつかのイニシアティブを発表している。先月、世界銀行が新たに設立した民間セクター投資ラボは、新興国への投資障壁を取り除く影響力のあるアイデアを生み出し、試行・拡大していく。世界銀行はまた、各国が自然災害に迅速かつ効果的に対応できるよう、強化されたツールキットを導入し、気候変動対策の成果を、総額でいくらか投じたかではなくどれだけのインパクトを生み出したかに着目して、より効果的に追跡する新たなアプローチの開発に着手した。 

 

最終更新日:2023年7月17日