世界銀行は2023年5月23日、新報告書「多国籍企業による気候変動への影響:サプライチェーン上の排出、グリーン技術の移転、企業のコミットメント」(The Effect of Multinational Enterprises on Climate Change: Supply Chain Emissions, Green Technology Transfers, and Corporate Commitments)を発表しました。多国籍企業(Multinational enterprises: MNEs)は気候変動の緩和を進めるにあたっての根本的なリスク要因であり、そのための機会でもあります。多国籍企業が気候変動についてどのような姿勢をとるかが、世界各国の環境パフォーマンスに大きく関わります。積極的な姿勢をとる多国籍企業はサステナビリティ基準の順守やグリーン技術の移転を通じて多くの生産者に影響をもたらし、クライメートトランジションを加速化します。しかし、行動をとらない、あるいは変化に対して抵抗・反対すような消極的な姿勢をとる多国籍企業は、各国の排出削減の取り組みの減速につながります。同報告書では、CDPとの協力のもとに最新のデータを活用し、多国籍企業による気候変動への影響と役割、2050年までの排出ネットゼロに向けたサプライチェーンの移行、グリーン技術の移転、多国籍企業のコミットメントについて分析しています。
今回のモーニングセミナー(第172回)では、同報告書の執筆者の一人であるヴィクター・スティーンバーゲン世界銀行投資環境ユニット上級エコノミストが、日本の皆様に向けワシントンよりオンラインで、同報告書の主なポイントをご紹介しました。
日時
2023年7月21日(金)午前8時~午前9時(日本時間)
スピーカー
ヴィクター・スティーンバーゲン
世界銀行 投資環境ユニット 上級エコノミスト
貿易、租税、気候変動緩和政策に焦点をあてた投資の決定要因と開発インパクトに関する実証研究と政策助言に関する業務に従事。報告書“An Investment Perspective on Global Value Chains”、 “Making the Most of the African Continental Free Trade Area” 執筆者。現職以前は、ルワンダの国際成長センターのカントリーエコノミスト、ナイジェリアの公共財政コンサルタント、マラウィ教育省の予算ユニットのエコノミスト(ODIフェロー)を歴任。ロンドンスクールオブエコノミクスで公共政策学・開発経済学修士号を取得。
発表資料