世界銀行は2021年5月11日、新報告書「インフォーマル性が落とす長い影:課題と政策」(The Long Shadow of Informality: Challenges and Policies)を発表しました。同報告書では、新興国・途上国(EMDEs)では労働者と企業の内、際立って多くがインフォーマル・セクターに属しており、政府がインフォーマル・セクターの抱える課題の解決に向けて包括的な一連の政策を導入しない限り、新型コロナウイルス感染症からの復興が妨げられる可能性が高いと指摘しています。
同報告書は、世界銀行がインフォーマル性の現状と、環境に配慮した強靭で包摂的な開発を長期的に支える経済の回復にもたらす影響を総合的に分析した初の試みです。同報告書は、EMDEsでは全労働者の70%以上がインフォーマル・セクターでの労働に従事し、その規模はGDPの3分の1近くを占めるとしています。こうした国々では、この高いインフィーマル性のために、危機の際に経済を下支えする財源を確保し、効果的なマクロ経済政策を実行すると共に、長期的な開発に不可欠な人的資本を構築することが困難になっています。
今回のモーニングセミナーでは、同報告書の編著者であるフランジスカ・オーネゾルゲ世界銀行見通しグループマネージャーとシュ・ユ同上級エコノミストが、同報告書の主なポイントをライブストリーミングで日本の皆様向けにご説明しました。
スピーカー
世界銀行 見通しグループ マネージャー
2014年、世界銀行入行。開発経済総局(DEC)リードエコノミストを経て、2017年より現職。世界銀行が毎年2回発行する報告書「世界経済見通し」(Global Economic Prospects:GEP)の主任執筆者でもある。世界銀行入行前は、国際通貨基金(IMF)に在籍し、アジア、ヨーロッパ・中央アジア各国を担当。それ以前は、欧州復興開発銀行(EBRD)チーフエコノミスト室でサーベイランス、予測、金融セクター政策に従事。
世界銀行 見通しグループ 上級エコノミスト
主な研究関心分野は国際経済学、開発経済学、政治経済学。世界銀行入行前は、ローチェスター大学でリサーチフェローであり、国際通貨基金(IMF)、全米産業審議会に勤務していた。フローニンゲン大学で経済学博士号、復旦大学で経済学学士号を取得。最近は、中国の対外直接投資、安定性と長期成長、貿易に対する制度面の質の影響に関する論文を発表している。
発表資料
The Long Shadow of Informality: Challenges and Policies (英語、PDF)
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