世界銀行の各地域総局では半年に1度(春と秋)、地域内の経済概況と展望をまとめた半期経済報告を発表しています。このうち中東・北アフリカ地域総局は2021年4月2日、「中東・北アフリカ地域経済報告書:中東・北アフリカ地域の債務―組織・制度が描く回復への道筋」(MENA Economic Update, April 2021 - Living with Debt: How Institutions Can Chart a Path to Recovery in the Middle East and North Africa)を発表しました。新型コロナウイルス感染症の流行は、中東・北アフリカ(MENA)地域で長く続いてきた開発課題を悪化させ、貧困層の増加、公的資金の減少、債務の脆弱性悪化、政府への信頼の一層の低下を招いています。保健・社会的保護の施策に必要な多額の借入れにより政府負債が増加しました。各国は今後も保健と所得移転のための歳出を続けなければならず、それでなくても大きかった債務負担がさらに高まり、感染収束後の政策判断は複雑なものとなることが予想されます。同報告書では、新型コロナウイルス感染症の流行がこれまで経済にもたらした壊滅的打撃と、それに伴う公的債務急増による長期的な影響、公衆衛生上の危機収束後も政府が直面するとみられる困難な選択について詳しく取り上げています。
今回のモーニングセミナー(第103回)では、同報告書執筆チームのハー・グエン世界銀行中東・北アフリカ地域担当チーフエコノミスト室上級エコノミストが、ワシントンよりオンラインで日本の皆様向けに同報告書の主なポイントをご紹介しました。
日時
2021年4月22日(木)午前8時~午前9時(日本時間)
スピーカー
世界銀行 中東・北アフリカ地域担当チーフエコノミスト室 上級エコノミスト
2009年、ヤングプロフェッショナルとして世界銀行に入行。開発経済総局(DEC)開発研究グループのマクロ経済・成長チームのエコノミストを経て、2018年7月より現職。米国メリーランド大学で経済学博士号、オーストラリアのアデレード大学で経済学の修士号及び学士号を取得。
世界銀行 中東・北アフリカ地域担当チーフエコノミスト室 エコノミスト
データ・統計を担当し、マクロ経済見通しと各国の経済課題を概観する主要報告書である中東・北アフリカ経済モニターの共著者。現職以前は、国際通貨基金(IMF)調査局調査専門官として、IMFの主要一次産品価格システム(Primary Commodity Price System)を担当し、世界経済見通し(World Economic Outlook)の共著者でもあった。北京大学で経済学・国際学学士、バージニア大学で経済学修士号を取得。
プレゼンテーション資料
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