世界銀行と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は2021年2月25日、新報告書「包摂的な難民の教育にどのくらいの費用が必要か」(The Global Cost for Inclusive Refugee Education)を発表しました。同報告書によれば、難民に教育を提供するための平均年間費用は、世界の難民の85%を受け入れている発展途上国における公的教育のための支出の5%未満に過ぎません。すべての難民の子供たちに教育を提供し、各国の教育システムに包摂することは、難民受入国の地域社会におけるサービス向上にもつながりますが、同報告書ではこのために世界全体で必要な費用を推定年間48.5億米ドルと見積もっています。これは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大危機以前の推定見積もりであり、パンデミックの影響が拡大し続けるにつれて、必要な費用見積もりは増加する可能性があります。
今回のモーニングセミナー(第99回)では、同報告書をとりまとめたディナ・アブーガイダ世界銀行教育グローバルプラクティス中東・北アフリカ担当主任教育専門官と、カリシュマ・タリタ・シルヴァ世界銀行教育グローバルプラクティスコンサルタントが、それぞれワシントンとムンバイからオンラインで日本の皆様向けに同報告書の主なポイントをご紹介しました。
日時
2021年4月9日(金)午前10時~午前11時(日本時間)
*通常のモーニングセミナーと開催時間が異なりますのでご注意ください。
スピーカー
世界銀行 教育グローバルプラクティス 中東・北アフリカ地域担当 主任教育専門官
2000年、世界銀行入行。教育グローバルプラクティスの脆弱性・紛争・暴力(FCV)フォーカルポイントでもある。中央アジア、アフリカ、中東地域における教育セクターの融資プロジェクトおよび調査分析業務担当チームを率いてきた。幼児教育から基礎・中等・高等教育まですべての教育レベルでの融資業務と調査分析業務に携わってきたなかでも、公的教育における国レベルおよび生徒あたりの教育支出をはじめ教育のために必要な資金に関する調査分析に注力してきた。世界銀行報告書に加え、Reforming Education Finance in Transition Countries - Six Case Studies in Per Capita Financing SystemsおよびSkills, Not Just Diplomas - Managing Education for Results in Eastern Europe and Central Asiaなどの共著がある。ハーバード大学で生物化学学士号、ジョージタウン大学でアラブ学修士号および経済学博士号を取得。
世界銀行 教育グローバルプラクティス コンサルタント
2017年、世界銀行入行。マラウィ、ガーナ、太平洋諸島におけるECD、基礎教育、中等教育、技術職業教育訓練分野の教育案件、強制移動民のための教育に関する調査分析業務に従事してきた。インド・ムンバイのセント・ザビエル・カレッジで経済学・統計学学士号、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで経済学修士号を取得。
当日の資料:
The Global Cost of Inclusive Refugee Education(英語、PDF)
Refugee Education Costing Dashboard January 2021(英語、PDF)