6月28日に大阪で開催予定のG20財務大臣・保健大臣合同セッションでは、G20 議長国である日本が優先課題として推進するユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)がテーマとして取り上げられました。UHCのための保健財政は、人的資本への投資促進、極度の貧困の撲滅、繁栄の共有の促進を掲げる世界銀行グループにとっても、中核的な課題です。UHCとは、全ての人々が質が高く、支払い負担の可能な医療を享受できることを意味しますが、この度世界銀行グループが発表する新報告書では、多くの途上国で見られる不十分、非効率かつ不平等な保健財政のままでは、2030年までのUHC達成を含む「持続可能な開発目標」(SDGs)を達成できず、毎年の医療費負担により多くの人々が貧困に追い込まれていると指摘しています。
今回のセミナーでは、武見敬三・参議院議員(WHOユニバーサルヘルスカバレッジ親善大使)にご挨拶いただいた後、ティム・エヴァンス世界銀行保健・栄養・人口グローバルプラクティス シニアディレクターが、G20 財務大臣・保健大臣合同セッションに向けて作成された本報告書の主なポイントをご紹介しました。続いて、橋本英樹・東京大学教授にコメントしていただき、参加者との質疑応答を行いました。
プログラム
挨拶
武見敬三
参議院議員(WHOユニバーサルヘルスカバレッジ親善大使)
基調講演
ティム・エヴァンス
世界銀行 保健・栄養・人口グローバルプラクティス シニアディレクター
当日の資料: High-Performance Health Financing for Universal Health Coverage (PDF)
討論
橋本英樹
東京大学 大学院 医学系研究科 教授
基調講演者紹介
国際保健の分野で20年以上にわたり活躍。世界銀行入行以前は、バングラデシュのブラク大学にて公衆衛生学・学部長を務めた。また、世界保健機関(WHO)では事務局長補佐、年次報告書「世界保健報告」(World Health Report)総括担当を務めた。保健システムと世界的な健康格差や医療制度を専門分野とし、ロックフェラー財団やハーバード公衆衛生大学院との共同研究の推進とともに、GAVIアライアンス (ワクチンと予防接種のための世界同盟/The Global Alliance for Vaccines and Immunizationより改称)、世界保健人材連盟(Global Health Workforce Alliance: GHWA)、保健指標ネットワーク(Health Metrics networks), INDEPTH(An International Network of field sites with continuous Demographic Evaluation of Populations and Their Health in developing countries)などの革新的パートナーシップの構築に貢献してきた。 |
